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1-4-23 法令科目 会社法 条-613条/979条 社員

第九款 協定
(協定の申出)
第五百六十三条  清算株式会社は、債権者集会に対し、協定の申出をすることができる。
(協定の条項)
第五百六十四条  協定においては、協定債権者の権利(第五百二十二条第二項に規定する担保権を除く。)の全部又は一部の変更に関する条項を定めなければならない。
2  協定債権者の権利の全部又は一部を変更する条項においては、債務の減免、期限の猶予その他の権利の変更の一般的基準を定めなければならない。
(協定による権利の変更)
第五百六十五条  協定による権利の変更の内容は、協定債権者の間では平等でなければならない。ただし、不利益を受ける協定債権者の同意がある場合又は少額の協定債権について別段の定めをしても衡平を害しない場合その他協定債権者の間に差を設けても衡平を害しない場合は、この限りでない。
(担保権を有する債権者等の参加)
第五百六十六条  清算株式会社は、協定案の作成に当たり必要があると認めるときは、次に掲げる債権者の参加を求めることができる。
一  第五百二十二条第二項に規定する担保権を有する債権者
二  一般の先取特権その他一般の優先権がある債権を有する債権者
(協定の可決の要件)
第五百六十七条  第五百五十四条第一項の規定にかかわらず、債権者集会において協定を可決するには、次に掲げる同意のいずれもがなければならない。
一  出席した議決権者の過半数の同意
二  議決権者の議決権の総額の三分の二以上の議決権を有する者の同意
2  第五百五十四条第二項の規定は、前項第一号の規定の適用について準用する。
(協定の認可の申立て)
第五百六十八条  協定が可決されたときは、清算株式会社は、遅滞なく、裁判所に対し、協定の認可の申立てをしなければならない。
(協定の認可又は不認可の決定)
第五百六十九条  前条の申立てがあった場合には、裁判所は、次項の場合を除き、協定の認可の決定をする。
2  裁判所は、次のいずれかに該当する場合には、協定の不認可の決定をする。
一  特別清算の手続又は協定が法律の規定に違反し、かつ、その不備を補正することができないものであるとき。ただし、特別清算の手続が法律の規定に違反する場合において、当該違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。
二  協定が遂行される見込みがないとき。
三  協定が不正の方法によって成立するに至ったとき。
四  協定が債権者の一般の利益に反するとき。
(協定の効力発生の時期)
第五百七十条  協定は、認可の決定の確定により、その効力を生ずる。
(協定の効力範囲)
第五百七十一条  協定は、清算株式会社及びすべての協定債権者のために、かつ、それらの者に対して効力を有する。
2  協定は、第五百二十二条第二項に規定する債権者が有する同項に規定する担保権、協定債権者が清算株式会社の保証人その他清算株式会社と共に債務を負担する者に対して有する権利及び清算株式会社以外の者が協定債権者のために提供した担保に影響を及ぼさない。
3  協定の認可の決定が確定したときは、協定債権者の権利は、協定の定めに従い、変更される。
4  前項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての協定による権利の変更の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項 の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。
(協定の内容の変更)
第五百七十二条  協定の実行上必要があるときは、協定の内容を変更することができる。この場合においては、第五百六十三条から前条までの規定を準用する。
     第十款 特別清算の終了
(特別清算終結の決定)
第五百七十三条  裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合には、清算人、監査役、債権者、株主又は調査委員の申立てにより、特別清算終結の決定をする。
一  特別清算が結了したとき。
二  特別清算の必要がなくなったとき。
(破産手続開始の決定)
第五百七十四条  裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法 に従い、破産手続開始の決定をしなければならない。
一  協定の見込みがないとき。
二  協定の実行の見込みがないとき。
三  特別清算によることが債権者の一般の利益に反するとき。
2  裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法 に従い、破産手続開始の決定をすることができる。
一  協定が否決されたとき。
二  協定の不認可の決定が確定したとき。
3  前二項の規定により破産手続開始の決定があった場合における破産法第七十一条第一項第四号 並びに第二項第二号 及び第三号 、第七十二条第一項第四号並びに第二項第二号及び第三号、第百六十条(第一項第一号を除く。)、第百六十二条(第一項第二号を除く。)、第百六十三条第二項、第百六十四条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第百六十六条並びに第百六十七条第二項(同法第百七十条第二項 において準用する場合を含む。)の規定の適用については、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める申立てがあった時に破産手続開始の申立てがあったものとみなす。
一  特別清算開始の申立ての前に特別清算開始の命令の確定によって効力を失った破産手続における破産手続開始の申立てがある場合 当該破産手続開始の申立て
二  前号に掲げる場合以外の場合 特別清算開始の申立て
4  第一項又は第二項の規定により破産手続開始の決定があったときは、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権は、財団債権とする。
  第三編 持分会社
   第一章 設立
(定款の作成)
第五百七十五条  合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2  前項の定款は、電磁的記録をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
(定款の記載又は記録事項)
第五百七十六条  持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一  目的
二  商号
三  本店の所在地
四  社員の氏名又は名称及び住所
五  社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六  社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
2  設立しようとする持分会社が合名会社である場合には、前項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
3  設立しようとする持分会社が合資会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
4  設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
第五百七十七条    前条に規定するもののほか、持分会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
(合同会社の設立時の出資の履行)
第五百七十八条  設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、合同会社の社員になろうとする者全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、合同会社の成立後にすることを妨げない。
(持分会社の成立)
第五百七十九条  持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
   第二章 社員
    第一節 社員の責任等
(社員の責任)
第五百八十条  社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
一  当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
二  当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
2  有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
(社員の抗弁)
第五百八十一条  社員が持分会社の債務を弁済する責任を負う場合には、社員は、持分会社が主張することができる抗弁をもって当該持分会社の債権者に対抗することができる。
2  前項に規定する場合において、持分会社がその債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、社員は、当該債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
(社員の出資に係る責任)
第五百八十二条  社員が金銭を出資の目的とした場合において、その出資をすることを怠ったときは、当該社員は、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない。
2  社員が債権を出資の目的とした場合において、当該債権の債務者が弁済期に弁済をしなかったときは、当該社員は、その弁済をする責任を負う。この場合においては、当該社員は、その利息を支払うほか、損害の賠償をしなければならない。
(社員の責任を変更した場合の特則)
第五百八十三条  有限責任社員が無限責任社員となった場合には、当該無限責任社員となった者は、その者が無限責任社員となる前に生じた持分会社の債務についても、無限責任社員としてこれを弁済する責任を負う。
2  有限責任社員(合同会社の社員を除く。)が出資の価額を減少した場合であっても、当該有限責任社員は、その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務については、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。
3  無限責任社員が有限責任社員となった場合であっても、当該有限責任社員となった者は、その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務については、無限責任社員として当該債務を弁済する責任を負う。
4  前二項の責任は、前二項の登記後二年以内に請求又は請求の予告をしない持分会社の債権者に対しては、当該登記後二年を経過した時に消滅する。
(無限責任社員となることを許された未成年者の行為能力)
第五百八十四条  持分会社の無限責任社員となることを許された未成年者は、社員の資格に基づく行為に関しては、行為能力者とみなす。
    第二節 持分の譲渡等
(持分の譲渡)
第五百八十五条  社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
2  前項の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができる。
3  第六百三十七条の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡に伴い定款の変更を生ずるときは、その持分の譲渡による定款の変更は、業務を執行する社員の全員の同意によってすることができる。
4  前三項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
(持分の全部の譲渡をした社員の責任)
第五百八十六条  持分の全部を他人に譲渡した社員は、その旨の登記をする前に生じた持分会社の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。
2  前項の責任は、同項の登記後二年以内に請求又は請求の予告をしない持分会社の債権者に対しては、当該登記後二年を経過した時に消滅する。
第五百八十七条    持分会社は、その持分の全部又は一部を譲り受けることができない。
2  持分会社が当該持分会社の持分を取得した場合には、当該持分は、当該持分会社がこれを取得した時に、消滅する。
    第三節 誤認行為の責任
(無限責任社員であると誤認させる行為等をした有限責任社員の責任)
第五百八十八条  合資会社の有限責任社員が自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、当該有限責任社員は、その誤認に基づいて合資会社と取引をした者に対し、無限責任社員と同一の責任を負う。
2  合資会社又は合同会社の有限責任社員がその責任の限度を誤認させる行為(前項の行為を除く。)をしたときは、当該有限責任社員は、その誤認に基づいて合資会社又は合同会社と取引をした者に対し、その誤認させた責任の範囲内で当該合資会社又は合同会社の債務を弁済する責任を負う。
(社員であると誤認させる行為をした者の責任)
第五百八十九条  合名会社又は合資会社の社員でない者が自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、当該社員でない者は、その誤認に基づいて合名会社又は合資会社と取引をした者に対し、無限責任社員と同一の責任を負う。
2  合資会社又は合同会社の社員でない者が自己を有限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、当該社員でない者は、その誤認に基づいて合資会社又は合同会社と取引をした者に対し、その誤認させた責任の範囲内で当該合資会社又は合同会社の債務を弁済する責任を負う。
   第三章 管理
    第一節 総則
(業務の執行)
第五百九十条  社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。
2  社員が二人以上ある場合には、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する。
3  前項の規定にかかわらず、持分会社の常務は、各社員が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の社員が異議を述べた場合は、この限りでない。
(業務を執行する社員を定款で定めた場合)
第五百九十一条  業務を執行する社員を定款で定めた場合において、業務を執行する社員が二人以上あるときは、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、業務を執行する社員の過半数をもって決定する。この場合における前条第三項の規定の適用については、同項中「社員」とあるのは、「業務を執行する社員」とする。
2  前項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、支配人の選任及び解任は、社員の過半数をもって決定する。ただし、定款で別段の定めをすることを妨げない。
3  業務を執行する社員を定款で定めた場合において、その業務を執行する社員の全員が退社したときは、当該定款の定めは、その効力を失う。
4  業務を執行する社員を定款で定めた場合には、その業務を執行する社員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
5  前項の業務を執行する社員は、正当な事由がある場合に限り、他の社員の一致によって解任することができる。
6  前二項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
(社員の持分会社の業務及び財産状況に関する調査)
第五百九十二条  業務を執行する社員を定款で定めた場合には、各社員は、持分会社の業務を執行する権利を有しないときであっても、その業務及び財産の状況を調査することができる。
2  前項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。ただし、定款によっても、社員が事業年度の終了時又は重要な事由があるときに同項の規定による調査をすることを制限する旨を定めることができない。

 

 

    第二節 業務を執行する社員
(業務を執行する社員と持分会社との関係)
第五百九十三条  業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。
2  業務を執行する社員は、法令及び定款を遵守し、持分会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
3  業務を執行する社員は、持分会社又は他の社員の請求があるときは、いつでもその職務の執行の状況を報告し、その職務が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
4  民法第六百四十六条 から第六百五十条 までの規定は、業務を執行する社員と持分会社との関係について準用する。この場合において、同法第六百四十六条第一項 、第六百四十八条第二項、第六百四十九条及び第六百五十条中「委任事務」とあるのは「その職務」と、同法第六百四十八条第三項 中「委任」とあるのは「前項の職務」と読み替えるものとする。
5  前二項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
(競業の禁止)
第五百九十四条  業務を執行する社員は、当該社員以外の社員の全員の承認を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
一  自己又は第三者のために持分会社の事業の部類に属する取引をすること。
二  持分会社の事業と同種の事業を目的とする会社の取締役、執行役又は業務を執行する社員となること。
2  業務を執行する社員が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって当該業務を執行する社員又は第三者が得た利益の額は、持分会社に生じた損害の額と推定する。
(利益相反取引の制限)
第五百九十五条  業務を執行する社員は、次に掲げる場合には、当該取引について当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
一  業務を執行する社員が自己又は第三者のために持分会社と取引をしようとするとき。
二  持分会社が業務を執行する社員の債務を保証することその他社員でない者との間において持分会社と当該社員との利益が相反する取引をしようとするとき。
2  民法第百八条 の規定は、前項の承認を受けた同項第一号の取引については、適用しない。
(業務を執行する社員の持分会社に対する損害賠償責任)
第五百九十六条  業務を執行する社員は、その任務を怠ったときは、持分会社に対し、連帯して、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(業務を執行する有限責任社員の第三者に対する損害賠償責任)
第五百九十七条  業務を執行する有限責任社員がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該有限責任社員は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
(法人が業務を執行する社員である場合の特則)
第五百九十八条  法人が業務を執行する社員である場合には、当該法人は、当該業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名及び住所を他の社員に通知しなければならない。
2  第五百九十三条から前条までの規定は、前項の規定により選任された社員の職務を行うべき者について準用する。
(持分会社の代表)
第五百九十九条  業務を執行する社員は、持分会社を代表する。ただし、他に持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2  前項本文の業務を執行する社員が二人以上ある場合には、業務を執行する社員は、各自、持分会社を代表する。
3  持分会社は、定款又は定款の定めに基づく社員の互選によって、業務を執行する社員の中から持分会社を代表する社員を定めることができる。
4  持分会社を代表する社員は、持分会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5  前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
(持分会社を代表する社員等の行為についての損害賠償責任)
第六百条  持分会社は、持分会社を代表する社員その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
(持分会社と社員との間の訴えにおける会社の代表)
第六百一条  第五百九十九条第四項の規定にかかわらず、持分会社が社員に対し、又は社員が持分会社に対して訴えを提起する場合において、当該訴えについて持分会社を代表する者(当該社員を除く。)が存しないときは、当該社員以外の社員の過半数をもって、当該訴えについて持分会社を代表する者を定めることができる。
第六百二条    第五百九十九条第一項の規定にかかわらず、社員が持分会社に対して社員の責任を追及する訴えの提起を請求した場合において、持分会社が当該請求の日から六十日以内に当該訴えを提起しないときは、当該請求をした社員は、当該訴えについて持分会社を代表することができる。ただし、当該訴えが当該社員若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該持分会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
    第三節 業務を執行する社員の職務を代行する者
第六百三条    民事保全法第五十六条 に規定する仮処分命令により選任された業務を執行する社員又は持分会社を代表する社員の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、持分会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
2  前項の規定に違反して行った業務を執行する社員又は持分会社を代表する社員の職務を代行する者の行為は、無効とする。ただし、持分会社は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
   第四章 社員の加入及び退社
    第一節 社員の加入
(社員の加入)
第六百四条  持分会社は、新たに社員を加入させることができる。
2  持分会社の社員の加入は、当該社員に係る定款の変更をした時に、その効力を生ずる。
3  前項の規定にかかわらず、合同会社が新たに社員を加入させる場合において、新たに社員となろうとする者が同項の定款の変更をした時にその出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないときは、その者は、当該払込み又は給付を完了した時に、合同会社の社員となる。
(加入した社員の責任)
第六百五条  持分会社の成立後に加入した社員は、その加入前に生じた持分会社の債務についても、これを弁済する責任を負う。
    第二節 社員の退社
(任意退社)
第六百六条  持分会社の存続期間を定款で定めなかった場合又はある社員の終身の間持分会社が存続することを定款で定めた場合には、各社員は、事業年度の終了の時において退社をすることができる。この場合においては、各社員は、六箇月前までに持分会社に退社の予告をしなければならない。
2  前項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
3  前二項の規定にかかわらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。
(法定退社)
第六百七条  社員は、前条、第六百九条第一項、第六百四十二条第二項及び第八百四十五条の場合のほか、次に掲げる事由によって退社する。
一  定款で定めた事由の発生
二  総社員の同意
三  死亡
四  合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
五  破産手続開始の決定
六  解散(前二号に掲げる事由によるものを除く。)
七  後見開始の審判を受けたこと。
八  除名
2  持分会社は、その社員が前項第五号から第七号までに掲げる事由の全部又は一部によっては退社しない旨を定めることができる。
(相続及び合併の場合の特則)
第六百八条  持分会社は、その社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができる。
2  第六百四条第二項の規定にかかわらず、前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の一般承継人(社員以外のものに限る。)は、同項の持分を承継した時に、当該持分を有する社員となる。
3  第一項の定款の定めがある場合には、持分会社は、同項の一般承継人が持分を承継した時に、当該一般承継人に係る定款の変更をしたものとみなす。
4  第一項の一般承継人(相続により持分を承継したものであって、出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないものに限る。)が二人以上ある場合には、各一般承継人は、連帯して当該出資に係る払込み又は給付の履行をする責任を負う。
5  第一項の一般承継人(相続により持分を承継したものに限る。)が二人以上ある場合には、各一般承継人は、承継した持分についての権利を行使する者一人を定めなければ、当該持分についての権利を行使することができない。ただし、持分会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
(持分の差押債権者による退社)
第六百九条  社員の持分を差し押さえた債権者は、事業年度の終了時において当該社員を退社させることができる。この場合においては、当該債権者は、六箇月前までに持分会社及び当該社員にその予告をしなければならない。
2  前項後段の予告は、同項の社員が、同項の債権者に対し、弁済し、又は相当の担保を提供したときは、その効力を失う。
3  第一項後段の予告をした同項の債権者は、裁判所に対し、持分の払戻しの請求権の保全に関し必要な処分をすることを申し立てることができる。
(退社に伴う定款のみなし変更)
第六百十条  第六百六条、第六百七条第一項、前条第一項又は第六百四十二条第二項の規定により社員が退社した場合(第八百四十五条の規定により社員が退社したものとみなされる場合を含む。)には、持分会社は、当該社員が退社した時に、当該社員に係る定款の定めを廃止する定款の変更をしたものとみなす。
(退社に伴う持分の払戻し)
第六百十一条  退社した社員は、その出資の種類を問わず、その持分の払戻しを受けることができる。ただし、第六百八条第一項及び第二項の規定により当該社員の一般承継人が社員となった場合は、この限りでない。
2  退社した社員と持分会社との間の計算は、退社の時における持分会社の財産の状況に従ってしなければならない。
3  退社した社員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。
4  退社の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。
5  社員が除名により退社した場合における第二項及び前項の規定の適用については、これらの規定中「退社の時」とあるのは、「除名の訴えを提起した時」とする。
6  前項に規定する場合には、持分会社は、除名の訴えを提起した日後の年六分の利率により算定した利息をも支払わなければならない。
7  社員の持分の差押えは、持分の払戻しを請求する権利に対しても、その効力を有する。
(退社した社員の責任)
第六百十二条  退社した社員は、その登記をする前に生じた持分会社の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。
2  前項の責任は、同項の登記後二年以内に請求又は請求の予告をしない持分会社の債権者に対しては、当該登記後二年を経過した時に消滅する。
(商号変更の請求)
第六百十三条  持分会社がその商号中に退社した社員の氏若しくは氏名又は名称を用いているときは、当該退社した社員は、当該持分会社に対し、その氏若しくは氏名又は名称の使用をやめることを請求することができる。

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