Warning: ltrim() expects parameter 1 to be string, object given in /home/shikakucyou/shikaku-chousen.net/public_html/wp-includes/formatting.php on line 4313

1-2-15 法令科目 民法 623条-696条/1044条 雇用

 

第八節 雇用

 

民法は、他人の役務(サービス)を利用することを目的とする契約を①雇用、②請負、③委任、④寄託――の4つ規定しています。
このうち、寄託だけはサービス内容が物の保管に限定されるので特殊と言えますが、他の3つはさまざまなサービスを目的とすることが可能です。
寄託以外の3つの違いは、雇用と委任はサービスの提供自体を目的とし、請負は仕事の完成というサービス提供による結果が目的です。さらに、雇用と委任では、雇用が労働力の支配が雇う側に存在するのに対し、委任は役務提供者側にあります。
では、民法の規定の順に従って、今回は、①雇用契約と②請負契約のお話です。

Ⅰ.雇用契約
雇用契約とは、被用者である労働者が労務を提供し、使用者である雇主がこれに対する対価として報酬(賃金)を支払うことを約束する契約です。

当事者の合意の内容は、被用者の労務の供給債務と使用者の賃金の支払義務なので、双方の義務が対価的関係に立つ双務・有償契約です。また、合意のみで成立する諾成契約でもあります。
雇用契約においては、上記の本体的債務のほか、雇用側の安全配慮義務が問題となる場面が少なくありません。つまり、使用者の義務は、賃金支払義務と労働者を安全な環境の下に仕事をさせるという安全配慮義務もあると覚えてください。
また、雇用も継続的契約関係であるので、契約の終了にも注意が必要です。期間の定めがある契約なら期間満了で終了し、期間中でもやむを得ない事由があれば即時解除として雇用契約の終了が認められています。
期間の定めのない場合の解約の申入れは2週間の猶予があれば有効ですが、使用者からの一方的な解雇は解雇権濫用の法理により厳格に制限されています。
●労働基準法等の労働法
契約自由の原則の下では、被用者が弱い立場に立つことが多いものです。現実に古くは奴隷的な従属労働が多発しました。そこで、国家が積極的に労働者の保護を図り、労働者階級の自主的団結活動を承認する目的で、労働基準法を中心とした法律が制定されました。
今日では、事業または事業所で使用される人には賃金、労働時間などの最低基準を定めた労働基準法が強制的に適用され、民法が直接適用される場面はむしろ例外です。

Ⅱ.請負契約
請負契約とは、請負人である当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、注文主である相手方が、その仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約です。典型的なものに住宅等の建築があります。
請負は仕事の完成と報酬の支払いによる有償契約で、これらの義務が合意のみで発生し、対価的関係に立つ諾成、双務契約でもあります。
請負人は、仕事の完成を第三者に下請けに出すことも可能です。この場合は、元請の請負人と下請人は、別個の新たな請負契約を交わすこととなります。
しかし、実際の場面では、民法の請負の規制のみでは不十分な場面が多くあり、各種請負契約約款が重要な役割を果たしています。

1)注文者の所有権取得時期
請負人は仕事を完成した後、その完成物を注文者に引渡し、引渡しと報酬の支払いは同時履行の関係に立ちますが、完成物の所有権についての特約がない場合は、注文者は完成物の所有権をいつ取得するのでしょう?
判例では、材料の主な拠出者によって場合を分けています。
①注文者が材料を拠出している場合→注文者が原始的に所有権を取得します。
②請負人が材料を拠出している場合→最初請負人に所有権が帰属し、引渡しによって注文者に所有権移転します。つまり、仕事が完成しても注文者が報酬を支払わない場合は、請負人は完成物を第三者に転売できるということになります。
この時に、下請があると更に問題は複雑です。特約で元請における注文者が原始的に所有権を取得するとある場合は、その効力は下請人にも対抗できるとした判例もあります。

2)請負の危険負担と担保責任
契約成立後、仕事完成までに目的物の滅失・毀損などで履行不能が生じた場合に、危険負担はどちらが負うのでしょう?
請負人の義務は物権の設定等を目的とするものではないので、民法上の原則である債務者主義が適用され、請負人は報酬請求権を失ってしまいます。
では、請負人の担保責任の性質はどうなのでしょう?
売買契約の売主の担保責任とは異なり、債務不履行の特則と考えられています。なぜなら、請負の本質として、請負人は瑕疵のない完成物を完成させる義務を負っているからです。
その内容は、注文者の
①瑕疵修補請求権
②損害賠償請求権
③契約解除権――です。
目的物が建物などの土地工作物である場合には、あまりに請負人に酷であることや社会経済的にも損失を生じることから、契約解除権は行使できないことになっています。

 

 

(雇用)
第六百二十三条  雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
(報酬の支払時期)
第六百二十四条  労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。
2  期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。
(使用者の権利の譲渡の制限等)
第六百二十五条  使用者は、労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができない。
2  労働者は、使用者の承諾を得なければ、自己に代わって第三者を労働に従事させることができない。
3  労働者が前項の規定に違反して第三者を労働に従事させたときは、使用者は、契約の解除をすることができる。
(期間の定めのある雇用の解除)
第六百二十六条  雇用の期間が五年を超え、又は雇用が当事者の一方若しくは第三者の終身の間継続すべきときは、当事者の一方は、五年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。ただし、この期間は、商工業の見習を目的とする雇用については、十年とする。
2  前項の規定により契約の解除をしようとするときは、三箇月前にその予告をしなければならない。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条  当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2  期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3  六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条  当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
(雇用の更新の推定等)
第六百二十九条  雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第六百二十七条の規定により解約の申入れをすることができる。
2  従前の雇用について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、身元保証金については、この限りでない。
(雇用の解除の効力)
第六百三十条  第六百二十条の規定は、雇用について準用する。
(使用者についての破産手続の開始による解約の申入れ)
第六百三十一条  使用者が破産手続開始の決定を受けた場合には、雇用に期間の定めがあるときであっても、労働者又は破産管財人は、第六百二十七条の規定により解約の申入れをすることができる。この場合において、各当事者は、相手方に対し、解約によって生じた損害の賠償を請求することができない。
第九節 請負
(請負)
第六百三十二条  請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(報酬の支払時期)
第六百三十三条  報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。
(請負人の担保責任)
第六百三十四条  仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2  注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。
第六百三十五条    仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。
(請負人の担保責任に関する規定の不適用)
第六百三十六条  前二条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。
(請負人の担保責任の存続期間)
第六百三十七条  前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。
2  仕事の目的物の引渡しを要しない場合には、前項の期間は、仕事が終了した時から起算する。
第六百三十八条    建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後五年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、十年とする。
2  工作物が前項の瑕疵によって滅失し、又は損傷したときは、注文者は、その滅失又は損傷の時から一年以内に、第六百三十四条の規定による権利を行使しなければならない。
(担保責任の存続期間の伸長)
第六百三十九条  第六百三十七条及び前条第一項の期間は、第百六十七条の規定による消滅時効の期間内に限り、契約で伸長することができる。
(担保責任を負わない旨の特約)
第六百四十条  請負人は、第六百三十四条又は第六百三十五条の規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。
(注文者による契約の解除)
第六百四十一条  請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
(注文者についての破産手続の開始による解除)
第六百四十二条  注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。この場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
2  前項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。
第十節 委任

 

今回は、前回の冒頭でお話しした他人の役務を利用することを目的とする契約のうちの、①委任契約と②寄託契約について解説します。

Ⅰ.委任契約
委任契約とは、委任者である当事者の一方が法律行為を行うことを相手方に委任し、受任者である相手方がこれを承諾することを内容とする契約です。
特約で、報酬の支払いを定めることはできますが、報酬自体は委任の本質的な要素ではありません。その理由は、委任は、受任者の特殊な知識、経験、才能を全面的に信頼して処理を任せるので、これはビジネスに当たらないという古代ローマ法からの説ということになっています…!? ローマ法には、有償の委任は無効という決まりがあったようですが、我が国の民法は報酬支払の特約を付けることは可能です。
法律行為でない事務を委任する場合は、準委任と呼ばれ、委任の規定が準用されます。
委任は、請負や雇用と同じくサービス供給型の契約ですが、委任は労務の供給そのものが目的で、サービス提供者の独立性も特徴と言えます。

1)委任契約の性質
委任は、報酬の支払いを要素としていないため、本質的には、受任者のみが義務を負担し、委任者が無償で利益を得る片務・無償契約となりますが、報酬支払いの特約が付けば、双務・有償契約となります。特約の有無にかかわらず、委任は当事者間の合意のみで成立しますので、諾成契約でもあります。
また、法律行為の委任の場合は、特別な事情がない限り、代理権を伴っていると考えてよいと言えます。
受任者は、事務を処理する義務を負担しますが、委任者からの信頼を基礎としているので、事務の処理は有償・無償を問わず善管注意義務と呼ばれる高度の注意義務を負担することになります。
このほか、受任者には、受任者が仕事上受取った物の引渡し義務も負わなくてはなりません。これは、委任事務の処理に当たり、金銭その他の物品、果実を得た場合、また受任者名義で権利を得た場合には、委任者に渡さなければならないという義務です。
また、受任者には、預り金を消費してしまった場合の支払義務もあります。受任者は消費してしまった金銭や利息を支払い、そのために損害が発生したときは賠償しなければならないとされています。
一方、委任者には、費用前払義務や費用償還義務などが考えられますが、あくまで、委任契約の本体的義務ではなく、受任者の労務供給と対価的な関係によるものではありません。

2)委任の終了
委任は当事者間の信頼関係を基礎とする以上、その信頼が失われた場合にはいつでも理由なく解除できます。
ただし、有償契約の場合には、委任者が解除権を放棄したと理解されるような事由があり、委任者にやむを得ない事由もない場合には、委任者の解除権が制限されるという判例が存在します。

↓↓↓
詳細は下記へ

3)医療契約
医療契約は、被害者救済のために準委任と見なされています。これによって、医療過誤の場合、債務不履行責任が追及できることになっています。

Ⅱ.寄託契約
寄託契約とは、受寄者である当事者の一方が寄託者である相手方のために保管をすることを約束して、ある物を受取ることで成立する契約です。
たとえば、長期海外出張の知人の貴重品を預かるなど、他人に頼まれて物を保管することです。
委任と同様、ローマ法の伝統で無償契約が原則形態で、報酬の特約を付けた場合に有償契約となります。また、双務・片務も特約の有無で区別し、特約がない場合は片務契約、特約がある場合が双務契約です。報酬の有無に関わらず、物の受取りで成立する要物契約ですが、諾成的寄託契約も非典型契約として有効で、商法上の倉庫寄託などがこれに当たります。

1)寄託契約の効果
受寄者は、寄託物の保管について、有償寄託の場合は善管注意義務を負いますが、無償寄託の場合はこれより軽い自己の財産に置けるのと同一の義務を負う、と定められています。
委任と異なり、当事者間の信頼関係を基礎としていないので、有償・無償で受託者の注意義務が異なります。ただし、寄託は当事者間の信頼関係を基礎としないといっても、寄託者の承諾がなければ第三者に保管を任せることはできません。さらに、この場合には受寄者にやむを得ない事情があっても、無断では許されないとされていますので、委任よりも厳格です。その理由は、寄託は寄託者の利益のための契約で、寄託者の意思が最優先されるからです。

2)寄託の終了
寄託の終了は、期間の定めのある場合でも、いつでも寄託者が返還請求できます。寄託はあくまで、寄託者の利益のためなのです。
期間の定めがないときは、寄託者がいつでも返還請求できるのはもちろんですが、受託者もいつでも返還できます。

3)消費寄託
寄託類似の契約として消費寄託契約があります。これは、寄託の目的物が代替物である場合、これを一度消費した後、それと同種・同等・同量の物を返還すればよいという契約です。例を挙げれば、銀行預金がそれに当たります。
消費寄託では、期間の定めのある場合、いつでも返還請求できることにはなりません。受寄者の利益も考慮する必要が出てくるからです。したがって、定期預金で銀行が解約に応じてくれるのは、銀行の任意に基づいていると言えます。
期間の定めのない場合は、直ちに返還請求できます。普通預金がすぐに引き出せるのは、これによると考えることができます。

 

 

 

(委任)
第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
(受任者の注意義務)
第六百四十四条  受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
(受任者による報告)
第六百四十五条  受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
(受任者による受取物の引渡し等)
第六百四十六条  受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない。その収取した果実についても、同様とする。
2  受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。
(受任者の金銭の消費についての責任)
第六百四十七条  受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
(受任者の報酬)
第六百四十八条  受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2  受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
3  委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
(受任者による費用の前払請求)
第六百四十九条  委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。
(受任者による費用等の償還請求等)
第六百五十条  受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2  受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3  受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
(委任の解除)
第六百五十一条  委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2  当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
(委任の解除の効力)
第六百五十二条  第六百二十条の規定は、委任について準用する。
(委任の終了事由)
第六百五十三条  委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一  委任者又は受任者の死亡
二  委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三  受任者が後見開始の審判を受けたこと。
(委任の終了後の処分)
第六百五十四条  委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。
(委任の終了の対抗要件)
第六百五十五条  委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。
(準委任)
第六百五十六条  この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
第十一節 寄託
(寄託)
第六百五十七条  寄託は、当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
(寄託物の使用及び第三者による保管)
第六百五十八条  受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用し、又は第三者にこれを保管させることができない。
2  第百五条及び第百七条第二項の規定は、受寄者が第三者に寄託物を保管させることができる場合について準用する。
(無償受寄者の注意義務)
第六百五十九条  無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
(受寄者の通知義務)
第六百六十条  寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えを提起し、又は差押え、仮差押え若しくは仮処分をしたときは、受寄者は、遅滞なくその事実を寄託者に通知しなければならない。
(寄託者による損害賠償)
第六百六十一条  寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が過失なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。
(寄託者による返還請求)
第六百六十二条  当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
(寄託物の返還の時期)
第六百六十三条  当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
2  返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。
(寄託物の返還の場所)
第六百六十四条  寄託物の返還は、その保管をすべき場所でしなければならない。ただし、受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる。
(委任の規定の準用)
第六百六十五条  第六百四十六条から第六百五十条まで(同条第三項を除く。)の規定は、寄託について準用する。
(消費寄託)
第六百六十六条  第五節(消費貸借)の規定は、受寄者が契約により寄託物を消費することができる場合について準用する。
2  前項において準用する第五百九十一条第一項の規定にかかわらず、前項の契約に返還の時期を定めなかったときは、寄託者は、いつでも返還を請求することができる。
第十二節 組合

前回までに、民法で定められた契約について、贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託――と10種類見てきました。今回は、契約の最後として、①組合契約、 ②終身定期金契約、③和解契約――についてお話しします。

Ⅰ.組合契約
組合と言えば、協同組合や労働組合がよく知られていますが、これは社団法人の一種で、この講義でいう組合とは、共同事業をするための組織です。そして、組合契約とは、数人の当事者がそれぞれ出資して、共同の事業を営むことを約束する契約です。
例えば、Xさん、Yさん、Zさんの3人で、Xさんは土地と建物を提供し、Yさんは2000万円の資金を提供し、Zさんは以前からの自分の事業の顧客関係を提供するという合意の下に、共同で商品販売事業を行うような場合です。
組合では、当事者全員が出資の義務を負担する必要がありますが、その出資の内容は、財産的価値のあるものであれば、現金でなくてもOKです。事業の内容は、一時的or継続的?、営利目的or公益目的? ――いずれも問いません。
組合契約は一応は、有償、双務、諾成契約とされますが、複数人が集合して事業を起こすという点では、社団の設立に類似した面が強く、同時履行の抗弁権や危険負担などの規定は適用されません。

1)組合契約の業務執行
組合が事業を営むことを目的とするものである以上、その事業についての業務執行に関して定めが必要です。また、事業を行えば、当然、積極・消極の財産が生じるので、これについての規制も必要です。
組合の業務執行について、民法は組合の常務は各組合員がそれぞれ業務執行権を有することを原則として、常務以外については組合員の過半数で決定することと定めています。組合の業務執行によって生じる責任は、各組合員が負担するのですから、各組合員が事業執行に関与するのは当然と言えます。
ただし、組合契約締結の時に、業務執行を特定の人に委任することは可能です。その場合は、その人に対外的な代理権も授与されることになります。

2)組合の財産関係
組合の財産は、民法では団体の財産ではなく、組合員の共有とありますが、一般的には、各組合人の持分処分が制限されたり、分割請求権が存在しないため、合有財産と考えられています。つまり、組合員は持分権の処分が制限され、各組合員は清算に入るまでは組合財産の分割を請求できないことになっているのです。
また、持分権を譲渡しても組合員は、組合の債務から逃れることはできないし、買った人も持分の取得を主張することができません。
利益の配分は、契約で損益の分配を決めなかった時には、出資額に応じて分配します。
組合の債務者は、組合員個人に対する債権で組合に対する債務を相殺することはできません。なぜなら、相殺を認めると、他の組合員が不足の損害を被ることになるからです。

3)組合員の脱退
組合員は、存続期間の定めがないときは、原則としていつでも脱退できます。ただし、脱退前に生じた組合の債務は脱退後も責任を負わなくてはなりません。それは、組合の都合で債権者に不利益を及ぼすのは妥当でないからです。
存続期間の定めがあるときの脱退は、やむを得ない事由のあるときに限られます。
一方、組合は次の場合に解散します。
①目的事業の成功
②目的事業の不能
③やむを得ない事情

Ⅱ.終身定期金契約
終身定期金契約は、債務者である人が自己、相手方または第三者の死亡するまで、債権者である相手方または第三者に定期的に金銭その他の代替物を給付する契約のことです。
例えば、死亡するまで生活費を送り続けるような場合です。
終身定期金契約は諾成、片務契約ですが、必ずしも無償とは限らず、債務者が元本を授受して、定期給付を開始するという有償契約も見られます。
現在では、年金制度が整備されてきているため、実際にこの契約がなされていることは稀であると言われています。

Ⅲ.和解契約
和解契約とは、当事者が互いに譲歩して、その間に存在する争いをやめることによって成立する契約です。
例えば、XさんがYさんに50万円の請求をしたのに対して、Yさんが50万円払う債務はないと言い張り、結局25万円払うことで決着をつけるというように、当事者が互いに譲り合ってその間にある争いをやめることです。
合意のみで成立する諾成契約であり、互いに譲り合うことが必要とされていることから、有償・双務契約と理解されています。
和解契約の効果には、和解内容が真実の法律関係とはたとえ異なっていても、和解が成立した以上は当事者は和解の内容に拘束されるという創設的効力が挙げられます。
この創設的効力を巡っては、和解と錯誤の問題をはらんでいます。先ほどの例では、支払義務がいくらだったのかということが争点であった以上、真実の支払義務が30万円だったとしても、25万円で合意したことに創設的効力が生じ、錯誤として和解の無効を主張することはできません。
ただし、元の50万円を5万円と勘違いしていたような場合は、合意するに当たっての前提となる事実に関する錯誤として、錯誤無効の主張ができます。
もうひとつ、交通事故などの場合に早期に和解が成立し、示談金が支払われた後、その時点では予期できない後遺症が発生するなどの問題が生じることがしばしばあります。
これについて判例では、当事者の合意的意思に合致するか否かという観点から判断すべきとし、「和解当時予期できなかった不測の後遺症が生じたような場合には、その損害についてまで和解当時に放棄した趣旨とするのは、当事者の合理的意思に合致するものとは言えない」として、後遺障害の部分の損害賠償請求権を新たに認めました。

 

(組合契約)
第六百六十七条  組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。
2  出資は、労務をその目的とすることができる。
(組合財産の共有)
第六百六十八条  各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。
(金銭出資の不履行の責任)
第六百六十九条  金銭を出資の目的とした場合において、組合員がその出資をすることを怠ったときは、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない。
(業務の執行の方法)
第六百七十条  組合の業務の執行は、組合員の過半数で決する。
2  前項の業務の執行は、組合契約でこれを委任した者(次項において「業務執行者」という。)が数人あるときは、その過半数で決する。
3  組合の常務は、前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。
(委任の規定の準用)
第六百七十一条  第六百四十四条から第六百五十条までの規定は、組合の業務を執行する組合員について準用する。
(業務執行組合員の辞任及び解任)
第六百七十二条  組合契約で一人又は数人の組合員に業務の執行を委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
2  前項の組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することができる。
(組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査)
第六百七十三条  各組合員は、組合の業務を執行する権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる。
(組合員の損益分配の割合)
第六百七十四条  当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。
2  利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。
(組合員に対する組合の債権者の権利の行使)
第六百七十五条  組合の債権者は、その債権の発生の時に組合員の損失分担の割合を知らなかったときは、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる。
(組合員の持分の処分及び組合財産の分割)
第六百七十六条  組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない。
2  組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない。
(組合の債務者による相殺の禁止)
第六百七十七条  組合の債務者は、その債務と組合員に対する債権とを相殺することができない。
(組合員の脱退)
第六百七十八条  組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。
2  組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。
第六百七十九条    前条の場合のほか、組合員は、次に掲げる事由によって脱退する。
一  死亡
二  破産手続開始の決定を受けたこと。
三  後見開始の審判を受けたこと。
四  除名
(組合員の除名)
第六百八十条  組合員の除名は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によってすることができる。ただし、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもってその組合員に対抗することができない。
(脱退した組合員の持分の払戻し)
第六百八十一条  脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従ってしなければならない。
2  脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。
3  脱退の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。
(組合の解散事由)
第六百八十二条  組合は、その目的である事業の成功又はその成功の不能によって解散する。
(組合の解散の請求)
第六百八十三条  やむを得ない事由があるときは、各組合員は、組合の解散を請求することができる。
(組合契約の解除の効力)
第六百八十四条  第六百二十条の規定は、組合契約について準用する。
(組合の清算及び清算人の選任)
第六百八十五条  組合が解散したときは、清算は、総組合員が共同して、又はその選任した清算人がこれをする。
2  清算人の選任は、総組合員の過半数で決する。
(清算人の業務の執行の方法)
第六百八十六条  第六百七十条の規定は、清算人が数人ある場合について準用する。
(組合員である清算人の辞任及び解任)
第六百八十七条  第六百七十二条の規定は、組合契約で組合員の中から清算人を選任した場合について準用する。
(清算人の職務及び権限並びに残余財産の分割方法)
第六百八十八条  清算人の職務は、次のとおりとする。
一  現務の結了
二  債権の取立て及び債務の弁済
三  残余財産の引渡し
2  清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
3  残余財産は、各組合員の出資の価額に応じて分割する。
第十三節 終身定期金
(終身定期金契約)
第六百八十九条  終身定期金契約は、当事者の一方が、自己、相手方又は第三者の死亡に至るまで、定期に金銭その他の物を相手方又は第三者に給付することを約することによって、その効力を生ずる。
(終身定期金の計算)
第六百九十条  終身定期金は、日割りで計算する。
(終身定期金契約の解除)
第六百九十一条  終身定期金債務者が終身定期金の元本を受領した場合において、その終身定期金の給付を怠り、又はその他の義務を履行しないときは、相手方は、元本の返還を請求することができる。この場合において、相手方は、既に受け取った終身定期金の中からその元本の利息を控除した残額を終身定期金債務者に返還しなければならない。
2  前項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。
(終身定期金契約の解除と同時履行)
第六百九十二条  第五百三十三条の規定は、前条の場合について準用する。
(終身定期金債権の存続の宣告)
第六百九十三条  終身定期金債務者の責めに帰すべき事由によって第六百八十九条に規定する死亡が生じたときは、裁判所は、終身定期金債権者又はその相続人の請求により、終身定期金債権が相当の期間存続することを宣告することができる。
2  前項の規定は、第六百九十一条の権利の行使を妨げない。
(終身定期金の遺贈)
第六百九十四条  この節の規定は、終身定期金の遺贈について準用する。
第十四節 和解
(和解)
第六百九十五条  和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
(和解の効力)
第六百九十六条  当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。

スポンサーリンク




ブログランキング

にほんブログ村 オヤジ日記ブログへ にほんブログ村 オヤジ日記ブログ 40代オヤジへ

人気ブログランキング

スポンサーリンク


日本ブログ村ランキング

Twitter でフォロー