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1-2-16 法令科目 民法 697条-724条/1044条 事務管理

 

第三章 事務管理

債権の発生原因は、契約が典型と言えますが、民法ではこのほかに意思表示に基づかない債権発生原因として①事務管理、②不当利得、③不法行為――を定めています。今回は、①の事務管理と②の不当利得についてお話しします。

Ⅰ.事務管理
事務管理とは、義務がない状態で他人のために事務を管理することです。
例えば、自然災害の際に頼まれていないのに隣の家の車を安全な場所に移動するとか、徘徊している認知症の老人を一時預かり食事をさせる――などの場合です。

1)事務管理の効果
事務管理の要件は、
①法律上の義務がない
②他人のためである
③事務の管理を始める
④事務管理してもらう人の利益に最も適すべき方法による――ことの4つです。
法律上の義務がないと言いましたが、①事務管理してもらう人(本人)などが管理を行うときまで善良なる管理者の注意をもって管理を行わなければならないという管理継続義務、②委任に準じて本人への通知報告義務、③事務処理状況の報告義務――は、発生します。
また、事務管理として法律行為を行った場合は、管理者に代理権があるわけではないので、効果は直接、本人に帰属しませんが、場合によっては、無権代理についての本人の黙示的追認が認められる場合が考えられます。無権代理については第52回を参照してください。
一方、本人の義務としては、事務管理に要した費用の償還義務が主なものです。償還義務の範囲は、利益が現存していない場合でも、支出当時有益な費用であれば償還しなければなりません。ただし、管理者が本人の意思に反して管理してしまったことが、後になって分かった場合※は、償還は現存の利益の範囲でOKです。
※最初から分かっていれば事務管理には当たりません。
民法の規則は、事務管理を他人の生活への干渉に当たるとして管理者には厳しいと言えます。ですから、管理者には、①報酬請求権、②管理中に管理者が被った損害の賠償請求権――などを認めていません。

2)準事務管理
事務管理の要件に他人のために事務管理するという、事務管理意思がありましたが、自分のために他人の事務管理を行うことを準事務管理と言います。
他人の特許を無断で利用し、大きな利益を上げたような場合、権利者が請求できる額は損害の限度内と制限されるので、現実には特許を無断利用して得た莫大な利益の大部分は、無断権利者の手元に残ってしまいます。
これでは、あまりにも不当であるとして、上記のような場合には事務管理の規定を準用して、権利者の引渡請求権を認め、妥当な結果を得ようとしています。

Ⅱ.不当利得
不当利得とは、法律上の原因ではないのに、他人の財産または労務によって利益を受け、それが原因で他人に損失を及ぼした場合は、受益者に対して損失者に利得の償還を命じる制度です。

1)不当利得の要件
不当利得の要件は次の4つです。
①利益を受けたこと(受益)
②他人に損失を及ばしたこと(損失)
③利益と損失の因果関係
④それが法律上の原因のないこと
当然ですが、法律上の原因があればその利得は不当とは言えませんので、④の法律上の原因のないことという要件は、不当利得の成立が争われる場面で解釈が問題となる要件です。
例えば、YさんがZさんを騙して手に入れたお金で、Xさんへの債務の弁済を行った場合に、ZさんがXさんに対して不当利得を理由に返還請求を行えるか否か――を考えてみましょう。
この場合、Xさんが、善意・無過失であった場合は、利益の限度内で返還する義務を負います。もし、Xさんが悪意・重過失である場合は、不当利得に当たるとして、受けた利益に利息を足して返還しなければならず、なお、Zさんに損害がある場合にはその損害賠償責任も負います。
もう一つ例を見てみます。
AさんがBさんにブルドーザーを賃貸中、ブルドーザーが故障してしまいました。BさんはCさんに修理を依頼し、修理が済んでBさんにブルドーザーを引渡し、修理代金を請求するときになったら、Bさんが倒産してしまいました。当然、ブルドーザーはAさんに戻ることになりますが、CさんはAさんに修理代を請求できるか否か――です。
この場合、Aさんが対価関係なしに利益を受けたのであれば、修繕代を不当利得として返還請求できます。
余談ではありますが、以上のように不当利得は判断が非常に難しいと言えます。そこで、近年では、不当利得を次のように大きく2つに類型化し、判断の要件をそれぞれに検討する動きが出ています。
①給付利得:契約が無効である場合などの給付の巻戻し的返還の類型
②侵害利得:契約の外形がない当事者間での利得の返還の類型

2)不当利得の効果
不当利得が認められる場合、原則として利得した現物が返還されなければなりませんが、それができないときは代替物、それもできない場合は価格賠償となります。
ただし、善意の受益者の返還の範囲は、利益の存する限度で足りることになっているので、利得を賭博に使って残りがほとんどない場合でも、残っているだけ返還すればいいことになります。
また、不法な原因のために給付を行った者は、その給付の返還を請求できません。これを不法原因給付と言いますが、例えば、賭博の負け金を賭博の無効を根拠に返還請求するような場合です。この趣旨は、不法な行為をした者には法的救済を求められないようにして、間接的に不法行為を抑制することです。ただし、不法の原因が相手方だけにある場合には返還請求できます。
債務がないことを知っていながら弁済することを非債弁済と言い、この場合も返還請求できません。
第三者が錯誤により他人の債務を弁済し、債権者も正当な債務者からの弁済と思い、債権証書を破棄したり、担保を放棄したり、また、中断時効の手続きを取らなかったために、その債権が時効にかかった場合にも債権者の返還義務は発生しません。

 

 

 

(事務管理)
第六百九十七条  義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
2  管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。
(緊急事務管理)
第六百九十八条  管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
(管理者の通知義務)
第六百九十九条  管理者は、事務管理を始めたことを遅滞なく本人に通知しなければならない。ただし、本人が既にこれを知っているときは、この限りでない。
(管理者による事務管理の継続)
第七百条  管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、事務管理を継続しなければならない。ただし、事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利であることが明らかであるときは、この限りでない。
(委任の規定の準用)
第七百一条  第六百四十五条から第六百四十七条までの規定は、事務管理について準用する。
(管理者による費用の償還請求等)
第七百二条  管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
2  第六百五十条第二項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。
3  管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前二項の規定を適用する。
第四章 不当利得

 

 

 

(不当利得の返還義務)
第七百三条  法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
(悪意の受益者の返還義務等)
第七百四条  悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
(債務の不存在を知ってした弁済)
第七百五条  債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。
(期限前の弁済)
第七百六条  債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。
(他人の債務の弁済)
第七百七条  債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債権者が善意で証書を滅失させ若しくは損傷し、担保を放棄し、又は時効によってその債権を失ったときは、その弁済をした者は、返還の請求をすることができない。
2  前項の規定は、弁済をした者から債務者に対する求償権の行使を妨げない。
(不法原因給付)
第七百八条  不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
第五章 不法行為

不法行為とは他人に損害を与える違法な行為です。不法行為は、民法709条の一般不法行為を原則法として、特別法でいろいろな不法行為を規定しています。
今回はまず、①一般不法行為と②民法上の特殊の不法行為――について、続く次回で特別法で規制される不法行為について解説します。

Ⅰ.一般不法行為
一般不法行為の要件は、6つです。
①故意・過失
②責任能力
③権利・利益侵害
④損害の発生
⑤因果関係
消極的な要件として
⑥違法性阻却事由がないこと
①の故意・過失という要件は、近代民法の三大原則一つ、過失責任主義に基づいています。(民法の三大原則とは過失責任主義のほか「所有権絶対の原則」「契約自由の原則」)
つまり、人がある行動によって他人に損害を与えた場合でも、その行動に故意・過失の主観的な責任がなければ、損害賠償責任はないとして、人間の自由な活動を保障する原則です。反対に故意・過失がなくても責任を免れないとすることは結果責任主義と呼ばれます。

1)不法行為の効果
不法行為の効果は、加害者の損害賠償義務です。金銭賠償を原則としますが、名誉毀損の場合には謝罪広告掲載のような名誉回復のための適当な処分が認められています。
なお、民法によるこれらの効果は、違法行為者に対する懲罰的効果を狙っているわけではなく、あくまで、紛争解決方法としての損害の填補または損害の公平な分担の実現です。
損害賠償の範囲は、相当因果関係内の財産上の損害と慰謝料と言われる精神上の損害の両方が含まれます。
不法行為に基づく損害賠償の場合も、損害の公平な分担という視点から、債務不履行と同じように、過失相殺の適用があります。ただし、不法行為の場合の過失相殺の適用は被害者に過失があっても相殺しないことが可能という任意的なもので、被害者の過失が重大でも加害者の責任を否定することはできません。
また、損害賠償請求権には、被害者が損害及び加害者を知ったときから3年の短期の消滅時効期間が定められています。不法行為の当事者には、契約関係等の特別な関係がないので、時の経過が要件などの判断材料を風化させてしまうという理由からです。さらに、不法行為には除斥期間と言って20年の経過という損害賠償請求権の消滅原因も定められています。

2)不法行為と債務不履行
ある事実が債務不履行であるとともに、不法行為に該当する場合が考えられます。このような場合、不法行為による損害賠償請求権と債務不履行による損害賠償請求権が発生しますが、被害者は両者を任意に選択して請求できることになっています。

Ⅱ.民法上の特殊の不法行為
民法で規定されている特殊の不法行為には、
①監督者責任
②使用者責任
③工作物責任
④動物占有者の責任
⑤共同不法行為――があります。
これらの責任は不法行為責任の原則型を修正して、故意・過失の立証責任を加害者側に転換して、被害者救済に当たっていることが注意点です。特に⑤の共同不法行為は、被害者救済のために加害者全員の連帯責任を求めるという点が特徴です。

1)監督者責任
幼児など責任能力のない未成年者や被後見人、精神障害者などの心身喪失者の不法行為による損害は、これらを監督すべき法定の管理義務者である親権者・後見人などや、代理監督者である精神病院の医師などが賠償責任を負います。
ただし、これらの監督者や代理監督者は監督義務を怠らなかったことを証明すれば免責されます。

2)使用者責任
従業員が事業の執行について第三者に与えた損害は、その使用者が賠償責任を負い、それを使用者責任といいます。また、使用者に代わって代理監督者が事業の監督をするときは代理監督者も同様の責任を負います。
使用者は、他人を使用することによって自己の活動範囲を拡張して利益を収めているわけですから、それによって生じる損害も負担すべきという報償責任の原理に基づいた考え方です。
使用者責任の要件は、被用者の選任・監督への過失です。使用者の加害行為自体への故意・過失は問題とはなりません。つまり、使用者や代理監督者が従業員の選任と事業の監督について相当の注意を怠らなかったときは免責されるのです。
なお、被用者の選任・監督への過失の立証責任は使用者が負担します。
ただし、使用者または監督者は、相当な範囲で従業員に求償することが可能です。

3)工作物責任
工作物責任とは、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があって、他人に損害を与えた場合に、工作物の占有者や所有者が負う責任のことです。所有者の場合は、いかなる免責事由も認められない無過失責任です。
ただし、工事が不完全だったために損害が発生した場合は、賠償責任を負担した占有者または所有者は、工事人に求償できます。
一方、請負人が起こした事故では、注文者は原則として責任を負うことはありません。

4)動物占有者の責任
飼っている動物が人に被害を与えた場合にも動物の占有者や保管者が責任を負わなくてはならない規定があります。保管上の過失が要件です。

5)共同不法行為
共同不法行為とは、数人の人が共同の不法行為によって他人に侵害を与え、そのうちの誰が実際に損害を与えたのか明らかでないときに、不法行為者全員に連帯責任を負わせる制度です。

 

債権最後の今回は、損害賠償請求の仕組みを図解し、民法を基本とした特別法で規制されている特殊の不法行為について補足し、最後に、行政書士試験に向けたマメ知識の紹介をします。

1)失火責任法による損害賠償
失火による火災の場合の帰責要件は重過失です。民法709条を基本法とした特別法である失火責任法で規制され、木造の多い我が国の住宅事情を考慮した規定と言えます。

2)国家賠償法による損害賠償
使用者責任の特則として、国などの公権力の行使に当たる公務員の不法行為について国家賠償法の規定があります。使用者である国などに無過失責任を認め、公務員本人に対しては損害賠償請求が認められないなどの使用者責任が修正された内容です。

3)自動車損害賠償保障法
特別法である自動車損害賠償保障法には、運転供用者は、人身損害が発生した場合に、自己および運転者の無過失等を立証しなければ免責されないことが規定されています。分かりやすく言い換えると、実際の運転者ではなく、自動車の保有者等に無過失責任に近い厳しい責任を課しているのです。この責任に対するために損害賠償責任保険(俗に言う自賠責)の強制加入が定められています。

4)公害・生活妨害に対する特別法
騒音、ばい煙、排水などによる生活への悪影響や人身侵害が争われることも少なくありません。こうした紛争では、不法行為に当たるか否かを、社会生活上で通常我慢するのが相当であると考えられる範囲を超えているかどうかを判断の基準としています。

5)製造物責任法による損害賠償
消費者が被害者となる不法行為もいろいろありますが、消費者に販売された製造物が欠陥商品で消費者が損害を被ったときに、製造者等の責任を規定したものに製造物責任法があります。
被害者は、製造業者の過失を立証しなくても製造物の欠陥の立証だけで、製造者に対する責任の追及が行えます。

6)男女間の問題
男女関係における慰謝料請求も、従来からの離婚、内縁関係の不当破棄、婚約破棄、不貞などのほか、セクシュアルハラスメント、ストーカー行為と新しい問題も発生してきました。
男女関係の典型とも言える離婚の慰謝料は、厳密には離婚原因の個別的有責行為という、例えば暴力などに対する慰謝料と、離婚による配偶者としての地位の喪失に対する慰謝料の2つに分けられますが、実務としては、有責配偶者の有責行為が原因で離婚することになったという一連の経過を1つの不法行為として離婚慰謝料として処理されることが一般的です。

7)名誉毀損
名誉毀損の不法行為は、表現の自由との調整に考慮する必要があります。また、特徴的なのは、被害者救済としての方法に新聞などを利用する謝罪広告等の原状回復手段です。
いずれにしても、その場合の名誉とは、その人の客観的な社会的評価を意味します。

8)医療事故
最近の傾向として、医療過誤訴訟が増えていると言えます。原告である患者側の勝訴率はその他の訴訟に比べて低いと言えます。その原因は、裁判官などの専門的知識の欠如、証拠が被告である医師側の手中にある――ことなどで、医師の過失の立証が困難なことです。
しかし、近年の判例では、医師に厳しい注意義務の設定を言い渡しているものもあり、今後の動向に注意が必要です。

 

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
第七百十条  他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
(近親者に対する損害の賠償)
第七百十一条  他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。
(責任能力)
第七百十二条  未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
第七百十三条    精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。
(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条  前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2  監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。
(使用者等の責任)
第七百十五条  ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2  使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3  前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
(注文者の責任)
第七百十六条  注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第七百十七条  土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2  前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3  前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
(動物の占有者等の責任)
第七百十八条  動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
2  占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。
(共同不法行為者の責任)
第七百十九条  数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2  行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。
(正当防衛及び緊急避難)
第七百二十条  他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない。
2  前項の規定は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合について準用する。
(損害賠償請求権に関する胎児の権利能力)
第七百二十一条  胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。
(損害賠償の方法及び過失相殺)
第七百二十二条  第四百十七条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2  被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
(名誉毀損における原状回復)
第七百二十三条  他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

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