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5-3 ○問題演習 行政法の一般的な法理論 60問上級

1
以下の記述中の【 】内の部分が,それぞれ(参照条文)として掲げる法律の委任の範囲を超えており無効であると主張しようとする場合に,次の選択肢の各主張のうち,どれが最も適切か。
銃砲刀剣類登録規則第4条第2項刀剣類の鑑定は,【日本刀であつて】,次の各号の一に該当するものであるか否かについて行なうものとする。(以下略)
(参照条文)銃砲刀剣類所持等取締法
第1条 この法律は,銃砲,刀剣類等の所持,使用等に関する危害予防上必要な規制について定めるものとする。
第2条(略)
2 この法律において「刀剣類」とは,刃渡り15センチメートル以上の刀,やり及びなぎなた,刃渡り5.5センチメートル以上の剣(中略)をいう。
第3条何人も,次の各号のいずれかに該当する場合を除いては,銃砲又は刀剣類を所持してはならない。
一~五(略)
六 第14条の規定による登録を受けたもの(中略)を所持する場合
七~十三(略)
2~4 (略)
第14条 都道府県の教育委員会は,(中略)美術品として価値のある刀剣類の登録をするものとする。
2 (略)
3 第1項の登録は,登録審査委員の鑑定に基いてしなければならない。
4 (略)
5 第1項の登録の方法,第3項の登録審査委員の任命及び職務,同項の鑑定の基準及び手続その他登録に関し必要な細目は,文部科学省令で定める。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
政省令への委任を定める法律の規定(以下「委任規定」という。)を文理に即して解釈すると,政省令は法律に違反すると主張する。
(不正解) 法律が政省令を定める行政庁に専門技術的な裁量を認めていることを重視して委任規定を解釈すると,政省令は法律に違反すると主張する。
本問の争点は、【日本刀であって】という規則の文言上、対象が日本刀に限定されているため、委任立法の範囲内を逸脱していないか否かが問題となっている。
これについて
①「美術品として価値のある刀剣類」(法14条1項)とは、日本刀に限られるか。
②法14条5項が登録鑑定基準の細目を委任する同登録規則4条2項は、委任の範囲を超えるか。
が争われた判例(最判平2・2・1)では、
「法14条1項にいう『刀剣類』は文言上『日本刀に限られない』(文理解釈)が・・・※↓つづく
(※つづき)所持禁止の除外対象の相当性判断は専門技術的検討が必要であり、その鑑定基準(登録規則4条2項)を、美術品として文化的価値を有する『日本刀』に限定しても法の委任の趣旨を逸脱するものとはいえない」と判示している。
本問の列挙する参照条文が「日本刀を登録対象とする合理的理由」にはなりえても、果して「外国刀剣を登録対象から排除する合理的理由」になりうるのか否かの議論は別として、本肢の通り、委任規定を「文理解釈」した場合には「日本刀に限定することは違法である」との主張は成立しうる。
2
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
審査請求は,処分庁又は不作為庁以外の行政庁に対してする行政不服申立てであり,個別の法律又は条例に審査請求をすることができる旨の定めがなくてもすることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

●異議申立て・審査請求=一般概括主義
(一般概括主義:法律に例外の定めがある場合を除き、
原則としてすべての処分につき争訟の提起を認める)
●再審査請求=列記主義
(列記主義:法律が特に列記して争訟を許した処分について
だけ争訟の提起を認める)
ということは、審査請求は処分庁には出来ないので×ではないのでしょうか?
「処分庁又は不作為庁以外」の以外は
処分庁又は不作為庁の両方に掛かるので
処分庁は含まれないということになると思いますよ。
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求とは,行政庁の処分又は不作為について,処分をした行政庁又は不作為に係る行政庁に対してする不服申立てをいう。
3
Aは喫茶店を営業しようと思い,食品衛生法の規定に従い行政庁Bに営業許可の申請をした。次の記述について、適切か否か答えよ。
その営業場所の付近には既に喫茶店が多数あり,過当競争になるおそれがある。この場合,Bは,過当競争のおそれを理由として申請を拒否することはできない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

行政法学の観点では次のように説明できます。
講学上の「許可」は、本来自由な行為を公益の為に一般的に禁止し、特定の場合に禁止を解除するというもの。
法律の定める要件を満たしていれば、特定の場合にあたりますし、許可を必要とする行為は本来自由な行為であることに注目します。
そうすれば、本件のように、法律の規定に従った営業許可申請には、許可を与えなければなりません。
この問題は「食品衛生法の規定に従い」許可申請を拒否できるかというものです。
申請の許可には、許可行政の専門性から行政庁に一定の裁量が認められます。
もっともこの裁量は無制限に認められる訳ではなく、法律による行政の観点から、根拠となる法律の趣旨目的に合致する範囲に限定されます。
申請拒否の根拠となる食品衛生法は、提供する食品の衛生を確保・国民の身体・生命の安全確保が目的と考えられますから、過当競争の回避は目的に入らないと思われます。
よってかかる理由では申請を拒否できない、となるでしょう。
薬局や銭湯だとまた別ですよね
4
仮の救済について、適切か否か答えよ。
行政処分の無効を前提とする民事訴訟においては,民事保全法に規定する仮処分の利用が制限される場合がある。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない。
執行不停止の原則を守り、迅速な手続を行うためです。
仮処分を認めてしまうと、裁判で執行が認められるまで行政庁は処分その他公権力の行使ができないことになってしまいます。
これでは行政の迅速化が害される結果になるので、仮処分はできないことになっています。
[自説の根拠]行政事件訴訟法44条
行政事件訴訟法
第44条 (仮処分の排除)
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年(1989年)法律第91号)に規定する仮処分をすることができない。 よって、例えば「仮の営業許可処分」は、これをすることができない。
「民事保全法に規定する仮処分をすることができない。」が正しいので、
「民事保全法に規定する仮処分の利用が制限される場合がある。」の記載は間違いにならないでしょうか?
どなたかご意見お聞かせください。
仮の救済制度として、
行政訴訟では「執行停止」等があり、
民事訴訟では「民事保全法に基づく仮処分」等があります。
一方、仮処分を禁止する行訴法44条は訴訟種類に関わらず適用されると解されるため、「行政処分の無効を前提とする民事訴訟」(=争点訴訟)にも適用されることになります。
しかしそれでは争点訴訟には一切、仮の救済制度がないことになってしまうので、(学説は分かれるものの)解釈上、「争点訴訟については仮処分が厳密に禁止されるわけではないが、場合により制限される」とされているようです。
[自説の根拠]「当事者訴訟・争点訴訟と仮の救済」/玉城勲、等参考
<参考>行政事件訴訟法第44条により、争点訴訟で行政処分の効力の一時停止を求めるのは不適法とされるが、
地裁判例に「行政事件訴訟法第44条によって排除される仮処分は、それが公権力の行使を阻害する場合に限定されている」とし、
土地の占有者が占有回収の訴を本案として、当該土地に仮換地の指定を受けた者に対して行なう建築禁止等の仮処分の申請は適法としたものがある。
[自説の根拠]行政事件訴訟法44条、千葉地裁松戸昭和51.11.5
5
行政指導に関する以下の記述について、明らかに誤っている記述のみを×とし、それ以外を○とせよ。
最高裁判所の判例によれば,ある行政機関の行為が,これを規定する法律において相手方が任意に従うことを期待してされる行政指導として定められている場合には,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されることはない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
医療法30条の7に基づく知事の勧告
→医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告は,医療法上は当該勧告を受けた者が任意にこれに従うことを期待してされる行政指導として定められているけれども,当該勧告を受けた者に対し,これに従わない場合には,相当程度の確実さをもって,病院を開設しても保険医療機関の指定を受けることができなくなる
[自説の根拠]平成17/7/15
行政指導の公表が定められているような場合には、公表自体を取消訴訟の対象とし、さらに先行する行政指導の違法確認訴訟という方法もありうる。
上記判例のように、
行政指導が、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されることがある。
※判例・通説は行政指導は相手方の任意の履行を期待する事実行為だから、それが違法でも取消訴訟で争えないとする。しかし、法的構造によっては行政指導にも処分性を認め、取消訴訟で争える場合もある。
勧告がその後の決まった結果に繋がる先行処分のような機能を有する場合などである。
[自説の根拠]最二小判平成17.7.15
6
Aは,国有地である河川区域内の土地について行政庁Bから河川法第24条の占用許可を受けていたが,同法第26条第1項の許可を受けることなく当該土地上に工作物を設置した。次の記述について、適切か否か答えよ。
Bは,河川法第75条第1項により当該工作物の除却を命じたが,Aが当該工作物を撤去しない場合,危険が切迫しているため,撤去行為の急速な実施について緊急の必要があり,戒告及び代執行令書による通知手続を執る暇がないときは,これらの手続を経ないで代執行をすることができる。
(参照条文)河川法
第24条河川区域内の土地(中略)を占用しようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可を受けなければならない。
第26条河川区域内の土地において工作物を新築し,改築し,又は除却しようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,河川管理者の許可を受けなければならない。(以下略)
2~5 (略)
第75条河川管理者は,次の各号のいずれかに該当する者に対して,この法律若しくはこの法律に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定によつて与えた許可若しくは承認を取り消し,(中略),又は工事その他の行為の中止,工作物の改築若しくは除却(中略)その他の措置をとること若しくは河川を原状に回復することを命ずることができる。
一この法律若しくはこの法律に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定若しくはこれらの規定に基づく処分に違反した者,(以下略)
二,三(略)
2~10 (略) 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

非常の場合又は危険切迫の場合において、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、戒告する手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができます。
[自説の根拠]行政代執行法3条3項
行政代執行法第3条3項
非常の場合又は危険切迫の場合において、当該行為の急速な実施について緊急の必要があり、前2項に規定する手続をとる暇がないときは、その手続を経ないで代執行をすることができる。
[自説の根拠]行政代執行法第3条3項
7
行政事件訴訟に関する次の記述について、【】で示された該当個所の記述が適切か否か答えよ。
行政事件訴訟法第7条は,行政事件訴訟に関し,この法律に定めがない事項については,民事訴訟の例によると規定している。したがって,【(ア)取消訴訟においても,当事者の自白には拘束力があると解されている。】もっとも,取消訴訟は,処分が適法にされているか否かという公益に関係する事項を対象とするため,【(イ)行政事件訴訟法は,釈明についての特則を設けるとともに,当事者において主張しない事実をしんしゃくすることができることと,職権で証拠調べをすることができることを規定する】ほか,【(ウ)訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加や処分をした行政庁以外の行政庁の訴訟参加の規定を設けている。】また,処分権主義を徹底することは相当でないため,【(エ)取消訴訟においては,請求の認諾や放棄はできず,和解や訴えの取下げもできないと解されている。】
【(ウ)訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加や処分をした行政庁以外の行政庁の訴訟参加の規定を設けている。】 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その第三者を訴訟に参加させることができる。
裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その行政庁を訴訟に参加させることができる。
[自説の根拠]行政事件訴訟法 22条1項 23条1項
8
Xは,マンション建設を計画し,Y県知事に対し,都市計画法第29条の開発行為の許可を求める申請をした。ところが,その建設予定地は,急傾斜地であり,同開発行為によってがけ崩れがあれば直接的な被害を受けることが予想される近接地に居住しているZは,同開発行為が同法第33条第1項第7号の開発許可基準を満たしていないと考えている。次の記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
(参照条文)都市計画法
第33条都道府県知事は,開発許可の申請があつた場合において,当該申請に係る開発行為が,次に掲げる基準(中略)に適合しており,かつ,その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは,開発許可をしなければならない。
一~六(略)
七地盤の沈下,崖崩れ,出水その他による災害を防止するため,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められていること。(以下略)
八~十四(略)
2~8 (略)
Xは,Y県知事が相当の期間内に申請に対する許否の決定をしない場合,不作為の違法確認の訴えを提起することもできるし,これを提起しないで開発許可処分の義務付けの訴えを提起することもできる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
mizinco さんの記載に追加させていただきます。
第三十七条の三
3  第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。(中略)
一  第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
したがって、不作為の違法確認の訴えを併合しないと、義務づけの訴えは提起できません。
本文では長々と事例が示されているが、本肢の正誤判断には特に関係ない。
法第37条枝三第3項の「義務付けの訴え」は、同条同枝同項の第1号により「不作為の違法確認の訴え」を併合提起しなければならないので、本肢は誤りである
[自説の根拠]行政事件訴訟法
まとめさせていただくと、
不作為違法確認訴訟だけ提起することもできるし、
不作為違法確認訴訟と併合して、義務付け訴訟も提起できる。
関連問題
次の説明は、平成16年の行政事件訴訟法改正後の行政事件訴訟制度に関する記述である。
法令に基づく申請に対して相当の期間内に何らの処分もなされない場合は,原告の判断により,不作為違法確認訴訟または義務付け訴訟のいずれかを選択して提起することができる。
9
次の文章は,昭和48年12月12日の最高裁判所判決の一部分を抜き出したものである。
私的支配関係においては,個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害又はそのおそれがあり,その態様,程度が社会的に許容し得る限度を超えるときは,これに対する立法措置によってその是正を図ることが可能であるし,また,場合によっては,私的自治に対する一般的制限規定である民法第1条,第90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって,一面で私的自治の原則を尊重しながら,他面で社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し,その間の適切な調整を図る方途も存するのである。そしてこの場合,個人の基本的な自由や平等を極めて重要な法益として尊重すべきことは当然であるが,これを絶対視することも許されず,統治行動の場合と同一の基準や観念によってこれを律することができないことは,論をまたないところである。
次の論評について,この判決に対する論評として明らかに誤っているものに×を,そうとはいえないものに○を選びなさい。
この判決は,人権は対国家権力的なものという伝統的観念を前提にした上で,具体的な私的行為による人権侵害を,それに国家権力が財政援助や各種の監督ないし規制等を通じて極めて重要な程度にまでかかわり合いになった場合,又はある私的団体が国の行為に準ずるような高度に公的な機能を行使する場合に,国家権力による侵害と同視して憲法を適用しようとするものである,と評価することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
設問の判例は、いわゆる「三菱樹脂事件」。基本的人権の私人間効力について、いわゆる「間接適用説」を採ることを明らかにした判例です。
設問の枝は、いわゆる「国家行為の理論」についての説明なので、判例(間接適用説)の説明にはなっていません。
【直接適用説】
現代の憲法は単に制度としての国家の組織および権限を定めるものではなく、国民の全生活におよぶ客観的価値秩序であり、憲法の定める諸原則は社会生活の全領域において全面的に尊重され実現されるべきものである、という憲法観に立つ。特に、憲法の保障する「人間の尊厳」・「法の下の平等」・「表現の自由」・「人間に値する生存の権利」などは私法の領域にも直接に適用されるとする。
【間接適用説】
公法の領域に対する私法の独自性を認める立場に立ちつつ、司法の領域を支配している一般原則のなかに、憲法の基本的人権の原則を組み入れることによって、私人相互間の法律関係にも基本的人権保障規定を適用させようとするものである。すなわち、憲法が基本的人権を承認したことは、それらの権利・自由が不当に侵害されないことを以って国家の公の秩序を構成することを意味するものと考え、従って、私人相互間において、合理的な理由なく不当に権利・自由を侵害することは、わが国の場合でいえば、民法におけるいわゆる「公の秩序・善良の風俗」に反するという理由で無効・違法であるとする。
===
私人間における憲法の基本的人権規定への適用について、三菱樹脂事件判決を含め、判例の多くは間接適用説を採っている。
設問は、国家同視説についての説明で、アメリカの判例によって確立された憲法理論。日本では採用されていない。
憲法は対国家の規範であるため、憲法の人権規定を当然に私人間に適用することはできない。そこで、原則的に憲法の私人関効力を否定しつつ、加害者たる私人を国家機関とみなすことができる場合には、その者による具体的な私的行為を国家行為と同視することで、憲法の直接適用を可能とする。
[自説の根拠]WIKIより引用
10
以下は,「裁判所は,職業活動による他人の生命,健康への侵害を防止するなどの消極的・警察的目的を達成するために職業選択の自由が制限される場合には,国民経済の円満な発展や社会公共の便宜の促進,経済的弱者の保護等の社会政策及び経済政策上の積極目的を達成するために職業選択の自由が制限される場合よりも,その合憲性を厳密に審査すべきである」という考え方(以下「消極目的規制・積極目的規制二分論」という。)に関する文章である。次の記述について,bがaに対する批判又は反論として成り立っているものについては○を,そうでないものについては×を選択しなさい。
a.消極目的規制・積極目的規制二分論には,規制目的の類型によって規制手段に対する違憲審査基準が決まる理由が明らかでないという問題がある。b.消極目的の規制については,裁判所が必要性・合理性の判断をすることが比較的容易であるが,積極目的の規制は,社会経済政策実施のための規制であって,その必要性・合理性の判断が裁判所になじみにくい。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

憲法22 条1 項については、
(a)小売市場距離制限
(b)薬局距離制限
(c)二重の基準論
で考えると理解しやすい。
(c)では、経済的自由の規制は立法府を尊重し、より緩やかな「合理性の基準」で判断されるが、これは「裁判所は政策的判断能力に乏しい」という理由もある。
本文の規制目的二分論では「合理性の基準」を、
①積極目的規制(社会的・経済的弱者を保護する政策的規制)
②消極目的規制(職業活動の弊害から社会公共の安全を確保する警察的規制)
に区分する。※↓つづく
[自説の根拠]なお各々の違憲審査基準
①は「明白の原則」
②は「厳格な合理性の基準」
が適用される。
※つづき
しかしこの区別は明確でなく「公衆浴場距離制限」は②だったのが事情の変化で①になった。同じ②でも、新規参入制限(職業選択の制限)は営業行為(職業遂行の自由)の制限より厳しく審査されるべきで、さらに本人の能力に関係しない(競争制限的規制)は、より厳格な審査が必要。
国会が特定業界の保護をあたかも福祉貢献のように装った(b)は違憲無効とすべきだが、他方、国会が正面からその目的で制定した(a)の場合、それは国会が果たすべき交渉と妥協による利害調整の結果であり、それこそ公共の福祉に他ならない
早い話、文理的解釈のみで、
①a.は目的を二分する「理由」が明確ではない、と述べている。
②b.は裁判所による審査が一方には適切で、他方には不適切だという「事実」を、述べている。
③b.の「事実」を、a.の文脈中の「理由」だと、みなせば、b.はa.という命題への反論の「根拠」足りうる。
よって、(そのようなものを◎と解答すればよいなら)◎である。
[自説の根拠]文理解釈(論理解釈?)
なかなかいい感じ。もう少しで合格点なのでファイト!
今勉強中の仲間に、息抜きコメントを送る
1
次の文章は、いわゆる北方ジャーナル事件の最高裁判所判決に関する文章である(ただし,同じ語句又は文章が入ることはない。)。
憲法第21条第2項前段にいう検閲とは,【ア】が主体となって,思想内容等の表現物を対象とし,その全部又は一部の発表の禁止を目的として,対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査した上,不適当と認めるものの発表を禁止することをいい,出版物の頒布等の仮処分による事前差止めは,検閲に【イ】。しかし,表現行為に対する事前抑制は,(A)というべきである。出版物の頒布等の事前差止めは,このような事前抑制に該当するものであって,とりわけその対象が,公務員又は公職選挙の候補者に対する評価,批判等の表現行為に関するものである場合には,(B)ものといわなければならない。ただ,そのような場合であっても,(C)。
上記の文章中の【イ】に入る適切な言葉を選べ。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月07日)
当たらない
(不正解) 当たる
ア:行政権
イ:当たらない
(A):表現の自由を保障し検閲を禁止する憲法21条の趣旨に照らし、厳格かつ明確な要件のもとにおいてのみ許容されうるもの
(B):そのこと自体から、一般にそれが公共の利害に関する事項であるということができる。
(C):当該行為に関する事前差止めは、原則として許されないものといわなければならない。
===
判例は、検閲について以下のように定義した。
「検閲とは、行政権が主体となつて、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査したうえ、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指すと解す」
また、裁判所の仮処分による事前差止めについては、以下のように解した。
「仮処分による事前差止めは、表現物の内容の網羅的一般的な審査に基づく事前規制が行政機関によりそれ自体を目的として行われる場合とは異なり、個別的な私人間の紛争について、司法裁判所により、当事者の申請に基づき差止請求権等の私法上の被保全権利の存否、保全の必要性の有無を審理判断して発せられるものであつて、右判示にいう「検閲」には当たらないものというべきである。」
(最判昭和61年6月11日)
行政権ではなく、司法権が発したものなので、検閲にはあたりません。 しかし、憲法21条1項(集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。)に反し、事前抑制に当たるとしています。
事前抑制が例外的に許されるのは、実体的要件を具備する時に限られるとも判示しています。
[自説の根拠]最大判昭61.6.11
関連問題
「教育を受ける権利」の性質については,社会権説,公民権説,学習権説が主張されている。(1)配慮を求める社会権説は,かつての通説的見解であり,教育の(2)の平等を実現するための(1)配慮を国家に対して要求する権利ととらえる。公民権説は,国民主権の原理の下で,次の時代の(3)を育成することを重視する。学習権説は,発達過程にある子供の学習する権利を保障したものと解する。近時の多数説は,学習権説である。「教育を受ける権利」を学習権と結び付けて解しても,そこから国家の教育内容への(4)に関して同じ結論が導かれるわけではないことに注意する必要がある。第二次家永教科書検定事件第一審判決(東京地判昭和45年7月17日)は,学習権という把握から国民の教育権を導き出し,国家の教育内容への(4)を原則として否認した。第一次家永教科書検定事件第一審判決(東京地判昭和49年7月16日)は,学習権と把握しつつも,国の権能が教育内容や教育方法にも及び得ることを是認した。旭川学力テスト事件上告審判決(最大判昭和51年5月21日)は,憲法第26条の規定の背後に学習権という観念が存在していることを肯定しつつも,そこから教育権の(5)について特定の見解が直ちに帰結されるものではないとした。学習権の意義を,最高裁判決と同様に,教師や親の教育の自由を根拠付けるとともに,これら教育の自由の(6)原理になる点にあるとする見解もある。他方で,学習権はもともと国民の教育権にかかわる教育思想であったことを理由に,最高裁判決のように,国家の教育権を導き出す機能を果たす学習権概念の使用を批判する見解もある。
上記の文章中の(4)に入る適切な言葉を選べ。
2
「教育を受ける権利」の性質については,社会権説,公民権説,学習権説が主張されている。(1)配慮を求める社会権説は,かつての通説的見解であり,教育の(2)の平等を実現するための(1)配慮を国家に対して要求する権利ととらえる。公民権説は,国民主権の原理の下で,次の時代の(3)を育成することを重視する。学習権説は,発達過程にある子供の学習する権利を保障したものと解する。近時の多数説は,学習権説である。「教育を受ける権利」を学習権と結び付けて解しても,そこから国家の教育内容への(4)に関して同じ結論が導かれるわけではないことに注意する必要がある。第二次家永教科書検定事件第一審判決(東京地判昭和45年7月17日)は,学習権という把握から国民の教育権を導き出し,国家の教育内容への(4)を原則として否認した。第一次家永教科書検定事件第一審判決(東京地判昭和49年7月16日)は,学習権と把握しつつも,国の権能が教育内容や教育方法にも及び得ることを是認した。旭川学力テスト事件上告審判決(最大判昭和51年5月21日)は,憲法第26条の規定の背後に学習権という観念が存在していることを肯定しつつも,そこから教育権の(5)について特定の見解が直ちに帰結されるものではないとした。学習権の意義を,最高裁判決と同様に,教師や親の教育の自由を根拠付けるとともに,これら教育の自由の(6)原理になる点にあるとする見解もある。他方で,学習権はもともと国民の教育権にかかわる教育思想であったことを理由に,最高裁判決のように,国家の教育権を導き出す機能を果たす学習権概念の使用を批判する見解もある。
上記の文章中の(1)に入る適切な言葉を選べ。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月07日)
経済的
(正解) 経済的
1、経済的
2、機会
3、主権者
4、介入
5、所在
6、制約
関連問題
行政事件訴訟法第2条は,行政事件訴訟とは,〔A〕,〔B〕,〔C〕及び〔D〕をいうと定めている。課税処分を受けた納税者がその取消しを求める訴えは,〔A〕であり,土地収用法に基づく収用委員会の裁決のうち損失の補償に関する訴えは,〔B〕であり,普通地方公共団体の住民が,市に対して不法行為を行った者に対して市長が損害賠償請求権を行使しないことの違法確認を求める訴えは,〔C〕であり,〔E〕は,〔D〕である。
上記の文章中の〔C〕に入る適切な言葉を選べ。
3
水道事業者による給水拒否について、最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
建築基準法に違反して建築確認を取得せずになされた増築部分について,水道事業者である地方公共団体の職員が給水装置新設工事の申込書を返戻した場合,その趣旨が,建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けた上で再度,当該工事の申込みをするよう一応の勧告をするにとどまるものと認められるときであっても,それは申込みに対する違法な拒否に当たる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
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最判(一小)S56.7.16 昭和53(オ)1386号事件(行政判例百選Ⅰ〔第四版〕124事件)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/547B3EC771651ED149256A8500311FE7.pdf
より抜粋。

被上告人市の水道局給水課長が上告人の本件建物についての給水装置新設工事申込の受理を事実上拒絶し、申込書を返戻した措置は、右申込の受理を最終的に拒否する旨の意思表示をしたものではなく、上告人に対し、右建物につき存する建築基準法違反の状態を是正して建築確認を受けたうえ申込をするよう一応の勧告をしたものにすぎないと認められるところ、これに対し上告人は、その後一年半余を経過したのち改めて右工事の申込をして受理されるまでの間右工事申込に関してなんらの措置を講じないままこれを放置していたのであるから、右の事実関係の下においては、前記被上告人市の水道局給水課長の当初の措置のみによつては、未だ、被上告人市の職員が上告人の給水装置工事申込の受理を違法に拒否したものとして、被上告人市において上告人に対し不法行為法上の損害賠償の責任を負うものとするには当たらないと解するのが相当である。

判例は設問肢の事例について違法性を否定していますね。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記判例です。
現在では返戻は許されておらず(行手法7条)、返戻をすることは違法な拒否に当たると思います。
そこで、行手法施行前の判例であるS56.7.16はもはや先例性を失っているように思うのですが、それでも「最高裁判所の判例に照らして」と問題にある以上、「違法な拒否に当たらない」と解答すべきなのでしょうか。
[自説の根拠]行手法2条3号も参照
この問題(平成18年度新試短答公法系第27問)には参照条文がついていました。
(参照条文)水道法
第15条第1項水道事業者は,事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは,正当な理由がなければ,これを拒んではならない。
4
行政調査について、法令及び最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
国税犯則取締法第3条第1項は,憲法第33条の場合を除外して住居,書類及び所持品につき侵入,捜索及び押収を受けることのない権利を保障する憲法第35条に違反するものではない。
(参照条文)国税犯則取締法
第2条収税官吏ハ犯則事件ヲ調査スル為必要アルトキハ其ノ所属官署ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ノ許可ヲ得テ臨検,捜索又ハ差押ヲ為スコトヲ得
二項 前項ノ場合ニ於テ急速ヲ要スルトキハ収税官吏ハ臨検スヘキ場所,捜索スヘキ身体若ハ物件又ハ差押ヲ為スヘキ物件ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ノ許可ヲ得テ前項ノ処分ヲ為スコトヲ得
三項から五項まで(略)
第3条間接国税ニ関シ現ニ犯則ヲ行ヒ又ハ現ニ犯則ヲ行ヒ終リタル際ニ発覚シタル事件ニ付其ノ証憑ヲ集取スル為必要ニシテ且急速ヲ要シ前条第一項又ハ第二項ノ許可ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ犯則ノ現場ニ於テ収税官吏ハ同条第一項ノ処分ヲ為スコトヲ得
二項 (略) 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

国税犯則取締法に関して違憲とした判例は無く、正しい記述であると理解しています。
[自説の根拠]最判S30.4.7
●最判昭和30年4月27日
「・・・少くとも現行犯の場合に関する限り、法律が司法官憲によらずまた司法官憲の発した令状によらずその犯行の現場において捜索、押収等をなし得べきことを規定したからとて、立法政策上の当否の問題に過ぎないのであり、憲法三五条違反の問題を生ずる余地は存しないのである。さればこれと異る見地に立つて国税犯則取締法三条一項の規定を憲法三五条に違反すると主張し、且これを前提として原判決に訴訟法違反ありとする論旨には賛同することができない。」
[自説の根拠]酒税法違反幇助事件(最判昭和30年4月27日)
5
仮の救済について、適切か否か答えよ。
取消訴訟において裁判所が執行停止をする場合,処分の効力,処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止をすることができるにとどまるのに対し,審査請求においては,審査庁は執行停止としてその他の措置をすることができる場合もある。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

関連条文:
行政事件訴訟法25条2項本文
「処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。」
行政不服審査法34条2項
「処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をすることができる。」
後者の条文の最後に出てくる「その他の措置」の有無を認識しているか、というのがこの設問の趣旨なのでしょう。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記の条文です。
執行停止といえば、内閣総理大臣です
審査庁には、上級行政庁の場合と上級行政庁以外の場合があります。
上級行政庁はその他の措置をとることができるが、上級行政庁以外の審査庁は
処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止のみ行う
ことができる。
[自説の根拠]34条2項および3項
関連問題
次の説明は、行政不服審査法における審査請求に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
処分庁の上級行政庁以外の審査庁は,必要があると認めるときは,審査請求人の申立てにより又は職権で,処分の効力,処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置をすることができる。
6
行政不服審査及び行政事件訴訟について、適切か否か答えよ。
審査請求の不服申立期間(処分があったことを知った日を基準として起算されるもの)が経過した場合であっても,やむを得ない理由があるときは審査請求をすることができるのに対し,取消訴訟の出訴期間(処分があったことを知った日を基準として起算されるもの)が経過した場合には,もはやその訴えを提起し得る余地はない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
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関連条文:
行政不服審査法第14条第1項
「審査請求は、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内(当該処分について異議申立てをしたときは、当該異議申立てについての決定があつたことを知つた日の翌日から起算して三十日以内)に、しなければならない。ただし、天災その他審査請求をしなかつたことについてやむをえない理由があるときは、この限りでない。」
行政事件訴訟法第14条第1項・第2項
「取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2  取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」
つまり、出訴期間を途過した行政訴訟も、正当事由があれば提起可能です。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記の条文です。
もはやその訴えを提起し得る余地はない。
…のくだりは、いかにも誤肢バレバレです(笑) 事実、行訴法にも「正当な理由があるときは…」と、出訴期間の例外規定が置かれています。
ちなみにですが、
行審法「…あったことを知った日の翌日」
行訴法「…があったことを知った日」
↑コレ、どちらも結局、同じです。
[自説の根拠]初日不参入の原則
民事訴訟法第95条  期間の計算については、民法の期間に関する規定に従う。
民法第140条  日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。
審査請求も取消訴訟も、期間が過ぎても提訴できる場合がある
災害等でやむを得ない事由があるときにもしシャットダウンされたらたまったもんじゃありませんね・・・
ちなみに、「出訴期間を途過したら提訴できない」ことは『不変期間』と呼ばれています。
で、行政試験に関係する『不変期間』は《住民訴訟》です。
地方自治法第242条の2
2  前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる期間内に提起しなければならない。
「…(略)…」三十日以内
3  前項の期間は、不変期間とする。
7
行政裁量について、法令又は最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
出入国管理及び難民認定法第26条第1項が外国人の再入国許可に関して許可の判断基準を特に規定していないのは,再入国の許否の判断を法務大臣の裁量に任せ,その裁量権の範囲を広範なものとする趣旨であると解されている。
(参照条文)出入国管理及び難民認定法
第26条法務大臣は,本邦に在留する外国人(中略)がその在留期間(在留期間の定めのない者にあつては,本邦に在留し得る期間)の満了の日以前に本邦に再び入国する意図をもつて出国しようとするときは,法務省令で定める手続により,その者の申請に基づき,再入国の許可を与えることができる。この場合において,法務大臣は,その者の申請に基づき,相当と認めるときは,当該許可を数次再入国の許可とすることができる。
2~7 (略) 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

(再入国の許可)
第二十六条 法務大臣は、本邦に在留する外国人(仮上陸の許可を受けている者及び第十四条から第十八条までに規定する上陸の許可を受けている者を除く。)がその在留期間(在留期間の定めのない者にあつては、本邦に在留し得る期間)の満了の日以前に本邦に再び入国する意図をもつて出国しようとするときは、法務省令で定める手続により、その者の申請に基づき、再入国の許可を与えることができる。この場合において、法務大臣は、その者の申請に基づき、相当と認めるときは、当該許可を数次再入国の許可とすることができる。
[自説の根拠]出入国管理及び難民認定法第26条
判例では、出入国管理令21条3項に基づく在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無の判断について、「法務大臣の裁量に任されているものであり、上陸拒否事由又は退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新を不許可にすることが許されないものではない。」と判示しています。
そして、「在留期間の更新事由が概括的に規定されその判断基準が特に定められていないのは、更新事由の有無の判断を法務大臣の裁量に任せ、その裁量権の範囲を広汎なものとする趣旨からである」と述べています。
[自説の根拠]在留期間更新不許可処分取消(マクリーン事件):最高裁昭和53.10.4
出国後にはもはや利益が存しないのでしたでしょうか?
大臣たった一人で決められるんですね。
広範という言葉の範囲が分かりません
8
法人税法(平成13年法律第129号による改正前のもの。以下同じ。)上の質問検査権に関する最高裁判所平成16年1月20日第二小法廷決定(刑集58巻1号26頁)の次の判示を読み,次の記述について,明らかに同決定の考え方と整合しないものには×とし、それ以外を○とせよ。
法人税法「156条によると,同法153条(中略)に規定する質問又は検査の権限は,犯罪の証拠資料を取得収集し,保全するためなど,犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使することは許されないと解するのが相当である。しかしながら,上記質問又は検査の権限の行使に当たって,取得収集される証拠資料が後に犯則事件の証拠として利用されることが想定できたとしても,そのことによって直ちに,上記質問又は検査の権限が犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたことにはならないというべきである。」
(参照条文)法人税法
第153条国税庁の当該職員又は法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は,法人税に関する調査について必要があるときは,法人に質問し,又はその帳簿書類その他の物件を検査することができる。
第156条前三条の規定による質問又は検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
犯則調査は,一種の行政手続であって刑事手続(司法手続)ではないから,その実質が租税犯の捜査としての機能を有するものであっても,法人税法第156条にいう「犯罪捜査」に含まれない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
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本来はmizinco さんご本人による解説が一番なのですが…。
mizinco さんのコメントより→「~質問又は検査の権限が犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたものと見るべき根拠はないから~」←
↑『実質』が租税犯の捜査でない事を示しているかと…。
「実質が無い→犯罪捜査に当たらない。」から「実質が有る→犯罪捜査に当たらないとは言えない。」を導き出し、本問は「実質~有するので×。」という意味かと思いました。
ズレてたらすいません。
156条は153条の権限を犯罪捜査に使うなと述べているだけです。犯則調査に使えるかは解釈の問題です。
最高裁は、153条の権限は犯則事件の調査に使えないと述べています。したがって、犯則調査は156条の「犯罪捜査」に含まれると解釈しています。
選択肢は、犯則調査は156条の「犯罪捜査」に含まれないとしています。したがって、誤りです。
判例の見解:質問又は検査の権限が犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたものと見るべき根拠があれば違法だと(本件ではその根拠がないとされたに過ぎない)
一方、
設問肢の見解:犯則調査(行政手続)なので、その実質いかんにかかわらず156条の犯罪捜査(司法手続)にあたることはない(言い換えれば、絶対的に否定する見解)
よって、整合しないので、×バツです。
[自説の根拠]上記、判例
9
Aは,国有地である河川区域内の土地について行政庁Bから河川法第24条の占用許可を受けていたが,同法第26条第1項の許可を受けることなく当該土地上に工作物を設置した。次の記述について、適切か否か答えよ。
Bが,行政代執行法に基づく代執行により当該工作物を除却することができる場合であっても,国は,当該土地の所有権に基づいて工作物収去土地明渡しを求める民事訴訟を提起し,確定判決を得て民事執行により当該工作物を撤去することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

iiikkkaaa氏のコメントにある大阪高決は、職員立退きの義務に伴う職員による事実行為を代執行の方法等により独立した義務内容として取り扱うことが許されないとしているのであって、設問とは無関係です。設問からは、建物の除却義務が代替的作為義務たることを読み取ることが可能です。問題は、法が行政権の主体における除却命令を定めたのでなく、あくまで、単に、それが代替的作為義務と見なされ得るに過ぎない場合に、行政庁がいきなり代執行できるのか否かといった点にあるのでしょう。
シャベル等や建築資材の判例ですよね。
即時強制は不可能だったんでしょうか?
●行政上の強制徴収が認められている場合→専らその方法によるべきで、民事訴訟、民事執行はできない。判例。●非金銭的執行分野で行政上の執行が法定されている場合→最高裁の判例はないが、下級審では、河川法にもとずく現状回復義務履行請求について民事訴訟、民事執行を認める裁判例がある。
[自説の根拠]行政法概説Ⅰより
10
次の訴訟が、行政事件訴訟法第4条の「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」に分類される場合には○を,そうでない場合には×を選びなさい。
薬局の開設を登録制から許可制に改めた薬事法の改正が憲法に違反するとして,旧法に基づく登録をして薬局を開設していた者が,国を被告として提起する,新法に基づく許可を受けなくても薬局の開設ができる権利があることの確認を求める訴訟 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

最高裁の判例がある事例ですね。
[自説の根拠]最大判昭41年7月20日(民集20巻6号1217頁)
実質的当事者訴訟は、柱文通り定義される。ゆえに通達や行政指導を争う場合は「なぜその訴訟が公法上といえるのか」が論点として問われる。
この点、例えば、
①いわゆる薬局開設事件訴訟(本肢)
②日本人の子かどうかが争われている場合に、それを前提に出生した子の日本国籍の確認を求める訴訟
③ゴミ収集場所をダストボックスに限定した市の計画は無効として、従来の場所で収集する義務の確認を求める訴訟
…は、公法上の地位や、市町村の義務の確認に関わる訴訟なので、公法性が充足されていると考えられる。
[自説の根拠]②最二小平9・10・17判決
③東京地平6・9・9判決
今勉強中の仲間に、息抜きコメントを送る
1
次の事例における原告が訴訟行為をするとした場合,選択肢に掲げる各手続のうち,最も適切なものを選べ。
(参照条文)行政事件訴訟法
第7条 行政事件訴訟に関し,この法律に定めがない事項については,民事訴訟の例による。
第15条 取消訴訟において,原告が故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤つたときは,裁判所は,原告の申立てにより,決定をもつて,被告を変更することを許すことができる。
2~7 (略)
第19条 原告は,取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで,関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。(以下略)
2 前項の規定は,取消訴訟について民事訴訟法(平成8年法律第109号)第143条の規定の例によることを妨げない。
第20条 前条第1項前段の規定により,処分の取消しの訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えに併合して提起する場合には(中略),その提起があつたときは,出訴期間の遵守については,処分の取消しの訴えは,裁決の取消しの訴えを提起した時に提起されたものとみなす。
第21条 裁判所は,取消訴訟の目的たる請求を当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体に対する損害賠償その他の請求に変更することが相当であると認めるときは,請求の基礎に変更がない限り,口頭弁論の終結に至るまで,原告の申立てにより,決定をもつて,訴えの変更を許すことができる。
2~5 (略)
(参照条文)民事訴訟法
第143条 原告は,請求の基礎に変更がない限り,口頭弁論の終結に至るまで,請求又は請求の原因を変更することができる。(以下略)
2~4 (略)
裁決の取消しの訴えにおいて,裁決の通知を受けた日から6か月を経過した後に,原告が,原処分についても取消しを求めようとする事例 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
行政事件訴訟法第19条第1項の規定に基づく請求の追加的併合
(不正解) 行政事件訴訟法第15条第1項の規定に基づく被告の変更
処分取消しの訴えの出訴期間は処分を知った日から6か月です(行訴14条1項)。問題文では、処分の後の裁決の日から6か月を経過しているので、原処分の取消しの出訴期間を経過しています。
そこで、この出訴期間制限を免れる方法がないか選択肢を見ると、行訴19条1項の規定の基づいて裁決取消しの訴えに原処分取消しの訴えを併合提起する場合には、同20条により、その処分取消しの訴えは裁決取消しの訴えの提起時に提起されたものとされるので、出訴期間の制限にひっかからないことになります。
2
最高裁判所昭和60年12月17日第三小法廷判決(伊達火力発電所訴訟判決)の次の判示について、適切か否か答えよ。
「行政処分の取消訴訟は,その取消判決の効力によつて処分の法的効果を遡及的に失わしめ,処分の法的効果として個人に生じている権利利益の侵害状態を解消させ,右権利利益の回復を図ることをその目的とするものであり,行政事件訴訟法9条が処分の取消しを求めるについての法律上の利益といつているのも,このような権利利益の回復を指すものである。したがつて,処分の法的効果として自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に限つて,行政処分の取消訴訟の原告適格を有するものというべきであるが,処分の法律上の影響を受ける権利利益は,処分がその本来的効果として制限を加える権利利益に限られるものではなく,行政法規が個人の権利利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている権利利益もこれに当たり,右の制約に違反して処分が行われ行政法規による権利利益の保護を無視されたとする者も,当該処分の取消しを訴求することができると解すべきである。」
この判示は,行政処分の取消訴訟に関し,処分の本来的効果として権利利益を制限される者にのみ原告適格を認め,それ以外の者には原告適格を認めないという立場をとるものである。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
設問の判示によれば、
「処分の法的効果として自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に限つて,行政処分の取消訴訟の原告適格を有するものというべきであるが,」
に続いて、
「処分の法律上の影響を受ける権利利益は,処分がその本来的効果として制限を加える権利利益に限られるものではなく,」
となっているので、
設問の「それ以外の者には原告適格を認めないという立場 」は適切ではありません。
3
抗告訴訟の審理について、適切か否か答えよ。
税務署長の行った所得税の更正処分の取消訴訟が,東京地方裁判所及び当該税務署長の所在地を管轄する地方裁判所以外の地方裁判所の管轄に属する場合は,合意管轄又は応訴管轄による場合以外にもある。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

行政処分の取消訴訟に係る管轄裁判所が拡大され、行政訴訟へのアクセスが容易になった。この改正に伴い、例えば、京都の下京税務署長が行った処分の取消訴訟の場合、京都地裁はもちろんのこと、大阪地裁や東京地裁で訴訟が提起されるケースが生じるとともに、複数年分にわたって更正処分を行う場合には、異なる複数の裁判所に同時に訴訟が係属するケースが生じ得る。(国税庁ホームペジより抜粋)
前提として、処分の取消しの訴えの被告適格は、当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体です(行訴11条1項1号)。本件の場合、処分庁は税務署長で、国に所属しているので、被告は国となります。
被告が国の場合、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも管轄があります(特定管轄裁判所)(行訴12条3項)。
*calcalさんのコメント後段の条文は「行訴12条‘4’項」ですね。条文を挙げておきます。
○行政事件訴訟法12条4項
「『国』又は独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人若しくは別表に掲げる法人を『被告』とする取消訴訟は、『原告』の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも、提起することができる。」
[自説の根拠]行政事件訴訟法12条4項
4
行政事件訴訟法上の差止めの訴えについて、適切か否か答えよ。
行政庁が一定の処分をしようとしている場合に,その処分の差止めの訴えが提起されたときは,当該処分がされてしまうと訴えの利益が失われてしまうことから,差止めの訴えの提起とともに,当該行政庁は当該処分を行うことができなくなるものとされている。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
差止めの訴えが提起されれば、なされようとしていた行政行為が「当然に」ストップされるというわけではない(よって本肢は、×バツ)
だが、ストップされなければ救済としての意味が実質的になくなってしまう。
そこで、申立てにより、決定をもつて、仮に差止めることができる。
だがそこまでする以上、それ相応の理由がなければならない。それが37の5Ⅱ(上コメ引用)
以上、事前救済の制度において、要件が厳しく規定されることになる理由です(民事訴訟の給付訴訟と違う点)。
[自説の根拠]詳しくは、塩野「行政法Ⅱ」参照、ですが、ちょっと内容が深すぎるかも、、、
執行不停止の原則が適用されるだけのように感じますが
ちがいますでしょうか。
執行不止(不停止の原則)は、処分が既になされてしまった時→取消訴訟で争う他ない(公定力発生)
差止めの方は、処分がなされる前、なされてしまうと取り返しがつかなくなるという場合
という場面の違いでしょうか。
5
行政手続法第6章(意見公募手続等)に関する以下の記述について、明らかに誤っている記述のみを×とし、それ以外を○とせよ。
意見公募手続の規定は,行政上の規制に係る命令等を対象としており,行政上の給付に係る命令等を定める場合には適用がない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
「規制行政」の対義語としての「給付行政」という言葉は、大雑把に言えば、積極的なサービスという意味です。お金だけが含まれるわけではありません。医療サービスの提供も給付の1つです。
補足させて頂くと、意見公募手続対象の「命令等」は、行政上の「規制」に係るものに限定されていませんから、本肢は明らかに誤っている為×。となります。
[自説の根拠]行手§2-8
不利益なのか利益になることなのか、の違いでしょうね。
関連問題
行政手続法について、適切か否か答えよ。
地方公共団体の機関が定める命令等については,その根拠となる規定が法律に置かれている場合には,行政手続法第6章(意見公募手続等)の規定が適用される。
6
行政指導に関する以下の記述について、明らかに誤っている記述のみを×とし、それ以外を○とせよ。
行政指導は,多様な行政需要に臨機に対応するためにされる事実的行為であるから,条理上も,行政機関に行政指導についての作為義務が生ずることはない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
行政庁が行政指導するか否かは自由裁量行為であって法的義務があるわけではないが,……強大な権限を背景とし企業等に対し影響力を行使しうる行政庁は,前記5要件に該当するような緊急事態にあっては,これに即応し適切な行政指導をなすべき義務が発生するものというべく,右義務を怠り,国民の生命,健康に対する重大な危害の発生を防除しなかったときには,行政庁が国民から付託された責務に違反し,右違反は作為義務違反となることもありうる
熊本水俣病第3次第1陣訴訟の熊本地判昭和62・3・30
厚生大臣は,再評価の結果を待つまでもなく,本件非加熱フィブリノゲン製剤の製造,販売業者である被告会社らに対し,緊急安全性情報を配布するよう被告会社らに行政指導すべき義務があった
C型肝炎訴訟の福岡地判平成18・8・30
やや遠いですが、最判H20.3.3
「確かに,行政指導自体は任意の措置を促す事実上の措置であって,これを行うことが法的に義務付けられるとはいえず(中略)しかしながら(中略)このような状況の下では,薬品による危害発生を防止するため(中略)薬務行政上,その防止のために必要かつ十分な措置を採るべき具体的義務が生じた(中略)。そして,防止措置の中には,任意の措置を促すことで防止の目的を達成することが合理的に期待できるときは,これを行政指導というかどうかはともかく,そのような措置も含まれる(以下略)。」
条理とは
法律上、成文法・慣習法・判例法などが欠けているとき裁判の基準となる事物の本性(物事の道理、筋道)をいう。広くは社会通念、公序良俗(信義誠実の原則)を含む。実定法規に欠缺や疑義のある場合、条理により解釈することを条理解釈という。
7
訴えの利益について、法令又は最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
ある県の公文書公開条例に基づく公文書の公開請求について非公開決定を受けた者が同決定の取消しを求める訴訟において,当該公文書が書証として提出された場合であっても,同人には,同条例に基づき公文書の公開を請求して,所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し,又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益があるから,上記非公開決定の取消しを求める訴えの利益は失われない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

最判平14.2.28「愛知県知事交際費事件判決」
…本件条例5条所定の公開請求権者は、本件条例に基づき公文書の公開を請求して、所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し、又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから、請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても、当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではないと解するのが相当である。
初学者で申し訳ない質問なのですが、文章の最後「取り消しを求める訴えの利益は消滅するものではない」というのは、結果、取り消しは認められたということなのでしょうか?
処分の取消訴訟は対象となる処分を取り消すことで現実的救済を与えることが必要であって、侵害されていた権利利益を回復できない場合には訴訟を維持させる必要がなくなる訳です(=不適法として却下される)。ただし、処分の効果が消滅した後でも回復すべき法律上の利益を有すると認められる場合には訴えの利益は存続し、訴訟を維持することが出来るということです。
つまり「訴えの利益が消滅するものではない」というのは「書証を提出したからといって訴訟を維持させる必要が無くなった訳ではない」ということです。
自分でじっくり見たい、ということですね。
「文書の内容を知る」という、当初の目的が達成されたとしても、訴えの利益は失われないとしています。
公開前に内容を知っても、それは公開しない根拠にならない、という事らしいです。
当事者から見れば、訴えの利益は内容を知る事ですが、制度の法的安定性を考えると、公開させる事が訴えの利益になるようです。
[自説の根拠]行政書士試験 平成20年度 問17
8
最高裁判所平成20年9月10日大法廷判決(以下「本判決」という。)は,土地区画整理法に基づく土地区画整理事業計画の決定が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると判断したが,本判決に関する次の記述について,適切か否か答えよ。
土地改良法に基づく国営又は都道府県営の土地改良事業の事業計画の決定について行政上の不服申立てが認められていることを根拠の一つとして,市町村営の土地改良事業に関し都道府県知事が行う事業施行の認可の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが,本判決も,土地区画整理事業計画の決定に行政上の不服申立てが認められていることを理由に処分性を認めた。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
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判旨をざっと読んでみましたが、「行政上の不服申立てが認められていることを理由に処分性を認めた。」と言えるような記述はありませんでした。
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市町村の施行に係る土地区画整理事業の「事業計画の決定」
①施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって,抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するものということができ(=処分性あり)
②実効的な権利救済を図るという観点から見ても,これを対象とした抗告訴訟の提起を認めるのが合理的である。
(最判・平成20年09月10日)
umebosi様 解説かぶせるようですみません。
換地処分を受けた宅地所有者等やその前に仮換地の指定を受けた宅地所有者等は,当該換地処分等を対象として取消訴訟を提起することができるが,換地処分等がされた段階では,実際上,既に工事等も進ちょくし,換地計画も具体的に定められるなどしており,その時点で事業計画の違法を理由として当該換地処分等を取り消した場合には,事業全体に著しい混乱をもたらすことになりかねない。それゆえ,換地処分等の取消訴訟において,宅地所有者等が事業計画の違法を主張し,その主張が認められたとしても,当該換地処分等を取り消すことは公共
の福祉に適合しないとして事情判決(行政事件訴訟法31条1項)がされる可能性が相当程度あるのであり,換地処分等がされた段階でこれを対象として取消訴訟を提起することができるとしても,宅地所有者等の被る権利侵害に対する救済が十分に果たされるとはいい難い。そうすると,事業計画の適否が争われる場合,実効的な権利救済を図るためには,事業計画の決定がされた段階で,これを対象とした取消訴訟の提起を認めることに合理性があるというべきである。
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定
は,施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって…
~上記事業計画の決定は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。
「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるというのが理由のようです。
結論に対する理由としては、「事業計画の決定は、施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすものであって、抗告訴訟の対象とするに足りる法的効果を有するもので、実効的な権利救済を図るためのもの」とされており、問題文にある「土地区画整理事業計画の決定に行政上の不服申立てが認められていること」を理由とはしていない。むしろ、この理由があってはじめて不服申立てがでできると解釈すべきで、回答は「☓」となる。特に、この判決は、最高裁の従来判決を変更したものとして、注目がされている判決である。
[自説の根拠]土地区画整理事業の事業計画決定(最大判平20.9.10)
この問いの正解の選択肢は以下です。
都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の施行地区内の土地の所有者等は,特段の事情のない限り,自己の所有地等が収用されるべき地位に立たされるなど,その法的地位に直接的な影響を受けるとして,当該事業に係る事業計画の決定の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが,本判決も,土地区画整理事業の事業計画の施行地区内の宅地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすとの理由で同事業計画の決定の処分性を認めた。
[自説の根拠]最判平20.9.10
従来は最判昭41.2.23での処分性を拒否する考えが一般的だった様ですが、これを覆す重要判例との事です。
最判昭41.2.23は以下となります。
事業計画の決定を一般的・抽象的なものとし、当該土地区画整理事業の青写真たる性質を有するにすぎないとし、建築制限等が課される点は決定の公告に伴う附随的効果にとどまり、救済手段は具体的な処分がなされた時点で認めれば足りるのであって、事業計画の決定・公告の段階では事件の成熟性がないとして処分性を否定しました。
9
Xは,マンション建設を計画し,Y県知事に対し,都市計画法第29条の開発行為の許可を求める申請をした。ところが,その建設予定地は,急傾斜地であり,同開発行為によってがけ崩れがあれば直接的な被害を受けることが予想される近接地に居住しているZは,同開発行為が同法第33条第1項第7号の開発許可基準を満たしていないと考えている。次の記述について、法令又は最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
(参照条文)都市計画法
第33条都道府県知事は,開発許可の申請があつた場合において,当該申請に係る開発行為が,次に掲げる基準(中略)に適合しており,かつ,その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは,開発許可をしなければならない。
一~六(略)
七地盤の沈下,崖崩れ,出水その他による災害を防止するため,開発区域内の土地について,地盤の改良,擁壁又は排水施設の設置その他安全上必要な措置が講ぜられるように設計が定められていること。(以下略)
八~十四(略)
2~8 (略)
XがY県を被告として不作為の違法確認の訴えと開発許可処分の義務付けの訴えを提起した場合,裁判所は,X,Y県若しくはZの申立てにより又は職権で,決定をもって,Zを訴訟に参加させることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

行政事件訴訟法 第二十二条
裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その第三者を訴訟に参加させることができる。
セットで覚えていればよいのは「裁判所は、他の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者もしくはその行政庁の申し立てにより、または職権で訴訟に参加させることが出来る」。試験対策的には裁判所の【職権】で可能なのかと?。あと、行政事件訴訟は原則「弁論主義」ですが裁判所は、必要があると認めるときは【職権】で証拠調べをすることができます。ただし行政庁に対する「釈明処分の特則」に関しては求める事ができるに留まり行政庁は資料などの提出を拒むことができる、とゆうところにも注意が必要かと。
10
平等原則について、最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
憲法第14条第1項は法の下の平等を定めているが,この規定は合理的理由のない差別を禁止する趣旨のものであるから,各人に存する経済的,社会的その他種々の事実関係上の差異を理由としてその法的取扱いに区別を設けることは,その区別が合理性を有する限り,何ら憲法第14条に違反するものでない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

たとえば、所得税の累進課税ですかね。
非嫡出子の相続不平等について、合憲判断をした判例(最判平成7年7月5日)の判旨通りのため、○です。
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尚、この後の最判平成25年9月4日においては、非嫡出子の相続不平等について、社会状況の変化等により「合理的な根拠を失った」として、違憲判決を下しています。
このように、いずれにしても14条に違反しないかどうかは、その区別が「合理性を有するかどうか」で判断されます。
[自説の根拠]最判平成7年7月5日
30点
今勉強中の仲間に、息抜きコメントを送る
1
行政上の法律関係における権利濫用禁止の原則,信義誠実の原則,信頼関係の法理等の一般的な法原理の適用について、最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
私人がその権利を濫用する場面には権利濫用禁止の原則が適用されるが,国又は地方公共団体の行為が問題となったケースについて,権利の濫用ないし行政権の濫用を理由として違法と認定されることはない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
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「個室付浴場業の規制を主たる動機、目的とする知事の本件児童遊園設置認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、個室付浴場業を規制しうる効力を有しない。(判旨より)」
行政権の濫用に関する判例というとやはりこれですね。
要するに児童遊園の近隣にソープを建設が出来ない規制を逆手にとって、ソープの建設をさせない為に児童遊園の設置許可をしたのです。
[自説の根拠]風俗営業等取締法違反:最高裁昭和53年6月16
易しい (正答率90~100%) ほぼ全ての人が正解する問題です。絶対に正解して下さい。
2
行政手続法における利害関係人の取扱いについて、適切か否か答えよ。
行政庁は,申請に対する処分であって,申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には,必要に応じ,公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

行政手続法第十条
申請に対する処分ー公聴会
不利益処分ー聴聞または弁明
(公聴会の開催等)
第10条  行政庁は、申請に対する処分であって、申請者以外の者の利害を考慮すべきことが当該法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により当該申請者以外の者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
上、コピペ、本肢は、条文そのもの。
[自説の根拠]行政手続法第10条
3
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)及び地方公共団体の情報公開条例においては,国の行政機関や地方公共団体の長等の機関が保有する一定の文書(行政文書又は公文書などと呼ばれる。)の閲覧等を求める権利として,いわゆる開示請求権の制度が定められている。このことに関する記述について、適切か否か答えよ。
情報公開法及び多くの情報公開条例においては,開示請求権者は日本国籍を有する者に限定されている。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
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開示請求権者について、情報公開法には、問題文のような国籍制限の定めはない。
(開示請求権)
第三条 何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長(前条第一項第四号及び第五号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。
4
行政事件訴訟法上の取消訴訟について、法令及び最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
国家公務員に対する停職の懲戒処分がされた後,その処分について人事院に対する審査請求がされ,人事院が処分の内容を減給に修正する裁決をした場合には,原処分ではなく,裁決の取消しを求めなければならない。
(参照条文)国家公務員法
第92条第1項…(前略)…調査の結果,処分を行うべき事由のあることが判明したときは,人事院は,その処分を承認し,又はその裁量により修正しなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
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判例は「最判昭和62年4月21日」でしょうか。
人事院は審査の結果、減給裁決に変更したものの、懲戒処分がなされている点では原処分も裁決も変わりないため、原処分の取消しを求める訴えの利益を失わない、としたものです。
「修正裁決は、原処分を行つた懲戒権者の懲戒権の発動に関する意思決定を承認し、これに基づく原処分の存在を前提としたうえで、原処分の法律効果の内容を一定の限度のものに変更する効果を生ぜしめるにすぎないものであり、これにより、原処分は、当初から修正裁決による修正どおりの法律効果を伴う懲戒処分として存在していたものとみなされることになるものと解すべきである。」
[自説の根拠]自説の根拠は、最判昭和62.4.21民集41.3.309
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122557216001.pdf
僭越ながら総括させて頂くと、これは行訴§10や§11辺りのリーディングケースですので下記判旨より;
「原処分は、当初から修正裁決による修正どおりの法律効果を伴う懲戒処分として存在していたものとみなされる」
要するに「原処分が当初から修正裁決の内容であった」との考えに立つので、原処分の取消しを求めることになるので、「源処分ではなく採決の取消」としている本問は×です。
[自説の根拠]最高裁昭和62年4月21日(米子鉄道郵便局職員停職事件)
5
通達について、法令又は最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
墓地,埋葬等に関する法律第13条に関して,他の宗教団体信者であることだけを理由とする埋葬拒否は「正当の理由」によるものとは認められないと解釈した通達について,この解釈を誤りと考える寺院は,通達に従わず,同条違反を理由に起訴された後に,刑事訴訟で通達の適法性を争うことができるが,それでは公訴を提起され,有罪判決を受ける危険を負わざるを得ないため,取消訴訟で当該通達の適法性を争うことができる。
(参照条文)墓地,埋葬等に関する法律
第13条墓地,納骨堂又は火葬場の管理者は,埋葬,埋蔵,収蔵又は火葬の求めを受けたときは,正当の理由がなければこれを拒んではならない。
第21条左の各号の一に該当する者は,これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
一第3条,第4条,第5条第1項又は第12条から第17条までの規定に違反した者
二(略) 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
墓地の管理者に異教徒の埋葬拒否を認めないこととした通達は、上級行政機関の下級行政機関に対する行政組織内部の命令にすぎないから処分性を有しない。
[自説の根拠]最判昭43.12.24
判例は、「本件通達は従来とられていた法律解釈や取扱いを変更するものであるが、それは専ら知事以下の行政機関を拘束するに留まるもので、これらの期間は本件通達に反する行為をすることができないにしても、国民は直接これに拘束されることはない」とし、また、「本件通達が発せられたからといって直ちに上告人において刑罰を科させられる恐れはがるとも言え」ないとして、本件通達の処分性を否定している。
[自説の根拠]最高裁昭和43年12月24日判決
6
行政処分の成立と発効について、適切か否か答えよ。
最高裁判所の判例によれば,行政庁の処分を外部に表示する行為が行政庁の内部的意思決定と相違している場合に,表示されている内容の処分があったとして扱うことはできないとされている。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
最高裁判所第三小法廷 昭和29年09月28日
表示行為として行為機関の内部的意思決定と相違する書面が作成された場合においても、右表示行為が正当の権限ある者によつてなされた以上、該書面に表示されているとおりの行政行為があつたものと認むべきである。
7
地方公共団体の契約について、現行法令及び最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
地方自治法上の住民訴訟においては,住民は,地方公共団体の契約締結の相手方に対して直接に契約の無効を理由とする不当利得返還請求をすることはできず,地方公共団体の長等においてそのような不当利得返還請求をすることを求める旨の請求をすべきものとされている。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

地方自治法242条の3
前条第一項第四号本文の規定による訴訟について、損害賠償又は不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合においては、普通地方公共団体の長は、当該判決が確定した日から六十日以内の日を期限として、当該請求に係る損害賠償金又は不当利得の返還金の支払を請求しなければならない。
★かつては住民訴訟において、住民が地方公共団体に代位して損害を与えた職員等に直接損害賠償または不当利得返還請求をなすことができたが、平成14年の法改正により、執行機関等に対して当該職員に対して当該職員当への請求を行うように求める訴訟、いわゆる義務付け訴訟に変更された(新4号訴訟)
一号訴訟・・・違法な財務会計上の行為の差止請求
二号訴訟・・・違法な行政処分の取消請求・無効確認請求
三号訴訟・・・違法な怠る事実の違法確認訴訟
四号訴訟・・・損害賠償請求・不当利得返還請求をする事を長等に求める請求
本問は四号訴訟にあたる。
関連問題
次の説明は、地方自治法に定める住民監査請求および住民訴訟に関する記述である。
住民訴訟において,住民は地方公共団体に代位して,損害を与えた職員等に直接損害賠償または不当利得返還請求をなすことができる。
8
特殊な類型の処分等について行政手続法の適用のルールを定めた行政手続法第3条第1項及び国とこれに準ずる公的機関との間においてされる処分等についてのルールを定めた行政手続法第4条に関して,その内容を解説する次の記述について,適切か否かを答えよ。
行政手続法によれば,「特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人」に対する国等による業務監督上の処分(法人の解散等の一定の処分を除く。)について,同法第2章及び第3章の適用が除外されている。ここにいう「特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人」とは,法律の規定に基づく試験,検査等の行政上の事務について,その全部又は一部を法律の規定に基づいて,行政庁が指定して行わせる目的の下に設立された法人を想定したものである。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
特別な法律に基づいて設立された法人とは「特殊法人」のことです。そのうち、株式会社形態をとるものは「特殊会社」と呼ばれており、国鉄・専売・電電の3公社は民営化後特殊会社となっています。
一方、法律に基づく試験、検査等の行政上の事務についてその全部または一部を行わせる者を行政庁が指定する場合があり、この指定を受けた者を「指定機関」(指定法人)といい、「財団法人行政書士試験研究センター」
などがあります。
設問では、「特殊法人」の説明として「指定機関」の内容をのべている
9
免許を受けることが法律上必要とされる職業に就いている者に対して,その法律の規定に基づき一定期間の業務の停止の処分がされた事案において,処分を受けた者がその後の間もない時期に行政事件訴訟法(以下「法」という。)第25条の規定に基づく執行停止の申立てをしようとするときに関する次の記述について,法令又は最高裁判所の判例の趣旨に照らし,適切か否か答えよ。
上記の処分の取消しを求める本案の終局判決の言渡しよりも前に処分の期間が経過することが確実であるならば,法第25条第2項の「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」との要件が当然に満たされる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
×
本問の「処分の期間が経過すること」のみをもって、ただちに「重大な損害を生ずる」とは認定しえない。当該事件の具体的諸事情(損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質)を勘案した上で決する(行政事件訴訟法25条3項)。
よって、×
**
(執行停止がなされるには、その上で、さらに4項の消極的要件に該当しないこと等も必要です)
[自説の根拠]マトリックス六法、行政事件訴訟法25条
10
行政組織について、法令に照らして適切か否か答えよ。
知事が担任する法定受託事務に対し大臣が是正の指示を行った場合において,当該知事は,国地方係争処理委員会に対して審査の申出をすることができ,審査の結果に不服があるときは,裁判所に提訴することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)

(国の関与に関する訴えの提起)
第251条の5  第250条の13第1項又は第2項の規定による審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は…高等裁判所に対し、当該審査の申出の相手方となつた国の行政庁…を被告として、訴えをもつて当該審査の申出に係る違法な国の関与の取消し又は当該審査の申出に係る国の不作為の違法の確認を求めることができる。
dragonroadさんの書いているのは地方自治法251条の5ですね。
なお、この訴訟は、機関訴訟(行訴6条)にあたります。
1
次の文章は,在外日本人選挙権剥奪違法確認等請求事件に関し,衆議院小選挙区選出議員の選挙及び参議院選挙区選出議員の選挙において選挙権を行使する権利を有することの確認を求める訴えの適法性について判断した最高裁判所平成17年9月14日大法廷判決の一部分を抜き出したものである。
「本件の確認請求に係る訴えは,[ア]のうち[イ]と解することができるところ,その内容をみると,公職選挙法附則第8項につき所要の改正がされないと,在外国民である上告人らが,今後直近に実施されることになる衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙及び参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において投票をすることができず,選挙権を行使する権利を侵害されることになるので,そのような事態になることを防止するために,同上告人らが,同項が違憲無効であるとして,当該各選挙につき選挙権を行使する権利を有することの確認をあらかじめ求める訴えであると解することができる。選挙権は,これを行使することができなければ意味がないものといわざるを得ず,侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものであるから,その権利の重要性にかんがみると,[ウ]選挙につき選挙権を行使する権利の有無につき争いがある場合にこれを有することの確認を求める訴えについては,それが有効適切な手段であると認められる限り,確認の利益を肯定すべきものである。そして,本件の確認請求に係る訴えは,[イ]として,上記の内容に照らし,確認の利益を肯定することができるものに当たるというべきである。」
上記の文章中の[イ]に入る適切な言葉を選べ。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月07日)
公法上の法律関係に関する確認の訴え
(正解) 公法上の法律関係に関する確認の訴え
ア:公法上の当事者訴訟
イ:公法上の法律関係に関する確認の訴え
ウ:具体的
===
本問は平成17年9月14日に下された在外邦人選挙権制限違憲訴訟に関する最高裁判決である。
日本国外に在住ずる在外国民が国政選挙における選挙権の行使について、その全部または一部を認めないことが違憲である等として、当時の公職選挙法の違憲確認等と損害賠償を求めた訴訟において、裁判所は、違憲判決を言い渡し、原告らに対して、衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙、参議院議員の通常選挙における選挙区選出議員の選挙において、在外選挙人名簿に登録されていることに基づいて投票をすることができることを確認するとともに、被告に対し5,000円及び遅延損害金の賠償を命じた。
本件判決後、平成19年6月以後の国政選挙において、在外国民に対して衆議院の小選挙区及び参議院の選挙区について在外投票を認める公職選挙法改正がなされた。
関連問題
「教育を受ける権利」の性質については,社会権説,公民権説,学習権説が主張されている。(1)配慮を求める社会権説は,かつての通説的見解であり,教育の(2)の平等を実現するための(1)配慮を国家に対して要求する権利ととらえる。公民権説は,国民主権の原理の下で,次の時代の(3)を育成することを重視する。学習権説は,発達過程にある子供の学習する権利を保障したものと解する。近時の多数説は,学習権説である。「教育を受ける権利」を学習権と結び付けて解しても,そこから国家の教育内容への(4)に関して同じ結論が導かれるわけではないことに注意する必要がある。第二次家永教科書検定事件第一審判決(東京地判昭和45年7月17日)は,学習権という把握から国民の教育権を導き出し,国家の教育内容への(4)を原則として否認した。第一次家永教科書検定事件第一審判決(東京地判昭和49年7月16日)は,学習権と把握しつつも,国の権能が教育内容や教育方法にも及び得ることを是認した。旭川学力テスト事件上告審判決(最大判昭和51年5月21日)は,憲法第26条の規定の背後に学習権という観念が存在していることを肯定しつつも,そこから教育権の(5)について特定の見解が直ちに帰結されるものではないとした。学習権の意義を,最高裁判決と同様に,教師や親の教育の自由を根拠付けるとともに,これら教育の自由の(6)原理になる点にあるとする見解もある。他方で,学習権はもともと国民の教育権にかかわる教育思想であったことを理由に,最高裁判決のように,国家の教育権を導き出す機能を果たす学習権概念の使用を批判する見解もある。
上記の文章中の(5)に入る適切な言葉を選べ。
2
最高裁判所昭和60年12月17日第三小法廷判決(伊達火力発電所訴訟判決)の次の判示について、適切か否か答えよ。
「行政処分の取消訴訟は,その取消判決の効力によつて処分の法的効果を遡及的に失わしめ,処分の法的効果として個人に生じている権利利益の侵害状態を解消させ,右権利利益の回復を図ることをその目的とするものであり,行政事件訴訟法9条が処分の取消しを求めるについての法律上の利益といつているのも,このような権利利益の回復を指すものである。したがつて,処分の法的効果として自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に限つて,行政処分の取消訴訟の原告適格を有するものというべきであるが,処分の法律上の影響を受ける権利利益は,処分がその本来的効果として制限を加える権利利益に限られるものではなく,行政法規が個人の権利利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている権利利益もこれに当たり,右の制約に違反して処分が行われ行政法規による権利利益の保護を無視されたとする者も,当該処分の取消しを訴求することができると解すべきである。」
この判示によれば,行政庁がある事業者の一定の行為について許可処分をした場合において,当該行為がされることにより不利益を受ける第三者が存在するとしても,事業者が当該行為を必ず行うとは限らないから,その第三者は,許可処分により自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者には当たらず,許可処分の取消訴訟の原告適格は認められない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
原告適格
————
当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
————
法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう(最大判平17.12.7)
[自説の根拠]行政事件訴訟法9条
前提として、
[自説の根拠]最判昭和60年12月17日
「個人の権利利益の保護を目的とする(又はそう解釈できる)法規」が存在し、これに違反して処分が行われた場合は、「行政法規による権利利益の保護を無視されたとする者」も原告適格を有する、というのが上記判旨における第三者の原告適格の定義です。
従って、『事業者が当該行為を必ず行うとは限らない』(つまり、処分の効果により直接権利侵害をうけるかどうか)は、第三者の原告適格を否定する根拠とはならないため、×です。
※先程解答誤送信してしまい、申し訳ありません。
[自説の根拠]最判昭和60年12月17日
3
抗告訴訟の審理について、適切か否か答えよ。
行政庁に対して一定の処分を求める旨の法令に基づく申請を拒否された者が,同拒否処分の取消訴訟と当該一定の処分の義務付けの訴えを提起する場合には,両訴えを併合提起しなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

第三十七条の三  第三条第六項第二号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
一  当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
3  第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第三十八条第一項において準用する第十二条の規定にかかわらず、その定めに従う。
一  第一項第一号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
二  第一項第二号に掲げる要件に該当する場合 同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え
[自説の根拠]行政事件訴訟法
本設問は、申請却下の取消処分、義務付け訴訟に関する問題であるため、第37条の3第1項第2号、同条第3項第2号が該当します。
第37条の3(前掲)
2.当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。
3(前掲)
2.(前掲)
【2号義務付け訴訟(申請型義務付け訴訟)】
①当該法令に基づく申請または審査請求がなされたにもかかわらず、相当の期間内に処分または裁決がなされなかったとき(不作為型)
②当該法令に基づく申請または審査請求が却下、または棄却された場合に、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであったり、無効または不存在であったとき(拒否処分型)
2号義務付け訴訟を提起する場合には、不作為の違法確認訴訟または取消訴訟もしくは無効等確認訴訟と併合提起しなければなりません
4
行政法について、適切か否か答えよ。
最高裁判所の判例によれば,民事上の法律関係を規律する原理として生まれた信義誠実の原則は,租税法律主義が妥当する租税法律関係については適用されないと解されている。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
判例では租税関係に対する信義誠実の原則の適用を完全に否定していないが「法理の適用については慎重でなければならない」としています。
[自説の根拠]高判S60.3.29
「租税関係については公平性が重視され、原則として信義則の適用によって個別に救済されることはない。しかし、特別の事情が存する場合は、信義則の法理が適用されうる。」
ということで、適用されないと言い切っている点で設問は×ということになります。
[自説の根拠]自説の根拠は、最判昭62.10.30
うかる行政書士2009総合テキストより
「租税法規に適合する課税処分について、(…)信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、(…)租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。」
[自説の根拠]最判昭和62年10月30日
5
最高裁判所平成4年10月29日第一小法廷判決(民集46巻7号1174頁・伊方原発訴訟判決)について、適切か否か答えよ。
この判決は,原子炉設置許可処分の取消訴訟においては,原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると,行政庁の側がその判断に不合理な点がないことの主張,立証責任を負うべきものとしている。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
shiratpaku さん の上記コメントを基にコメント追加します(コメントの最後の部分に関して)、、以下
上記コメより、主張立証責任はあくまで原告にあること
ここが、大枠です(よって本肢は×)
その軽減措置として(証拠資料はすべて行政側が保有)まず、被告行政側が相当の根拠、資料に基づき不合理な点のないことを主張立証し、し尽くせなければ3を推認
ただこれが軽減措置として機能するには、この部分が2の領域に重なっていて、2か3かは、被告の「相当」な主張立証があるかどうかによる
[自説の根拠]上記のように考えないと、原告の主張立証責任の軽減措置どころか、被告のやりたい放題になると思います。
判例の「本来、主張立証責任は原告が負うべきものであるが~」というように、「本来Aだが、B」と言われれば、「今回はAではなくBである」と読み取ってしまいます。
しかし、判例上ではあくまでA(=原告が主張立証責任を負う)で、それを軽減するためのB(=行政庁の主張、立証の必要性)なんですね。
その上で、
「行政庁の側は主張、立証責任を負う」
「まず、行政庁の側が主張、立証する必要がある」
この二つの区別も必要と。
おそろしく難しい…。
この判例での証明責任は原告にありますが、その証拠たる資料は全て行政庁が持っている。裁判官にしてみれば、行政庁が証拠を出さない限り、事実が真偽不明で判断できない。
そこで自由心証主義により「行政庁が証拠を出さないなら、行政庁の判断には不合理な点があると推認しますよ」と判示しているのです。
これは講学上「事実上の推定」であって「証明責任の転換」ではない、ということらしいです。
証明責任がどちらにあるのかが問われる司法試験では重要ですが、行政書士試験受験生には必要のない知識ですね。
6
税務調査等について、法令又は最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
収税官吏は,調査のため必要がある場合には,国税犯則取締法第1条の規定に基づき,調査に際し,実力を行使し,調査の相手方の抵抗を排して必要な措置を行うことができる。
(参照条文)国税犯則取締法
第1条収税官吏ハ国税(関税及噸税ヲ除ク以下同シ)ニ関スル犯則事件(以下犯則事件ト称ス)ヲ調査スル為必要アルトキハ犯則嫌疑者若ハ参考人ニ対シ質問シ,犯則嫌疑者ノ所持スル物件,帳簿,書類等ヲ検査シ又ハ此等ノ者ニ於テ任意ニ提出シタル物ヲ領置スルコトヲ得
2 収税官吏ハ犯則事件ヲ調査スル為必要アルトキハ参考人ノ所持スル物件,帳簿,書類等ヲ検査スルコトヲ得 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
裁判官の許可を得て調査を行う。
1条を見る限り、領置できるのは「任意ニ提出シタル物」とあります。
「任意」という言葉に、「実力を行使し、相手方の抵抗を排して行う措置」である旨は読み取れません。
よって×。
7
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「公開法」という。)及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「保護法」という。)について、適切か否か答えよ。
公開法に基づく開示請求に係る行政文書に,第三者の個人情報などの不開示情報が記録されている場合であっても,行政機関の長は,公益上特に開示の必要性があると認める場合には,開示請求者に対し当該行政文書を開示することも許される。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

情報公開法5条・13条参照
(行政文書の開示義務)
第五条 行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない。
一 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
イ 法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等(国家公務員、独立行政法人等の役員及び職員、地方公務員並びに地方独立行政法人の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
二~六 省略
(公益上の理由による裁量的開示)
第七条 行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができる。
関連問題
行政機関の保有する情報の公開に関する法律について、適切か否か答えよ。
開示請求に係る行政文書に開示請求者以外の者の情報が記録されている場合においてそれを開示しようとするときは,行政機関の長は,事前に,当該情報に係る第三者に対し意見書の提出を求め,その意見に従って,開示するか否かの決定を行わなければならない。
8
次の文章は,知事Yがした医療法(平成18年法律第84号による改正前のもの。以下「法」という。)第7条に基づく病院の開設許可(以下「本件開設許可」という。)について,同病院の開設地の市又はその付近において医療施設を開設し医療行為をする医師等であるX(上告人)らがその取消しを求めた事案について判断を示した最高裁判所平成19年10月19日第二小法廷判決の判示の一部である。この判決に関する次の記述について,明らかに誤っている記述のみを×とし、それ以外を○とせよ。
「法は,(中略)病院の開設許可については,その申請に係る施設の構造設備及びその有する人員が(中略)厚生労働省令の定める要件に適合するときは許可を与えなければならないこと(7条4項),営利を目的として病院を開設しようとする者に対しては許可を与えないことができること(同条5項)を定めており,許可の要件を定めるこれらの規定は,病院開設の許否の判断に当たり,当該病院の開設地の付近で医療施設を開設している者等(以下「他施設開設者」という。)の利益を考慮することを予定していないことが明らかである。」「法の目的を定める法1条及び医師等の責務を定める法1条の4の規定からも,病院開設の許可に関する法の規定が他施設開設者の利益を保護すべきものとする趣旨を含むことを読み取ることはできず,そのほか,上告人らが本件開設許可の取消しを求める法律上の利益を有すると解すべき根拠は見いだせない。」
(参照条文)医療法
第1条この法律は,病院,診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備を推進するために必要な事項を定めること等により,医療を提供する体制の確保を図り,もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
第1条の4 医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の医療の担い手は,第1条の2に規定する理念に基づき,医療を受ける者に対し,良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。
2~4 (略)
第7条病院を開設しようとするとき(中略)は,開設地の都道府県知事(中略)の許可を受けなければならない。
2,3 (略)
4 都道府県知事(中略)は,前三項の許可の申請があつた場合において,その申請に係る施設の構造設備及びその有する人員が(中略)厚生労働省令の定める要件に適合するときは,前三項の許可を与えなければならない。
5 営利を目的として,病院,診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては,前項の規定にかかわらず,第1項の許可を与えないことができる。
この判決は,関係法令の趣旨に照らし,医療計画の策定の目的は,良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保することにあることから,他施設開設者の利益を保護する趣旨を含むものであるということを前提に,Xらの原告適格について判断したものである。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
原告適格に関する判例です。
判示の「当該病院の開設地の付近で医療施設を開設している者等(以下「他施設開設者」という。)の利益を考慮することを予定していないことが明らかである」
という部分と
問題文の「他施設開設者の利益を保護する趣旨を含むものであるということを前提」という部分が相反する内容ですので、明らかに誤っている記述と言えますから×。
[自説の根拠]病院開設許可処分取消請求事件
9
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)について、適切か否か答えよ。
情報公開法は,開示請求の対象である行政文書につき,決裁,供覧等の事案処理手続の終了を要件としていないが,職員の個人的なメモは,開示請求の対象に含まれない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)

この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。(情報公開法 第2条第2項)
「職員が組織的に用いるもの」であって、職員の個人的なメモや日記などは含まれないとされています。
[自説の根拠]情報公開法 第2条第2項
10
損失補償について、適切か否か答えよ。
火災の際の消防活動において,消防団長が,延焼のおそれはないが消火のために緊急の必要があるとして建築物を破壊した場合,そのために損害を受けた当該建築物の所有者は,損失補償を請求することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)

最高裁(第三小法廷)昭和47年5月30日判決
消防長もしくは消防署長または消防本部を置かない市町村においては消防団の長が、消火もしくは延焼の防止または人命の救助のために緊急の必要があるときに、これを使用し、処分しまたはその使用を制限した場合には、そのために損害を受けた者からその損失の補償の要求があれば、その損失を補償しなければならないことが明らかである。
設問のケースは、消防法の規定により損失補償請求が可能です。
消防法第29条3項
消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては消防団の長は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために緊急の必要があるときは、前二項に規定する消防対象物及び土地以外の消防対象物及び土地を使用し、処分し又はその使用を制限することができる。この場合においては、そのために損害を受けた者からその損失の補償の要求があるときは、時価により、その損失を補償するものとする。
[自説の根拠]消防法29条3項
●消防法第29条①②消化若しくは延焼の防止又は人命の救助のため〜その使用を制限することができる。火勢、気象の状況その他周囲の事情から合理的に判断して〜その使用を制限することができる→既に社会公共に危害を与える状態にあるし、もはや価値を持たないような状況になっている場合は、補償が不要とされる。③消化若しくは延焼の防止又は人命の救助のために緊急の必要〜処分し又はその使用を制限することができる→対象となる財産自体には延焼のおそれがない(価値はある)と認められることから、損失補償の対象となる。
[自説の根拠]消防法第29条(破壊消防に関する規定)より
延焼防止や人命救助のため緊急の必要がある場合を前提として、
「延焼の恐れのない建物」の破壊の場合には、損失補償が「必要」とされています。(消防法第29条3項)
「延焼の恐れのある建物」の破壊の場合は、当然受忍すべきなので、原則として損失補償が「不要」です。(消防法第29条2項)
[自説の根拠]最判昭和47年5月30日
20点
さすがに、これはマズイかも。更に練習を。
今勉強中の仲間に、息抜きコメントを送る
1
次の行為について、最高裁判所の判決において処分性が肯定されているか否か、もし当該行為の処分性が否定される場合には、その理由の骨子として最も適切となるものを選べ。
道路交通法の規定に基づく警察本部長の反則者に対する反則金の納付通告 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
否定される。当該行為によって相手方に義務を課するものではなく,その内容の適否は,他の手続で争うことが予定されている。
(不正解) 肯定される。
最判昭57.7.15
道路交通法は、通告を受けた者が、その自由意思により、通告に係る反則金を納付し、これによる事案の終結の途を選んだときは、もはや当該通告の理由となつた反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、これに対する抗告訴訟によつてその効果の覆滅を図ることはこれを許さず、右のような主張をしようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたときにこれによつて開始された刑事手続の中でこれを争い、これについて裁判所の審判を求める途を選ぶべきである…
2
次の文章は,訴えの利益に関する最高裁判所の判例の一部である。
本邦に在留する外国人が再入国の許可を受けないまま本邦から出国した場合には,同人がそれまで有していた在留資格は消滅するところ,出入国管理及び難民認定法第26条第1項に基づく再入国の許可は,本邦に在留する外国人に対し,新たな在留資格を付与するものではなく,同人が有していた在留資格を出国にもかかわらず存続させ,右在留資格のままで本邦に再び入国することを認める処分であると解される。そうすると,再入国の許可申請に対する不許可処分を受けた者が再入国の許可を受けないまま本邦から出国した場合には,[ア],右不許可処分が取り消されても,[イ],同人は,[ウ]。
上記の文章中の[ア]に入る適切な言葉を選べ。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月07日)
同人がそれまで有していた在留資格が消滅することにより
(不正解) 同人がそれまで有していた在留資格が変更されることにより
最判平10.4.10「再入国不許可処分取消等請求上告事件」
〔ア〕同人がそれまで有していた在留資格が消滅することにより
〔イ〕同人に対して右在留資格のままで再入国することを認める余地はなくなるから
〔ウ〕右不許可処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を失うに至るものと解すべきである。
問題文の続きです。
右の理は、右不許可処分を受けた者が日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法(以下「出入国管理特別法」という。)一条の許可を受けて本邦に永住していた場合であっても、異なるところがないというべきである。
指紋押捺を拒否したのが、再入国許可申請が不許可となった理由の様です。これに対して、国賠訴訟を提起しましたが、法務大臣の再入国不許可処分につき要件裁量が認められました。
[自説の根拠]最判平10.4.10
関連問題
「教育を受ける権利」の性質については,社会権説,公民権説,学習権説が主張されている。(1)配慮を求める社会権説は,かつての通説的見解であり,教育の(2)の平等を実現するための(1)配慮を国家に対して要求する権利ととらえる。公民権説は,国民主権の原理の下で,次の時代の(3)を育成することを重視する。学習権説は,発達過程にある子供の学習する権利を保障したものと解する。近時の多数説は,学習権説である。「教育を受ける権利」を学習権と結び付けて解しても,そこから国家の教育内容への(4)に関して同じ結論が導かれるわけではないことに注意する必要がある。第二次家永教科書検定事件第一審判決(東京地判昭和45年7月17日)は,学習権という把握から国民の教育権を導き出し,国家の教育内容への(4)を原則として否認した。第一次家永教科書検定事件第一審判決(東京地判昭和49年7月16日)は,学習権と把握しつつも,国の権能が教育内容や教育方法にも及び得ることを是認した。旭川学力テスト事件上告審判決(最大判昭和51年5月21日)は,憲法第26条の規定の背後に学習権という観念が存在していることを肯定しつつも,そこから教育権の(5)について特定の見解が直ちに帰結されるものではないとした。学習権の意義を,最高裁判決と同様に,教師や親の教育の自由を根拠付けるとともに,これら教育の自由の(6)原理になる点にあるとする見解もある。他方で,学習権はもともと国民の教育権にかかわる教育思想であったことを理由に,最高裁判決のように,国家の教育権を導き出す機能を果たす学習権概念の使用を批判する見解もある。
上記の文章中の(1)に入る適切な言葉を選べ。
3
水道事業者による給水拒否について、最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
水道事業者である地方公共団体が,建築予定のマンションについての給水契約締結の申込みを拒否した場合,それが,専ら慢性的な水不足の状況の下で水道水の需要の増加を抑制する目的によるときは,水道法第15条にいう「正当な理由」がないため,違法な拒否に当たる。
(参照条文)水道法
第15条第1項水道事業者は,事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは,正当な理由がなければ,これを拒んではならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
志免町給水拒否事件(最判平11.1.21)
水が限られた資源であることを考慮すれば、市町村が正常な企業努力を尽くしてもなお水の供給に一定の限界があり得ることも否定することはできないのであって、給水義務は絶対的なものということはできず、給水契約の申込みが右のような適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、法一五条一項にいう「正当の理由」があるものとして、これを拒むことが許されると解すべきである。
[自説の根拠]志免町給水拒否事件(最判平11.1.21)引用
4
行政庁の裁量について、適切か否か答えよ。
行政庁が裁量権を行使して行った処分については,当不当の問題が生じるだけであるから,裁判所の審査が及ぶことはない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
(裁量処分の取消し)
第30条 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。
[自説の根拠]行政事件訴訟法第30条
5
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
異議申立ては,処分庁又は不作為庁に対して簡易迅速に再考を促す行政不服申立てであり,審査請求をすることができるかどうかにかかわらず常にすることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
審査請求前置主義の為、誤り。
「行政庁の処分についての異議申立ては、次の場合にすることができる。ただし、第一号又は第二号の場合において、当該処分について審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない。」
①処分庁に上級行政庁がないとき。
②処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき。
③前二号に該当しない場合であつて、法律に異議申立てをすることができる旨の定めがあるとき。
[自説の根拠]行政不服審査法第6条
iiikkkaaaさんの挙げている条文は正しいと思いますが、それは「審査請求前置主義」ではなくて、「審査請求中心主義」だと思います。
異議申立てができる場合には異議申立てを先にすべしという「異議申立て前置主義」(行政不服審査法20条)と書き間違えたのかもしれません。
なお、不作為に対する不服申立ての場合は審査請求中心主義ではなく自由選択主義がとられています。
旧法関連の問題ですね。
審査請求をすることができるかどうかにかかわらず常にすることができる。
→6条但し書きより(平成二十六年六月十三日改正前)
審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない。
[自説の根拠]平成26年改正前 行政不服審査法6条
6
無効等確認訴訟について、最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
土地改良事業の換地処分を受けた者は,照応原則(換地と従前地がその用途・地積等の点で見合ったものでなければならないという原則)違反を理由に当該処分の無効を主張して争う場合,当該処分の無効を前提とする従前地の所有権確認訴訟等を提起することができるとしても,当該処分の無効等確認訴訟の原告適格を有する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)

最判昭62.4.17
土地改良事業の施行に伴い土地改良区から換地処分を受けた者が、右換地処分は照応の原則に違反し無効であると主張してこれを争おうとするときは、行政事件訴訟法三六条により右換地処分の無効確認を求める訴えを提起することができるものと解するのが相当である。
…換地処分を受けた者が照応の原則に違反することを主張してこれを争う場合には、自己に対してより有利な換地が交付されるべきことを主張していることにほかならないのであつて、換地処分がされる前の従前の土地に関する所有権等の権利の保全確保を目的とするものではないのであるから、このような紛争の実態にかんがみると、当該換地処分の無効を前提とする従前の土地の所有権確認訴訟等の現在の法律関係に関する訴えは右紛争を解決するための争訟形態として適切なものとはいえず、むしろ当該換地処分の無効確認を求める訴えのほうがより直截的で適切な争訟形態というべきであり、結局、右のような場合には、当該換地処分の無効を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつてはその目的を達することができないものとして、行政事件訴訟法三六条所定の無効確認の訴えの原告適格を肯認すべき場合に当たると解されるからである。
[自説の根拠]http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122548360545.pdf
「無効等確認の訴え」は、他の訴えによっては目的を達成できない場合に限り、提起することができます。(行訴法36条)
この事例の場合、「争点訴訟」の提起が可能なので、条文通り解釈すると、無効等確認訴訟の原告適格を欠くことになりますが、先にあげていただいた判例では「無効確認訴訟の方がより直截的で適切な場合は、“その他の訴えによっては目的を達することができないもの”として、原告適格を肯定すべき」としています。
[自説の根拠]最判昭和62年4月17日
7
税務調査等について、法令又は最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
犯則事件によって収集された資料は,刑事手続に準じた強制力を伴う手続によって収集されたものであるから,これを課税処分のための資料として利用することは,許されない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
最判昭63.3.31「法人税更正処分取消等請求事件」
【裁判要旨】
収税官吏が犯則嫌疑者に対し国税犯則取締法に基づく調査を行つた場合に、課税庁が右調査により収集された資料を右の者に対する課税処分及び青色申告承認の取消処分を行うために利用することは許される。
8
行政処分の成立と発効について、適切か否か答えよ。
行政庁は,法律関係を形成する処分を行うに当たっては,始期又は停止条件を付すことが原則として可能だとするのが最高裁判所の判例であり,その場合,処分の効果は始期の到来又は条件の成就によって発生する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
×
昭和26(れ)754
でしょうか?
論旨はまた、右の条項は、立候補のため退職を願出た後一〇日以内に退職の発令があつたときは、当然にその発令の日に発効することを前提とする規定であるから、A検事は免官の発令のあつた一二月二四日にその職を失つたものと見るべきであると主張する。しかし後に説明するとおり、公務員の任免の発令はその意思表示が相手方に到達したときにその効果を発生するというのが原則である。
…そこで右依願免官による退職の効果の発生時期について考えてみると、特定の公務員の任免の如き行政庁の処分については、特別の規定のない限り、意思表示の一般的法理に従い、その意思表示が相手方に到達した時と解するのが相当である。。即ち、辞令書の交付その他公の通知によつて、相手方が現実にこれを了知し、または相手方の了知し得べき状態におかれた時と解すべきである。論旨は免官の発令が官報に掲載された日に退職の効果を生ずるものと主張するけれども、公務員の任免は法令の公布とは自らその性質を異にするばかりでなく、官報による公示は特定の相手方に対する意思表示とは到底認めることができないのであつて、所論は独自の見解にすぎない。
[自説の根拠]http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122823373391.pdf
「法律関係を形成する処分を行うに当たっては,始期又は停止条件を付すことが原則として可能」の部分が誤りです。
最高裁は、地方公務員法上、職員の任用は無期限とするのが法の建前であるが、それは職員をして安んじて職務に専念させる趣旨にでたものであるから、職員の期限付任用を必要とする特段の事由が存在し、かつ、この趣旨に反しない場合には、法の明文の規定がなくても許されるとしています。
つまり、条件や期限を付すことができるか否かは、根拠法の解釈によります。原則として可能だとは判示していません。
[自説の根拠]自説の根拠は、最高裁昭和38年4月2日民集17巻3号435頁(行政判例百選Ⅰ第5版93事件)、桜井=橋本『行政法』初版・弘文堂・101~102頁です。
9
次の文章は,昭和48年12月12日の最高裁判所判決の一部分を抜き出したものである。
私的支配関係においては,個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害又はそのおそれがあり,その態様,程度が社会的に許容し得る限度を超えるときは,これに対する立法措置によってその是正を図ることが可能であるし,また,場合によっては,私的自治に対する一般的制限規定である民法第1条,第90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって,一面で私的自治の原則を尊重しながら,他面で社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し,その間の適切な調整を図る方途も存するのである。そしてこの場合,個人の基本的な自由や平等を極めて重要な法益として尊重すべきことは当然であるが,これを絶対視することも許されず,統治行動の場合と同一の基準や観念によってこれを律することができないことは,論をまたないところである。
次の事例について、この判決と同一の論点が問題となった最高裁判所判決の事例であるか否か答えよ。
在監者の図書・新聞紙の閲読の制限 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月03日)
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問題文は三菱樹脂事件
在監者の閲読の制限は
「よど号乗っ取り事件」新聞記事抹消事件の判例
[自説の根拠]最大判昭和58年6月22日
問題文の三菱樹脂事件は、本文の通り憲法の間接適用説を用いた判決で有名ですが、同じ間接適用説を用いたものとして、昭和女子大事件(最高裁判所1974年7月19日判決。)があります。
10
裁判所による行政裁量の統制について、適切か否か答えよ。
最高裁判所の判例によれば,裁判所は,地方公共団体が判断の過程において考慮すべき事情を考慮していないことを理由に挙げて,地方公共団体による都市施設に関する都市計画の決定の内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠き違法であると判断することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)

裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては、当該決定又は変更が裁量権の行使としてされたことを前提として、その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合、又は、事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとすべきものと解するのが相当
[自説の根拠]最判H18.11.2[小田急線高架訴訟]

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