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2-2-7 法令科目 行政法 行政手続法7

第五章 届出
(届出)
第三十七条  届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。
第六章 意見公募手続等
(命令等を定める場合の一般原則)
第三十八条  命令等を定める機関(閣議の決定により命令等が定められる場合にあっては、当該命令等の立案をする各大臣。以下「命令等制定機関」という。)は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
2  命令等制定機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければならない。
(意見公募手続)
第三十九条  命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。
2  前項の規定により公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたものでなければならない。
3  第一項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して三十日以上でなければならない。
4  次の各号のいずれかに該当するときは、第一項の規定は、適用しない。
一  公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、第一項の規定による手続(以下「意見公募手続」という。)を実施することが困難であるとき。
二  納付すべき金銭について定める法律の制定又は改正により必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法についての命令等その他当該法律の施行に関し必要な事項を定める命令等を定めようとするとき。
三  予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法その他の事項を定める命令等を定めようとするとき。
四  法律の規定により、内閣府設置法第四十九条第一項 若しくは第二項 若しくは国家行政組織法第三条第二項 に規定する委員会又は内閣府設置法第三十七条 若しくは第五十四条 若しくは国家行政組織法第八条 に規定する機関(以下「委員会等」という。)の議を経て定めることとされている命令等であって、相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として、法律又は政令の規定により、これらの者及び公益をそれぞれ代表する委員をもって組織される委員会等において審議を行うこととされているものとして政令で定める命令等を定めようとするとき。
五  他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするとき。
六  法律の規定に基づき法令の規定の適用又は準用について必要な技術的読替えを定める命令等を定めようとするとき。
七  命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするとき。
八  他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理その他の意見公募手続を実施することを要しない軽微な変更として政令で定めるものを内容とする命令等を定めようとするとき。
(意見公募手続の特例)
第四十条  命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、三十日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、前条第三項の規定にかかわらず、三十日を下回る意見提出期間を定めることができる。この場合においては、当該命令等の案の公示の際その理由を明らかにしなければならない。
2  命令等制定機関は、委員会等の議を経て命令等を定めようとする場合(前条第四項第四号に該当する場合を除く。)において、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときは、同条第一項の規定にかかわらず、自ら意見公募手続を実施することを要しない。
(意見公募手続の周知等)
第四十一条  命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たっては、必要に応じ、当該意見公募手続の実施について周知するよう努めるとともに、当該意見公募手続の実施に関連する情報の提供に努めるものとする。
(提出意見の考慮)
第四十二条  命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見(以下「提出意見」という。)を十分に考慮しなければならない。
(結果の公示等)
第四十三条  命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布(公布をしないものにあっては、公にする行為。第五項において同じ。)と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。
一  命令等の題名
二  命令等の案の公示の日
三  提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)
四  提出意見を考慮した結果(意見公募手続を実施した命令等の案と定めた命令等との差異を含む。)及びその理由
2  命令等制定機関は、前項の規定にかかわらず、必要に応じ、同項第三号の提出意見に代えて、当該提出意見を整理又は要約したものを公示することができる。この場合においては、当該公示の後遅滞なく、当該提出意見を当該命令等制定機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしなければならない。
3  命令等制定機関は、前二項の規定により提出意見を公示し又は公にすることにより第三者の利益を害するおそれがあるとき、その他正当な理由があるときは、当該提出意見の全部又は一部を除くことができる。
4  命令等制定機関は、意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないこととした場合には、その旨(別の命令等の案について改めて意見公募手続を実施しようとする場合にあっては、その旨を含む。)並びに第一項第一号及び第二号に掲げる事項を速やかに公示しなければならない。
5  命令等制定機関は、第三十九条第四項各号のいずれかに該当することにより意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。ただし、第一号に掲げる事項のうち命令等の趣旨については、同項第一号から第四号までのいずれかに該当することにより意見公募手続を実施しなかった場合において、当該命令等自体から明らかでないときに限る。
一  命令等の題名及び趣旨
二  意見公募手続を実施しなかった旨及びその理由
(準用)
第四十四条  第四十二条の規定は第四十条第二項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定める場合について、前条第一項から第三項までの規定は第四十条第二項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合について、前条第四項の規定は第四十条第二項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定めないこととした場合について準用する。この場合において、第四十二条中「当該命令等制定機関」とあるのは「委員会等」と、前条第一項第二号中「命令等の案の公示の日」とあるのは「委員会等が命令等の案について公示に準じた手続を実施した日」と、同項第四号中「意見公募手続を実施した」とあるのは「委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施した」と読み替えるものとする。
(公示の方法)
第四十五条  第三十九条第一項並びに第四十三条第一項(前条において読み替えて準用する場合を含む。)、第四項(前条において準用する場合を含む。)及び第五項の規定による公示は、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うものとする。
2  前項の公示に関し必要な事項は、総務大臣が定める。
第七章 補則
(地方公共団体の措置)
第四十六条  地方公共団体は、第三条第三項において第二章から前章までの規定を適用しないこととされた処分、行政指導及び届出並びに命令等を定める行為に関する手続について、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 

 

情報公開

情報公開の制度は、行政手続法で定められたものではありませんが、適正な行政運営を支える点で、行政手続と目的が共通するものです。そこで、今日は、①情報公開法総説、②情報公開制度の内容――について解説します。

Ⅰ.情報公開法総説
情報公開制度の背景には国民主権の原理があります。民主国家においては政府保有の情報は国民の共有財産と言えますから、政府にはこの情報を開示する義務があります。さらに、政府には主権者である国民から権力の行使を委託されたものとして、行政運営に関わる事項について説明する責任もあります。
つまり、情報の公開により国民は主権者として適切に行政に参加でき、かつ行政への監視を行えるわけです。
ですから、行政手続は国民の権利利益の確保のためのものという自由主義的な色彩が濃いのに対し、情報公開は民主主義的な色彩が濃いと言えるでしょう。もちろん、行政手続にも意見公募手続のように民主的な意味合いがあるし、情報公開にも知る権利の確保といった面があるように、区別は絶対的なものではありません。
そこで、情報公開と知る権利との関係をお話しします。
情報公開法の目的規定には、知る権利の確保という趣旨は取り込まれていません。しかし、実際は、条項を見ると、情報公開に当たっては理由を問わないこととされており、かつ、情報公開の主体は日本国民に限定されていません。
情報公開の目的が、民主主義的な意味合いしかないとしたら、情報公開はその目的に合致する場合に限るとか、日本国民に限るとかの措置が取られるのが通常ですから、情報公開法は、知る権利の確保にも配慮したものであると言うことができるでしょう。
なお、地方公共団体の情報公開条例には、知る権利をうたったものが存在します。
一方、情報の管理に関わる個人情報保護法との関係も気になるところです。個人情報保護法は、コンピュータなどで、膨大な個人情報を容易に処理することができるようになった反面、個人情報の流出などの危険が増したことから、情報の処理と保護に関わるルールを定めたものです。
情報公開法も個人情報保護法も、どちらも行政機関による情報管理の在り方に法的制約を加えるものです。このため、どちらの法律にも、情報が公開できる場合とできない場合の定めがあります。
しかし、情報公開法の目的が行政過程の透明化を図ると同時に国民に行政参加の手段を与えることであるのに対し、個人情報保護法の目的は個人に自己の利益を防御させることです。つまり、確保すべき利益の所在や狙いがそれぞれの法律で異なるのです。
そこで、個人情報保護法の対象となる情報は個人情報に限ることとし、情報公開法の対象となる情報は行政文書――とはっきり区別されています。

Ⅱ.情報公開制度の内容
それでは、具体的に情報公開法の内容を見ていくことにしましょう。
1.情報公開制度の対象
まず、情報公開法の対象となる機関はほぼすべての行政機関です。
また、対象となるのは行政文書です。行政文書とは、
①行政機関の職員が職務上作成または取得したもの
②組織的に用いるもの
③当該行政機関が保有しているもの――です。
3つとも備えてなければなりません。情報の公開そのものは重要であるとしても、公開する必要があまりなく、または弊害が大きな場合まで情報公開の対象とすることは無意味という観点から、情報公開の対象には制限があります。
例えば、職員の個人的な検討段階のメモや、自己の執務の便宜のために保有している正式文書の写しは、②の組織的に用いるものに該当しないので、情報公開の対象に含まれません。
その理由は、情報公開の対象は、権限がある行政庁としての意思がある程度固まった後のもので十分ですし、逆に行政過程で作成される文書まで情報公開の対象にすることは、かえって国民に混乱を生じさせたり、行政庁の負担を大きくしたりするおそれがあるからです。
また、文書は③の行政機関が保有しているものに限られますから、請求時点で存在しない文書も情報公開の対象になりません。
一方、①~③の定義によれば、決裁(責任ある立場の人の確認をとること)のための起案文書は行政文書として情報公開の対象となります。決裁と供覧(関係職員に見せること)という事務手続を経て、正式文書に至るわけではないのです。
このような文書を開始の対象とするメリットは、政策形成過程において建設的な意見を提出することを可能にする点と言えます。また、決裁・供覧など事案処理手続きを要しない文書でも、事実の報告にかかる文書などは、説明責任の観点から開示が必要と言えるでしょう。

2.情報公開の請求権者
次に情報公開の請求権者ですが、これは何人でも可能です。外国人もできます。先ほども言いましたが、情報公開請求が実質的に知る権利の具体化である点の現れと言えます。

3.情報公開の開示できる情報の選択
さらに、開示できる情報の選択についてのルールを見ていきます。
原則として、情報は公開しなければなりません。ただし、次のような不開示事由があります。
①個人情報
②法人等事業情報
③国・公共の安全等に関する情報
④審議検討情報
⑤事務事業情報
①の個人情報は、原則不開示ですが、例外として、本人からの開示請求、どの個人の情報かが識別できる情報を除いたもの――があります。
②の法人等事業情報は、原則として開示の対象ですが、事業者の正当な利益を害するおそれのある場合や、行政と非公開にするとの約束がある場合には不開示となります。ただし、公にすることが必要であると認められた場合に開示されることもあります。
③の国・公共の安全等に関わる情報とは、例えば国防に関する情報です。国防施設の位置や詳細などは、敵対する者に知られては安全確保ができなくなるからです。
④の審議検討情報は、検討中の情報にすぎませんから、決定でもなく変更の可能性も十分あり得ます。そのような情報が開示されると、その情報が決定されたと勘違いして先走って行動をする国民が出たり、先取りした情報で行動することで、特定の者にとって利益・不利益が発生したりすることが考えられます。また、情報を元に圧力や批判が集まって意見の交換、意思決定の中立性が損なわれるおそれも出てきます。
そこで、不開示事由に含まれます。
なお、審議検討情報を非公開とする条例の定めについて、判例で合憲とされた事例があります。非開示事由は、常に情報公開の権利と矛盾するのですが、特に審議検討情報は、公開の要求が強い一方、公開の弊害も大きいので、事件として争われることが多いと言えます。
⑤の事務事業情報は、事務または事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものについては公開できないとするものです。
例えば、入札価格や警察がいつどこで交通取り締まりをするなどの情報を公開しては、そのものの意味自体がなくなってしまうからです。

4.開示の手続き

続いて開示の手続きですが、まず、
①開示請求書を行政機関の長に提出します。
開示請求書には、請求の理由や目的を記入する必要はありません。これは公開の利益を考慮しないからと言えますが、このことは、行政処分や行政行為などの行政庁からの行政手続と情報公開制度の違いの一つです。このとき、開示請求書に不備がある場合には、補正させる必要がありますが、その場合、行政側はどう補正すべきかの情報を提供する義務を負います。
行政請求書の提出を受け、行政庁は
②開示不開示の決定をします。
決定は原則として30日以内に書面で通知することになっており、拒否の場合は理由提示が要求されます。なお、拒否とは、行政文書の存否に関する情報まで明らかにしない場合のことです。これは、文書が存在するかどうかを回答しただけで、特定の個人や公の利益を害する場合です。具体的には、次の6項目が定められています。
①特定の個人の病歴に関する情報
②先端技術に関する特定企業の設備投資計画に関する情報
③情報交換の存在を明らかにしない約束で他国等との間で交換された情報
④犯罪の内偵捜査に関する情報
⑤買い占めを招くなど国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある特定の物質に関する政策決定の検討状況の情報
⑥特定分野に限定しての試験問題の出題予定に関する情報

5.開示実施の方法
情報公開の開示の方法は、情報の閲覧または写しの交付によります。この際、開示請求した者は実費に限り手数料を負担する必要があります。

6.情報公開に対する救済制度
最後に、情報公開に対する救済制度を紹介します。なお、これからの部分は、行政救済法を学んだうえで勉強してもらってもかまいません。少し、進めて、行政救済を先に学んだ方がいいと感じた方は、本日のまとめにスキップしてください。
情報公開に対する救済制度には、大きく
①開示拒否決定に対する救済
②開示決定に対する救済――があります。
まず、①の開示拒否決定に対しては、行政不服申立てをすることができます。その裁決に当たっては、情報公開・個人情報保護審査会への諮問・答申が必要だという特徴があります。
これは、審査に当たって、第三者的な視点を導入して、審査の公平を図るためのものです。この諮問に対する答申には裁決への拘束力はありません。しかし、裁決権者は、答申を尊重すべきものとされるほか、答申の内容が公表されることで、恣意的な裁決を事実上防止できる仕組みになっています。
また、諮問に対する答申に当たり、情報公開・個人情報保護審査会は、請求された文書の見分等調査ができるものとされています(インカメラ審理と言います)。
さらに、行政事件訴訟で、不開示決定を争うこともできます。情報公開訴訟と呼ばれますが、これは拒否決定の取消訴訟のことです。不服申立ての前置は不要なので、直ちに提訴できます。
①の開示拒否決定はともかく、②の開示決定に対する救済は何のためのものなのかと疑問に思う方もいるかもしれません。これは、情報を開示されることで、不利益を負うおそれがある者を救済するためのものです。
まず、開示・不開示の決定をしようとするときは、その情報が第三者のものである場合には、その者への意見提出手続が採られます。ここで、反対の意思表示がなされた場合、開示決定後、開示までにこの第三者に開示決定をしたことを通知することになっています。この通知を受けて、第三者は開示に先立ち、行政不服申立てや行政事件訴訟を起こすことができます。このような余裕を第三者に与えるため、開示決定の日と開示を実施する日との間には少なくとも2週間を置く必要があるとも規定されています。

 

行政救済の全体像
前回までの講義では、国民の権利利益の侵害を防ぎ、逆にその利益を増進するために、行政が守らねばならないルールや、手続きについてどんなものがあるかを見てきました。しかし、行政が必ずこのルールを守るとは限りません。ルールが守られないとなると、国民に被害が出たり、そのおそれが出てくることが考えられます。
今回からは、そういった場合に行政による救済処置として、適法な状態を回復するための方法を学んでいきます。行政救済法第1回目は、①行政救済の必要性、②行政救済の手段――と、行政救済法の総論的なものを勉強していきます。

Ⅰ.行政救済の必要性
突然ですが、行政救済が必要な場合ってどんな時と思いますか?
例えば、ある飲食店に対して違法に営業停止処分がなされたらどうでしょう?
営業ができなければ利益を上げることができず、業者にとっては死活問題です。そんな場合、営業停止処分を取消すことで、営業できる状態を回復することが行政救済に当たります。
また、適法な状態が回復されても、これ以上被害が拡大しないというだけで、すでに国民に与えた損害が回復しない場合が多くあります。
例えば、飲食店への営業停止処分を取消すだけだと、営業停止中に得られたはずの利益は回復されませんし、風評被害などで離れてしまったお客さんが帰ってこないことが考えられます。
そのような場合には、すでに発生した損害を金銭の支払いなどの方法で行政庁に賠償させることで、国民を救済することが考えられるわけです。
つまり、行政救済とは、違法な行政活動により被害を受けた国民を救済するために、
①違法な行政活動を除去したり、適法な状態に戻すこと
②すでに発生した被害を回復するため賠償をすること――という2つの手段と言えます。
①に対応する制度を行政争訟、②に対応する制度を国家補償――と言います。
以上の行政救済制度の内容と、救済に当たって守るべきルールを定めたものが行政救済法です。

Ⅱ.行政救済の手段
行政救済の手段には、上記でお話しした
①行政争訟
②国家補償のほか、
③行政上の苦情処理制度
④オンブズマン制度
⑤行政審判――などがあります。
①の行政争訟について、もう少し詳しくお話ししましょう。行政争訟とは、違法状態を排除・是正するためのものです。行政活動に違法があり、国民の権利が侵害されているときには、私人と行政主体との間に紛争が生じたと言えます。行政争訟は、紛争に巻き込まれた国民が、しかるべき国の機関に、違法状態の排除・是正を求めることができることです。
ただ、この場合、行政主体にも適切な言い分があると思われますし、国民の主張にも間違いがあるかもしれません。そこで、私人の要求が適切であるか、国の機関が審理したうえで、私人の請求がもっともである、救済の必要があると判断された場合、違法な行政活動を排除・是正すべく措置をとることになります。
つまり、行政争訟とは、行政上の法律関係に関する紛争について、国家機関がこれを審理・判断したうえで、違法・不当な行政活動の排除・是正を行うための制度と言えます。
この制度として、救済を求めた場合の方法は、
①必要な措置をとるのが行政機関である行政不服申立て
②必要な措置をとるのが裁判所である行政事件訴訟――の2つがあります。
②の国家補償は、行政作用により国民に生じた損害を補償し、金銭による救済を図るための制度です。
そのような制度として
a国家賠償
b損失補償――の2つがあります。
aの国家賠償は違法行為により発生した損害賠償をするもので、bの損失補償は適法な行政活動により発生した損失の補てんをする制度です。
③の行政上の苦情処理制度は、行政不服申立て以上に簡便な制度として用意されているものです。
例を挙げると、行政庁が自主的なサービスとして提供している各種行政相談、各行政機関の業務等に関する苦情の申出に必要な斡旋(総務省設置法)――などです。
いずれも簡易な手段として、取次ぎ、斡旋、勧告、行政運営の改善のすべての点において迅速なものが期待できるものです。ただし、行政からの自発的なサービスである以上、適正さ、公平さや実効性の面で限界があると言っていいでしょう。
次に④のオンブズマン制度です。オンブズマン制度は、直接の苦情申立てなどに基づいて、行政の実態を調査し、改善等の意見表明・勧告を行う権限を広く持つもののことです。学識経験者など1名または数名で構成され、議会等に設置される独立の形態の機関で、地方公共団体の一部で導入されている例があります。
中立性が要求される事項について、第三者的立場で審査を行うことで、行政活動の適正さを図ることがオンブズマン制度の目的です。
⑤行政審判と呼ばれる制度もあります。行政審判は、通常の行政組織から独立した行政委員会その他これに準ずる機関が、準司法手続に基づいて行う紛争解決のための制度のことです。具体的には、特許審判、海難審判のほか、公正取引委員会など行政委員会による審判が挙げられます。
行政不服申立てと何が違うのか、考えてみたいと思います。行政審判の特徴は、行政不服申立てより、いっそう行政事件訴訟に近い厳格さや公正さが備わっている点にあります。行政審判は、系統的な行政組織から独立した地位を持つ行政機関が担当し、審判に当たっても職権行使の独立が認められる――という組織面からの公正さ・中立性の保障がされています。
また、手続きにおいても、口頭審理の途が開かれていたり、当事者が聴聞の手続きに直接参加できるというように、司法審理と類似の手続きが採用されています。
このほかの行政審判の特徴は、
a憲法の論点で取り上げられる実質的証拠法則が認められること
b行政事件訴訟に移行する際の一審の裁判権について東京高等裁判所に専属管轄があること――などの特徴があります。
aの理由は、司法審査類似の厳格な手続きがとられ、専門機関による認定であることから、その事実認定を最終のものとすることが合理的であることや、裁判所は事実認定に拘束されるかを自ら決定する権利がること――などです。
bの理由は、行政審判は事実上、司法裁判所による第一審のような役割を果たすことが期待されているからです。

 

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