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1-1-13 法令科目 憲法 36条-40条/103条 人権

第三十六条  公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
第三十七条  すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2  刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3  刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

遮へい装置・ビデオリンク方式違憲訴訟 (最判平17.4.14)

事例

傷害・強姦事件で起訴され、第1審で有罪判 決を受けたAは、第1審での証人尋問の際、 裁判所が、ビデオリンク方式 (*) を採用 し、かつ、Aと証人が映し出されたモニ ター、同モニターと傍聴人の間に遮へい措置 を採ったことが、憲法82条1項、37条1 項、2項前段に違反するとして控訴した。 (*) 証人を法廷外の別室に在席させ、法 廷と 別室とをケーブルで結び、モニターを 通じて尋問 を行うという証人尋問の方法。 性犯罪の被害者な どが、刑事事件の証人と して法廷で証言すること で大きな精神的な 負担を受けるような場合に、そ の負担を軽 くするための方法として、平成12年に 導入 された

判例の 見解

①ビデオリンク方式及び遮へい措置は、裁 判の公開を保障する憲法82条1項、37条1 項に違反するか。

証人尋問が公判期日において行われる場 合、傍聴人と証人との間で遮へい措置が採ら れ、あるいはビデオリンク方式によることと され、さらには、ビデオリンク方式によった 上で傍聴人と証人との間で遮へい措置が採ら れても、審理が公開されていることに変わり はないから、これらの規定は、憲法82条1 項、37条1項に違反するものではない。 ② ビデオリンク方式及び遮へい措置は、被 告 人の証人審問権を保障する憲法37条2項 前 段に違反するか。

証人尋問の際、被告人から証人の状態を認 識できなくする遮へい措置が採られた場合、 被告人は、証人の姿を見ることはできないけ れども、供述を聞くことはでき、自ら尋問す ることもでき、さらに、この措置は、弁護人 が出頭している場合に限り採ることができる のであって、弁護人による証人の供述態度等 の観察は妨げられないのであるから、被告人 の証人審問権は侵害されていない。ビデオリ ンク方式によることとされた場合には、被告 人は、映像と音声の送受信を通じてであれ、 証人の姿を見ながら供述を聞き、自ら尋問す ることができるのであるから、被告人の証人 審問権は侵害されていない。さらには、ビデ オリンク方式によった上で被告人から証人の 状態を認識できなくする遮へい措置が採られ ても、映像と音声の送受信を通じてであれ、 被告人は、証人の供述を聞くことはでき、自 ら尋問することもでき、弁護人による証人の 供述態度等の観察は妨げられないのであるか ら、やはり被告人の証人審問権は侵害されて いないというべきことは同様である。 (トップへ)

判例の POINT

①平成12年の刑事訴訟法改正により導入さ れた遮へい措置とビデオリンク方式は、犯罪 被害者を含む証人の保護を目的とするもので ある。本判決は、これらが憲法に違反しない ことを明言した初めての最高裁判決である。 ②証人審問権は、不当な事実認定がなされな いよう、自己に不利益な証言をした証人に対 する反対尋問権を被告人に保障したものであ る。本判決は、遮へい措置、ビデオリンク方 式のいずれにおいても、被告人自ら反対尋問 できることを理由に、証人審問権の侵害はな いとしている

関連判例

高田事件(最大判昭47.12.20) 憲法37条1 項は、単に迅速な裁判を一般的に保 障する ために必要な立法上および司法行政上の措 置をとるべきことを要請するにとどまらず、 さら に個々の刑事事件について、審理の著 しい遅延の 結果、迅速な裁判を受ける被告 人の権利が害せら れたと認められる異常な 事態が生じた場合には、 これに対処すべき 具体的規定がなくても、もはや 当該被告人 に対する手続の続行を許さず、その審 理を 打ち切るという非常救済手段がとられるべき ことをも認めている趣旨の規定である。 本 件は、公判の審理が15年余りにわ たって中 断した事件であり、最高裁は、上記のよ う に述べた上で、免訴の言渡しをした。

チェック判例

起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪と して認定し、実質上これを処罰する趣旨で量 刑の 資料に考慮することは許されないが、 単に被告人 の性格、経歴および犯罪の動 機、目的、方法等の 情状を推知するための 資料としてこれを考慮する ことは、憲法31 条、39条に違反しない(最大判昭 41.7.13)。

刑事訴訟法210条は、死刑又は無期若しくは 長 期3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる 罪を犯し たことを疑うに足る充分な理由が ある場合で、か つ急速を要し、裁判官の逮 捕状を求めることがで きないときは、その 理由を告げて被疑者を逮捕す ることができ るとし、そしてこの場合捜査官憲は 直ちに 裁判官の逮捕状を求める手続を為し、もし 逮捕状が発せられないときは直ちに被疑者を 釈放 すべきことを定めている。かような厳 格な制約の 下に、罪状の重い一定の犯罪の みについて、緊急 やむを得ない場合に限 り、逮捕後直ちに裁判官の 審査を受けて逮 捕状の発行を求めることを条件と し、被疑 者の逮捕を認めることは、憲法33条に違 反 しない(最大判昭30.12.14)。

死刑は、まさに究極の刑罰であり、また冷厳 な刑罰ではあるが、刑罰としての死刑そのも の が、一般に直ちに36条にいわゆる残虐な 刑罰に該 当するとは考えられない。ただ、 その執行の方法 等がその時代と環境とにお いて人道上の見地から 一般に残虐性を有す るものと認められる場合に は、これを残虐 な刑罰と言わねばならないから、 将来もし 死刑について火あぶり、はりつけ、さら し 首、釜ゆでの刑のごとき残虐な執行方法を定 め る法律が制定されたとするならば、その 法律こそ は、まさに憲法36条に違反する (最大判昭 23.3.12)。

憲法38条1項は、何人も自己が刑事上の責任 を問われるおそれがある事項について供述を 強要 されないことを保障したものであるか ら、氏名 は、原則としてここにいわゆる不 利益な事項に該 当するものではない(最大 判昭32.2.20)。

憲法38条3項にいう「本人の自白」には、公 判廷における被告人の自白を含まない(最大 判昭 23.7.29)。

別件について逮捕・勾留の理由と必要があ り、別件と本件とが社会的事実として一連の 密接 な関連がある場合、別件について逮 捕・勾留中の 被疑者を、別件について取り 調べるとともに、こ れに付随して本件につ いて取り調べても、違法と は言えず、憲法 に違反しない(最決昭52.8.9)。

共犯者の自白を「本人の自白」と同一視し又 はこれに準ずるものとすることはできない。 なぜ なら共同審理を受けていない単なる共 犯者はもち ろん、共同審理を受けている共 犯者(共同被告 人)であっても、被告人本 人との関係において は、被告人以外の者で あって、被害者その他の純 然たる証人とそ の本質を異にするものではないか らであ る。したがって、かかる共犯者又は共同被 告人の犯罪事実に関する供述は、憲法38条2 項の ごとき証拠能力を有しないものでない 限り、自由 心証にまかされるべき独立、完 全な証明力を有す る(最大判昭33.5.28)。

不起訴になった事実に基づく抑留又は拘禁で あっても、そのうちに実質上は、無罪となっ た事 実の取調べのための抑留又は拘禁であ ると認めら れるものがあるときは、その部 分の抑留及び拘禁 もまた憲法40条にいう 「抑留又は拘禁」に含まれ る(最大決昭 31.12.24)。

刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」と は、刑訴法上の手続における無罪の確定裁判 をい うところ、不処分決定は、刑訴法上の 手続とは性 質を異にする少年審判の手続に おける決定である 上、右決定を経た事件に ついて、刑事訴追をし、 又は家庭裁判所の 審判に付することを妨げる効力 を有しない から、非行事実が認められないことを 理由 とするものであっても、刑事補償法1条1項 にいう「無罪の裁判」には当たらないと解す べき であり、このように解しても憲法40条 に違反しない(最平3.3.29)

第三十八条  何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2  強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3  何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

今回は第26回の続きです。26回で、①逮捕の要件、②抑留・拘禁の要件、③住居への侵入・捜索や押収についての保障、④拷問や残虐な刑罰の禁止――と見てきましたが、今回は、⑤刑事被告人の持つ権利、⑥不利益な供述の強要の禁止、⑦遡及処罰の禁止――を解説します。

Ⅴ.刑事被告人の持つ権利

この条文の1項で言っている「公平な裁判所」とは、裁判所の構成などが偏ることがない裁判所を意味すると言われています。つまり、公平な裁判そのものが直接保障されているのではなく、①裁判所が訴追機関である検察官とはまったく独立した存在であることや、②裁判所が刑事訴訟手続き上で、公平な裁判所であることを維持できる組織体であることを保障しています。
また、「迅速な裁判」とは、適正な刑事裁判を実現するのに必要な期間を超えて、不当に裁判を遅らせないことを意味します。
刑事裁判が迅速に行われることは、国である検察側にとっても、被告側にとっても利益のあることですが、37条では、被告側の利益を尊重する趣旨から規定されていると言われています。被告側の利益とは、例えば、自分にとって有利な証拠が時間の経過ともに無くならないことや、判決が確定するまでの身柄拘束が長引かないこと――など心理的・物理的なさまざまな利益のことです。
この迅速な裁判について問われた事件に「高田事件」があります。この事件の発端は、日ごろ北朝鮮系の在日朝鮮人の脅迫を受けていた民団愛知県本部の顧問宅に、北朝鮮系朝鮮人数十人が侵入、ドアやガラスを破壊したりするなど大暴れしました。顧問は何とか逃げ出し、名古屋市警察瑞穂警察署高田派出所に助けを求めましたが、まもなく顧問を追跡してきた一団が高田派出所に押しかけ、備品を破壊したり火炎瓶を投入したりの暴動を起こしました。また、名古屋市内の各所で同時多発事件も起こしたことから、警察は直ちに捜査を開始したことに対し、朝鮮人は捜査員を尾行・監視し、捜査員が聞き込みに行った家を後で尋ねて、脅迫したり深夜に雨戸を叩くなどの嫌がらせを行ったため、周辺の住民は警察に非協力的になり、捜査は困難を極めるようになりました。
その後、北朝鮮系朝鮮人がらみの「大須事件」が発生し、中警察署に特別捜査本部が設置され、高田事件もこの特別捜査本部の下で捜査が行われ、多くの朝鮮人が検挙されました。

判例は、被告人にとって「迅速な裁判」ではないと言える場合になったときは、憲法37条を根拠に、裁判を打ち切ることができる――という一般論を示しています。ただし、現在までのところ、憲法違反により訴訟を打ち切られたケースはこの1件だけです。一方、2003年に「裁判の迅速化に関する法律」が制定され、第一審は2年以内に終結させることなどが目標とされることになりました。
次に37条2項は、前段ですべての証人に対して審問する機会を充分に与えられる証人審問権を保障しています。言い換えると、被告人が充分に審問する機会を与えられなかった証人の証言は証拠とできないということです。この趣旨を具体化したのが刑事訴訟法に謳われる伝聞証拠禁止(法定外で誰かが話した内容を法廷で証言したり書面にまとめても、原則として証拠にはできない)です。
後段は、公費で、自分のために強制的手続で証人を求める証人喚問権の保障です。ここに公費とありますが、証人を喚問するのにかかった日当や交通費などは、有罪判決を受けた場合は被告人に負担させることは違反ではないとしているのが判例です。
さて、37条3項は、刑事被告人は、いかなる場合でも資格を有する弁護人を依頼することができることを保障しています。被告人が貧困で弁護人に支払う報酬を負担できない場合は、国が負担する国選弁護人制度を設けています。なお、被告人と異なり、被疑者に国選弁護人を付けることは憲法上は保障していません。ただし、2006年から、刑事訴訟法により一定の範囲で被疑者にも国選弁護人を付ける制度が始まっています。

Ⅵ.不利益な供述の強要の禁止

38条は、刑事手続においては、自白が重視されることが多いので、①過度に自白が重視されないようにすること、②捜査機関が自白を得るために拷問などをすることがないようすること――を規定したものです。
1項の「自己に不利益な供述」とは、一般に本人の刑事責任に関する不利益な供述、言い換えれば有罪判決の基礎となる事実や量刑上不利益となる事実などを広く指すと言われています。また、「強要されない」とは、拷問などの直接的な強制はもちろんのこと、供述しないと法律上の不利益が科されるといった間接的な強制も認めないということです。
この項は、直接的には刑事手続についての規定ですが、行政手続の場合にも準用することが判例で認められています。前回出てきた「川崎民商事件」の判旨の②です。
2項では、強制や拷問・脅迫による自白や不当に長く抑留・拘禁された後の自白の証拠能力を否定しています。これは、歴史上、捜査機関が自白を得るために拷問・脅迫・長期の身柄拘束などの不当な手段をとっていたことがあったので、これを防ごうとする目的と考えられます。
また、3項は、自白だけを証拠に有罪にすることはできないと言っています。つまり、有罪とするには自白のほかに、これを裏付ける他の証拠が必要ということです。

Ⅶ.遡及処罰の禁止

39条は、まず、実行の時に適法であった行為は刑事責任を問われないとしています。違法でない行為を行った後、法律が改正され、「先日あなたのやったことは違法となったので処罰します」となったのでは、国民は安心して行動できません。そこで、39条は、従来適法であった行為を遡って違法とすることはできないとしているのです。これを遡及処罰の禁止と言います。
39条は次に、既に無罪と決まった行為について改めて刑事責任を問うことや、同じ犯罪行為について二重に刑事責任を問うことを禁止しています。
一度審理が終わった刑事事件について再度審理することはないとする原則を一時不再理の原則と言います。また、1つの事件について2回以上刑事責任を問うことは認められないとする原則を二重処罰の禁止と言います。この二つは似て非なるものなのですが、39条の規定を下図にまとめましたので、参考にして覚えてください。

川崎民商事件(最大判昭47.11.22)

事例

川崎民主商工会(川崎民商)の会員であるA は、所得税の過小申告の疑いがあるとして、 川崎税務署の職員が質問検査をしようとした 際に、同検査は、令状に基づかない点で憲法 35条1項に違反し、また、不利益な供述を 強要する点で憲法38条1項に違反するとし て、これを拒んだ。

判例の 見解

①憲法35条1項は、行政手続にも適用ない し類推適用されるか。

憲法35条1項は、本来、主として刑事責 任 追及の手続における強制について、それが 司法権による事前の抑制の下におかれるべき ことを保障した趣旨であるが、当該手続が刑 事責任追及を目的とするものでないとの理由 のみで、その手続における一切の強制が当然 に右規定による保障の枠外にあると判断する ことは相当ではない。 ②憲法38条1項は、 行政手続にも適用ない し類推適用される か。

憲法38条1項の法意が、何人も自己の刑 事 上の責任を問われるおそれのある事項につ いて供述を強要されないことを保障したもの であると解すべきことは、当裁判所大法廷の 判例とするところであるが、右規定による保 障は、純然たる刑事手続においてばかりでは なく、それ以外の手続においても、実質上、 刑事責任追及のための資料の取得収集に直接 結びつく作用を一般的に有する手続には、ひ としく及ぶ。

判例の POINT

令状主義を定めた憲法35条、黙秘権を保障 する38条1項は、いずれも刑事手続に関す る規定であるが、本判決は、これらの規定が 行政手続にも適用ないし類推適用される可能 性があることを認めた。もっとも、これらの 規定が及ぶ行政手続の範囲を狭く解し、本件 の質問検査は、35条、38条1項に違反して いる。

関連判例

成田新法事件(最大判平4.7.1)【過去問】 19-7 ①集会の自由の意義とその制限 現代民 主主義社会においては、集会は、国民が 様々な意見や情報等に接することにより自己 の思 想や人格を形成、発展させ、また、相 互に意見や 情報等を伝達、交流する場とし て必要であり、さ らに、対外的に意見を表 明するための有効な手段 であるから、21条 1項の保障する集会の自由は、 民主主義社 会における重要な基本的人権の一つと して 特に尊重されなければならない。しかしなが ら、集会の自由といえどもあらゆる場合に無 制限 に保障されなければならないものでは なく、公共 の福祉による必要かつ合理的な 制限を受けること がある。そして、このよ うな自由に対する制限が 必要かつ合理的な ものとして是認されるかどうか は、制限が 必要とされる程度と、制限される自由 の内 容及び性質、これに加えられる具体的制限の 態様及び程度等を較量して決めるのが相当で あ る。 ②行政手続への法定手続の保障とそ の限界 31条の定める法定手続の保障は、直 接には刑事 手続に関するものであるが、行 政手続について は、それが刑事手続ではな いとの理由のみで、そ のすべてが当然に同 条による保障の枠外にあると 判断すること は相当ではない。しかしながら、同 条によ る保障が及ぶと解すべき場合であっても、 一般に、行政手続は、刑事手続とその性質に おい ておのずから差異があり、また、行政 目的に応じ て多種多様であるから、行政処 分の相手方に事前 の告知、弁解、防御の機 会を与えるかどうかは、 行政処分により制 限を受ける権利利益の内容、性 質、制限の 程度、行政処分により達成しようとす る公 益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決 定されるべきものであって、常に必ずそのよ うな 機会を与えることを必要とするもので はない。 本件は、成田空港開設反対派が所 有 する土地工作物について、成田新法に基 づいて使 用禁止命令が出されたため、土地 工作物の所有者 が使用禁止命令の取消しを 求めて争った事件であ る。憲法上の争点 は、22条、29条など多岐にわた るが、特に 重要なのは、31条の法定手続の保障が 行政 手続にも及ぶことを認めた点である。ただ し、行政処分の相手方に対して事前の告知、 弁 解、防御の機会を与えるかどうかは、 様々な要素 を総合較量して決定されるとし ており、このよう な機会を与える旨の規定 がない成田新法を31条に 違反しないとして いる。

川崎民商事件(最大判昭47.11.22)

事例

川崎民主商工会(川崎民商)の会員であるA は、所得税の過小申告の疑いがあるとして、 川崎税務署の職員が質問検査をしようとした 際に、同検査は、令状に基づかない点で憲法 35条1項に違反し、また、不利益な供述を 強要する点で憲法38条1項に違反するとし て、これを拒んだ。

判例の 見解

①憲法35条1項は、行政手続にも適用ない し類推適用されるか。

憲法35条1項は、本来、主として刑事責 任 追及の手続における強制について、それが 司法権による事前の抑制の下におかれるべき ことを保障した趣旨であるが、当該手続が刑 事責任追及を目的とするものでないとの理由 のみで、その手続における一切の強制が当然 に右規定による保障の枠外にあると判断する ことは相当ではない。 ②憲法38条1項は、 行政手続にも適用ない し類推適用される か。

憲法38条1項の法意が、何人も自己の刑 事 上の責任を問われるおそれのある事項につ いて供述を強要されないことを保障したもの であると解すべきことは、当裁判所大法廷の 判例とするところであるが、右規定による保 障は、純然たる刑事手続においてばかりでは なく、それ以外の手続においても、実質上、 刑事責任追及のための資料の取得収集に直接 結びつく作用を一般的に有する手続には、ひ としく及ぶ。

判例の POINT

令状主義を定めた憲法35条、黙秘権を保障 する38条1項は、いずれも刑事手続に関す る規定であるが、本判決は、これらの規定が 行政手続にも適用ないし類推適用される可能 性があることを認めた。もっとも、これらの 規定が及ぶ行政手続の範囲を狭く解し、本件 の質問検査は、35条、38条1項に違反して いる。

関連判例

成田新法事件(最大判平4.7.1)【過去問】 19-7 ①集会の自由の意義とその制限 現代民 主主義社会においては、集会は、国民が 様々な意見や情報等に接することにより自己 の思 想や人格を形成、発展させ、また、相 互に意見や 情報等を伝達、交流する場とし て必要であり、さ らに、対外的に意見を表 明するための有効な手段 であるから、21条 1項の保障する集会の自由は、 民主主義社 会における重要な基本的人権の一つと して 特に尊重されなければならない。しかしなが ら、集会の自由といえどもあらゆる場合に無 制限 に保障されなければならないものでは なく、公共 の福祉による必要かつ合理的な 制限を受けること がある。そして、このよ うな自由に対する制限が 必要かつ合理的な ものとして是認されるかどうか は、制限が 必要とされる程度と、制限される自由 の内 容及び性質、これに加えられる具体的制限の 態様及び程度等を較量して決めるのが相当で あ る。 ②行政手続への法定手続の保障とそ の限界 31条の定める法定手続の保障は、直 接には刑事 手続に関するものであるが、行 政手続について は、それが刑事手続ではな いとの理由のみで、そ のすべてが当然に同 条による保障の枠外にあると 判断すること は相当ではない。しかしながら、同 条によ る保障が及ぶと解すべき場合であっても、 一般に、行政手続は、刑事手続とその性質に おい ておのずから差異があり、また、行政 目的に応じ て多種多様であるから、行政処 分の相手方に事前 の告知、弁解、防御の機 会を与えるかどうかは、 行政処分により制 限を受ける権利利益の内容、性 質、制限の 程度、行政処分により達成しようとす る公 益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決 定されるべきものであって、常に必ずそのよ うな 機会を与えることを必要とするもので はない。 本件は、成田空港開設反対派が所 有 する土地工作物について、成田新法に基 づいて使 用禁止命令が出されたため、土地 工作物の所有者 が使用禁止命令の取消しを 求めて争った事件であ る。憲法上の争点 は、22条、29条など多岐にわた るが、特に 重要なのは、31条の法定手続の保障が 行政 手続にも及ぶことを認めた点である。ただ し、行政処分の相手方に対して事前の告知、 弁 解、防御の機会を与えるかどうかは、 様々な要素 を総合較量して決定されるとし ており、このよう な機会を与える旨の規定 がない成田新法を31条に 違反しないとして いる。

第三十九条  何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
第四十条  何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。

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