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1-1-17 法令科目 憲法 65条-75条/103条 内閣

第五章 内閣

 

 

第六十五条  行政権は、内閣に属する。

 

 

第六十六条  内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2  内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
3  内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

 

第六十七条  内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2  衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

 

第六十八条  内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
2  内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

 

第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

 

今回は国家の行政権を担う内閣が、国会で不信任された場合について、①衆議院の解散、②内閣総辞職、③内閣が総辞職した場合の職の執行――に分けて解説します。

Ⅰ.衆議院の解散

解散とは、議員の任期が満了する前に議院の任期を終了させることを言います。衆議院の解散の意義は次の2つです。
①解散後に行われることになる総選挙(憲法54条1項)を通じて、より民意に近い議会を再編成する民主主義的な意義
②権力分立の観点から、議会が専断化することを防止する自由主義的な意義
なお、今日では、①の民主主義的な意義が重要と言われています。

憲法69条は、衆議院の解散について規定していますが、誰に衆議院の解散権があるのかを明記していません。また、第5回で解説した天皇の国事行為の中に衆議院の解散(7条3項)が定められているので、解散を行うのは天皇であることは明らかですが、実質的に解散の決定をするのかは明示されていません。
実質的な決定権は内閣にあるということが現在の通説です。そして、その根拠は「解散は元来政治的な行為であり、それを国政に関する権能がない天皇の国事行為として形式化されるのは内閣の助言と承認があるからであるので、実質的な決定権は内閣にある」ことです。
では、解散ができる場合とはどんなときなのでしょうか?
69条から、
①衆議院で内閣不信任案の決議がなされた場合
②衆議院で信任案が否決された場合――が読み取れますが、このほかに、実質的な決定権が内閣にあることから、
③内閣が解散した方がいいと思った場合――もあるのです。
言い換えれば内閣が自由に衆議院を解散できるわけですが、いくら自由といっても恣意的な解散が許されるというわけではなく、あくまで、総選挙によって民意を問う必要がある場合に解散権が行使されるべきであることは言うまでもありません。
上記の①②の場合、内閣が衆議院を解散させないのであれば、内閣は総辞職しなければなりません。総辞職とは、内閣の構成員全員が同時に辞職することです。それでは、次に内閣が総辞職しなければならない場合を見ていきましょう。

 

苫米地事件(最大判昭35.6.8)

事例

内閣の解散によって衆議院議員の身分を失っ たA(苫米地義三)は、①衆議院の解散は憲 法69条に定める事態が生じた場合に限り認 められるべきであるところ、本解散は7条に 基づいて行われたから違憲無効であること、 ②本解散は、解散に必要な内閣の助言と承認 及びその前提となる全会一致による閣議決定 がないから違憲無効であること等を理由に、 任期満了までの歳費の支払いを求める訴えを 提起した。

判例の 見解

①衆議院解散の効力は、違憲審査の対象と なるか。

現実に行われた衆議院の解散が、その依拠 する憲法の条章について適用を誤ったが故 に、法律上無効であるかどうか、これを行う につき憲法上必要とせられる内閣の助言と承 認に瑕疵があったが故に無効であるかどうか のごときことは裁判所の審査権に服しない。 ②統治行為論 直接国家統治の基本に関する高度に政治性 のある国家行為のごときはたとえそれが法律 上の争訟となり、これに対する有効無効の判 断が法律上可能である場合であっても、かか る国家行為は裁判所の審査権の外にあり、そ の判断は主権者たる国民に対して政治的責任 を負うところの政府、国会等の政治部門の判 断に委され、最終的には国民の政治判断に委 ねられている。この司法権に対する制約は、 結局、三権分立の原理に由来し、当該国家行 為の高度の政治性、裁判所の司法機関として の性格、裁判に必然的に随伴する手続上の制 約等にかんがみ、特定の明文による規定はな いけれども、司法権の憲法上の本質に内在す る制約と理解すべきものである。 ③衆議院の解散は、統治行為に当たるか。

衆議院の解散は、衆議院議員をしてその意 に反して資格を喪失せしめ、国家最高の機関 たる国会の主要な一翼をなす衆議院の機能を 一時的とは言え閉止するものであり、さらに これにつづく総選挙を通じて、新たな衆議 院、さらに新たな内閣成立の機縁を為すもの であって、その国法上の意義は重大であるの みならず、解散は、多くは内閣がその重要な 政策、ひいては自己の存続に関して国民の総 意を問わんとする場合に行われるものであっ てその政治上の意義もまた極めて重大であ る。すなわち衆議院の解散は、極めて政治性 の高い国家統治の基本に関する行為であっ て、その法律上の有効無効を審査することは 司法裁判所の権限の外にある。そして、この 理は、本件のごとく、当該衆議院の解散が訴 訟の前提問題として主張されている場合にお いても同様であって、ひとしく裁判所の審査 権の外にありといわなければならない。

判例の POINT

①本判決は、最高裁として初めて統治行為を 正面から認めたものである。 ②統治行為を広く認めることは法治主義に反 し許されないとの批判が強い。本件について も、解散事由の有無は内閣の裁量の範囲内か という問題、閣議決定の方式については内閣 の自律権の問題として処理すればよく、統治 行為を持ち出す必要はないとの批判もある。

 

第七十条  内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

 

Ⅱ.内閣総辞職

69条と70条から、内閣が総辞職しなければならない場合には次の3つがあることが分かります。
①衆議院で内閣不信任案が可決された、又は、内閣信任案が否決された後、10日以内に衆議院が解散されない場合
②内閣総理大臣が欠けた場合
③衆議院の総選挙の後、初めて国会が召集された場合
70条の「内閣総理大臣が欠けたとき」とは、例えば内閣総理大臣が死亡した時などが考えられます。また、内閣総理大臣が資格争訟の裁判の結果や除名などによって、国会議員としての資格を失ったときには、内閣総理大臣としての資格も失いますから、これらの場合も欠けたときに当たります。
次に「総選挙」が行われるのは、①衆議院の解散後と②任期満了の2つの場合です。衆議院の解散後には、総選挙の日から30日以内に特別会が召集され、②の場合には新議員の任期が始まる日から30日以内に臨時会が召集されます。

 

 

第七十一条  前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。

 

Ⅲ.内閣が総辞職した場合の職の執行

71条は、内閣が総辞職した場合の内閣の職務の臨時的な執行について定めたものです。前の内閣が総辞職をした後、新しい内閣総理大臣が任命されるまで、臨時に職務を行う内閣のことを事務処理内閣と呼ぶこともあります。
事務処理内閣は、その職務に特に限定を加えていませんが、71条の趣旨は、内閣が総辞職した後、新たに内閣総理大臣が任命されるまでの短期間、国政が停滞してしまわないように、臨時に旧内閣に職務の執行を行わせようとするものなのですから、日常的な事務処理を超えて政治的に重要な行為を行うことはできないと理解されています。

 

第七十二条  内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

 

【内閣】 ロッキード新丸紅ルート(最大判平 7.2.22)

事例

内閣総理大臣Aは、ロッキード社(米国の航 空会社)の販売代理店丸紅の社長Bの依頼を 受けて、全日空に対しロッキード社の旅客機 を購入するよう働きかけ、その謝礼として5 億円を受け取ったため、受託収賄罪で起訴さ れた。

判例の 見解

内閣総理大臣の職務権限 内閣総理大臣は、憲法上、行政権を行使す る内閣の首長として(66条)、国務大臣の 任免権(68条)、内閣を代表して行政各部 を指揮監督する職務権限(72条)を有する など、内閣を統率し、行政各部を統轄調整す る地位にある。そして、内閣法は、閣議は内 閣総理大臣が主宰するものと定め(4条)、 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針 に基づいて行政各部を指揮監督し(6条)、 行政各部の処分又は命令を中止させることが できるものとしている(8条)。このよう に、内閣総理大臣が行政各部に対し指揮監督 権を行使するためには、閣議にかけて決定し た方針が存在することを要するが、閣議にか けて決定した方針が存在しない場合において も、内閣総理大臣の右のような地位及び権限 に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞 なく対応するため、内閣総理大臣は、少なく とも、内閣の明示の意思に反しない限り、行 政各部に対し、随時、その所掌事務について 一定の方向で処理するよう指導、助言等の指 示を与える権限を有する。

判例の POINT

本判決は、内閣総理大臣の職務権限の範囲を 明らかにした初めての最高裁判決である。

【裁判所】 国民審査投票方法違憲訴訟(最大判昭 27.2.20)

事例

最高裁判所裁判官の国民審査に投票したA は、①国民審査は裁判官の任命の可否を国民 に問う制度であり、罷免の可否を問う制度で はないこと、②最高裁判所裁判官国民審査法 が、罷免を可否がわからない審査人に黙秘の 投票方法を認めておらず、また、裁判官全員 の名が連記されているため、特定の裁判官の み罷免を可とする投票をしようとする審査人 は、他の裁判官についても投票を余儀なくさ れ、しかも、罷免の可否がわからないため何 も記入せずにした投票に「罷免を可としな い」という効果を付していることは憲法19 条に違反すること等を理由に、国民審査は無 効であると主張した。

判例の 見解

①国民審査は、解職(リコール)の制度 か。

最高裁判所裁判官任命に関する国民審査の 制度はその実質において解職の制度と見るこ とができる。それ故本来ならば罷免を可とす る投票が有権者の総数の過半数に達した場合 に罷免されるものとしてもよかったのであ る。それを憲法は投票数の過半数としたとこ ろが他の解職の制度と異なるけれどもそのた め解職の制度でないと解することはできな い。ただ罷免を可とする投票数との比較の標 準を投票の総数に採っただけのことであっ て、根本の性質はどこ迄も解職の制度であ る。このことは憲法79条3項の規定にあら われている。同条2項の字句だけを見ると一 見そうでない様にも見えるけれども、これを 3項の字句と照し会せて見ると、国民が罷免 すべきか否かを決定する趣旨であって、所論 の様に任命そのものを完成させるか否かを審 査するものでないことは明瞭である。この趣 旨は1回審査投票をした後更に10年を経て 再び審査をすることに見ても明らかであろ う、1回の投票によって完成された任命を再 び完成させるなどということは考えられな い。 ②現行の投票方法(1枚の投票用紙に裁判官 全員の名が連記され、罷免を可と考える裁 判官にのみ×印をつけ、そうでない裁判官 には何も記入しない)は、憲法19条に違反 するか。

国民審査は解職の制度であるから、積極的 に罷免を可とするものと、そうでないものと の2つに分かれるのであって、前者が後者よ り多数であるか否かを知らんとするものであ る。罷免する方がいいか悪いかわからない者 は、積極的に「罷免を可とするもの」に属し ないから、そういう者の投票は後者の方に入 るのが当然である。それ故法が連記投票にし て、特に罷免すべきものと思う裁判官にだけ ×印をつけ、それ以外の裁判官については何 も記さずに投票させ、×印のないものを「罷 免を可としない投票」の数に数えたのは前記 の趣旨に従ったものであり、憲法の規定する 国民審査制度の趣旨に合するものである。罷 免する方がいいか悪いかわからない者は、積 極的に「罷免を可とする」という意思を持た ないから、かかる者の投票に対し「罷免を可 とするものではない」との効果を発生せしめ ることは、何等意思に反する効果を発生せし めるものではない、解職制度の精神からいえ ばむしろ意思に合する効果を生ぜしめるもの といって差しつかえないのである。それ故思 想の自由や良心の自由を制限するものでな い。

判例の POINT

①国民審査の法的性質については、裁判官の 任命行為を確定するための制度であると解す る見解もあるが、本判決は、このような見解 を否定し、解職の制度であるとする見解(学 説上の通説でもある)を採ることを明らかに した。 ②本判決は、解職制度であることを理由に、 罷免の可否がわからず何も記入せずにした投 票に「罷免を可としない」という効果を付与 することは当然であるとしている。しかし、 このような取扱いが解職制度であることから 論理必然的に導けるわけではない。そのた め、「罷免可は×、罷免不可(信任)は○、 罷免の可否保留及び棄権は無記入」という審 査人の意思をより的確に反映する投票方法に 改めるべきであるとの見解が有力である。

関連判例

児童福祉法違反事件(最大判昭31.5.30) ①家庭裁判所は、憲法76条2項の「特別裁判所」 に当たるか。

すべて司法権は最高裁判所及び法律の定めると ころにより設置する下級裁判所に属するところで あり、家庭裁判所はこの一般的に司法権を行う通 常裁判所の系列に属する下級裁判所として裁判所 法により設置されたものに外ならない。もっとも 裁判所法31条の3によれば、家庭裁判所は、家庭 に関する事件の審判及び調停並びに保護事件の審 判の外、少年法37条1項に掲げる罪に係る訴訟の 第1審の裁判を所管する旨明記するに止まり、そ してその少年法37条1項では同条項所定の成人の 刑事事件についての公訴は家庭裁判所にこれを提 起しなければならない旨規定されているけれど、 それはただ単に第1審の通常裁判所相互間におい てその事物管轄として所管事務の分配を定めたに 過ぎない。現に家庭裁判所は同裁判所で成立した 調停等に対する請求異議の訴訟についても、第1 審の受訴裁判所として専属の管轄権あるものと解 されているのであって、この事は家庭裁判所がも ともと司法裁判権を行うべき第1審の通常裁判所 として設置されたものであることに由来するので ある。 本判決は、特別裁判所に当たるか否 かの判断基準を、「一般的に司法権を行う通常裁 判所の系列に属する」か否かに求めている。「通 常裁判所の系列に属する」が何を意味するか、本 判決は明らかにしていないが、一般に、「その裁 判について上訴でき、その裁判所の裁判官が最高 裁の指名する者の名簿に基づいて任命され、司法 行政上の監督に服すること」を意味すると解され ている。

チェック判例

憲法76条3項の裁判官が良心に従うというの は、裁判官が有形無形の外部の圧迫ないし誘惑に 屈しないで自己内心の良識と道徳観に従うという 意味である(最大判昭23.11.17)。

地方裁判所における審理に判事補の参与を認 める参与規則は、参与判事補をして当該事件の審 理に立ち会わせたり、事件について意見を述べさ せるなどして、将来よき裁判の担い手となるよう に判事補を指導養成することを目的とするもので あり、…二人合議制を採用したものでなく、なん ら被告人の重要な利害や刑事訴訟の基本構造に関 する事項を規定しているものでないことが明らか であるから、憲法77条、31条に違反しない(最決 昭54.6.13)。

最高裁判所が、最高裁判所規則を制定すると ともに、これをめぐる訴訟の上告事件を担当する ことは、現行司法制度上予定されているというべ きであり、そうであれば、同訴訟において、同規 則の制定に関する裁判官会議に参加したというこ とを理由に、同会議に参加した最高裁判所の裁判 官について民訴法37条1項に基づき忌避の申立て をすることはできない(最決平3.2.25)

第七十三条  内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一  法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二  外交関係を処理すること。
三  条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四  法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五  予算を作成して国会に提出すること。
六  この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

 

第七十四条  法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。

 

第七十五条  国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

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