1
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
この法律に基づく不服申立ては,必ず書面を提出することによって行わなければならない。 1993年度(平成5年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2007年11月08日)
×
この法律に基づく不服申立ては、他の法律(条例に基づく処分については、条例を含む)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出してしなければならない。
(行政不服審査法第9条1項)
よって、必ず書面というのは誤りです。
不服申立てを「口頭ですることができる旨の定めがある」「他の法律」を探してみました。
「国民健康保険法」
第99条 審査請求は、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内に、文書又は口頭でしなければならない。・・・
「介護保険法」
第192条 審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して六十日以内に、文書又は口頭でしなければならない。・・・
他にもありそうですが、確かに存在しますね。
[自説の根拠]上記条文
不服申立は【書面によってするのが原則】ですが、法律に口頭ですることができる旨の定めがある場合は口頭でできます。
[自説の根拠]行政不服審査法第9条1項
2
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
代理人は,特別の委任を受けた場合に限り,不服申立ての取下げをすることができる。 1993年度(平成5年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
代理人は、各自、不服申立人のために、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。ただし、不服申立ての取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。 (行政不服審査法 12条2項)
代理人は各自、不服申立人のために当該不服申立てに関す一切の行為をすることができる。
ただし不服申立ての取下げは特別の委任を受けた場合に限りすることができる。
全く回答に関係ありませんが、法学部在籍で暇つぶしに行政法をかじっているあなた、今が民事訴訟法を理解するチャンスです。意識して並行学習しましょう。
本問も、訴訟上の代理人について学べます。
なにせ、基礎が民事訴訟のルールで構成されてる世界ですから。。。
ちなみに、
「特別の委任」は書面にて行います。
参考になれば。
3
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求がなされた場合であっても,処分庁は原則として処分を執行し,又は手続を続行することができる。 1994年度(平成6年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。 (行政不服審査法 34条)
不服申立ては、異議申立ても審査請求も執行不停止が「原則」です。
例外として、審査請求の場合
①審査庁が処分庁の上級行政庁である場合は、「審査請求人の申立て」又は「職権」で、
②審査庁が処分庁の上級行政庁以外の場合、「審査請求人の申立て」で執行停止「できます」。
③上記以外でも、処分、処分の執行、又は手続の執行により生ずる「重大な損害」を避けるため「緊急の必要」があると認めるときは執行停止「しなければいけません」。
[自説の根拠]行政不服審査法34条
審査請求および不服申し立てどちらでも「執行不停止」が原則です。
[自説の根拠]行政不服審査法34条1項
この間(審査請求期間)に、(処分が)
執行不停止と、原則上なっているのですね
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求は,原則として,処分があった日の翌日から起算して6箇月を経過したときは,することができない。
4
次の説明は、行政不服審査法における審査請求に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求人は,裁決があるまでは,いつでも審査請求を取り下げることができるが,この審査請求の取下げは,口頭ですることができる。 1998年度(平成10年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。 (行政不服審査法 39条)
(審査請求の取下げ)
第三十九条
審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができる。
審査請求の取下げは、書面でしなければならない。
書面で行うことで、
口頭での「言った、言わない」、「取り下げた、取り下げていない」という問題を回避するためでしょうか。
行政法関係はなぜこんな条文があるのか?と想像すると覚えやすいと思います。決して公務員全体が悪いわけではないですが、基本的に行政法は行政職員の怠慢を許さない方向で設定されています。
この問の場合を想像すると審査請求人が審査にかかる手間に疲れて「もうやめたい」と漏らしたときに「じゃあ審査取り下げね」とされてしまう可能性もあるかな、と考えました。
書面での取り下げなら本人も冷静に考えた上で取り下げの意思を明確にできます。代理人が取り下げる場合にも本人の意思を示す特別の委任が必要ですしね。
[自説の根拠]決して公務員全員を批判するわけではなく、あくまで覚える際の想像です。もっとも一部にはすぐにサボりたがる不良職員いますが・・・。
行政関係法令は確かに一般では理解しにくい内容も多いかもしれません。
行政の怠慢を防止するという意見も間違いではありません。
しかし、現在は情報公開法もあり、行政文書の開示請求というのも増えてきております。
これは行政の公正な運営を促進するため重要なものです。
口頭のものでは開示することもできず、行政の公正な運営の向上を図ることができなくなります。
そう考えていくと、行政関係法令は理解しやすくなるのではないでしょうか?
そもそもの法令の目的は、行政の適切な運営のためのものですから。
行政不服審査法の試験対策としては、口頭でできる場合、を覚えた方が楽かもしれません。
審査請求人は裁決があるまでは、いつでも審査請求を取り下げることができます。
もっとも、後の取下げの有無につき紛争が生じるのを防ぐため、審査請求の取下げは、書面によってしなければなりません(39条2項)
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求の取下げは,口頭ですることができる。
5
行政上の不服申立てについて、適切か否か答えよ。
明治憲法下で行政上の不服申立てを定めていた訴願法は、行政裁判法と同時期に制定され、これと同時に廃止された。 2008年度(平成20年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月20日)
×
・行政裁判法:行政事件訴訟特例法の施行に伴い廃止(昭和23年)
・訴願法:行政不服審査法の施行に伴い廃止(昭和37年)
よって廃止時期は異なります。
6
行政不服審査法(以下、「法」という。)に規定する不服申立ての対象について、適切か否か答えよ。
法は、不服申立制度全般について統一的、整合的に規律することを目的とするので、別に個別の法令で特別な不服申立制度を規定することはできない。 2008年度(平成20年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月20日)
×
関連条文を挙げておきます。
行政不服審査法第一条第二項
「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。」
同法第四条
「行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第六条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。ただし、次の各号に掲げる処分及び他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については、この限りでない。
(一~十一 略)
2 前項ただし書の規定は、同項ただし書の規定により審査請求又は異議申立てをすることができない処分につき、別に法令で当該処分の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。」
行政不服審査法は一般法なので、特別法による不服申立制度を明文で予定しています。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
特別法による不服申立制度の一例:
・税務署長等によるもの(抜粋)
課税標準等又は税額等に関する更正又は決定
更正の請求に対するその一部を認める更正又は更正をすべき理由がない旨の通知
納税の告知
国税の滞納処分
*やはり、国民は税金に対して不服があるようです。
[自説の根拠]自説の根拠は、国税不服審判所ホームページ。
すみません。先ほどのコメントは、不服申立制度についてではなく、不服申し立ての対象でした。お詫びして訂正します。制度としては、「国税の不服申立制度」という名称になると思います。
行政不服審査法は、行政上の不服申立ての一般法であり、特別法の存在や除外規定における不服申立制度を設けることを排除しておらず(行政不服審査法第1条2項、4条2項)、実際に土地収用法・公職選挙法等において、独自に不服申立制度を定めている。
7
行政不服審査法による不服申立てについて、適切か否か答えよ。
不服申立ては,「国会の両院若しくは一院又は議会の議決によって行なわれる処分」に対しても認められる。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
国会の両院若しくは一院又は議会の議決によって行われる処分は不服申立ては認められない
[自説の根拠]—行政不服審査法第4条1項(1)—
行政不服審査法は一般概括主義を採用しているが、行為の性質や関係手続のあり方によっては、不服審査手続の対象から除外されている。国会の両院もしくは一院または議会の議決によって行われる処分に対する不服申立ては認められない。
[自説の根拠]自説の根拠は、4条1項1号
主な除外される処分(行政不服審査法4条1項)
(2)裁判所若しくは裁判官の裁判により又は裁判の執行として行われる処分
(7)国税又は地方税の犯罪事件に関する法令に基づき、国税庁長官、国税局長、税務署長等が行う処分
(10)外国人の出入国又は帰化に関する処分
(11)専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
「行政不服審査法第4条1項(1)」の規定を知っていたら当然に回答ができますが、もし、自信がない場合や知らなかった場合は、自己の常識で回答することも必要となります。今回の場合、法律の名前が「行政」とあり、問題は「国会の両院若しくは一院又は議会の議決によって行なわれる処分」で「立法」に関することが問われています。立法のことを行政に関する規定で判断することは三権分立の精神からして、通常は有りえないとの判断をして、回答は「☓」とする。これでも1点を取れます。
[自説の根拠]行政不服審査法第4条1項(1)
8
次の記述について、行政不服審査法に照らして適切か否か答えよ。
不服申立ての審理は書面によるのが原則で,不服申立人に口頭意見陳述の機会を与えるのは,不服申立てを審査する行政庁が必要と認めた場合である。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
【行政不服審査法25条】
審査請求の審理は、書面による。ただし、審査請求人又は参加人の申立てがあつたときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
実務上は「但し書きの方」を覚えておくのが大切です。
口頭意見陳述が行審法上の例外には変わりない。不服申立人の権利だから原則に反し遠慮なく申し述べて良い。
行政不服審査法は、書面審理主義によって簡易迅速な審理が可能となりますが、印象が間接的であり、真実が正確に書面に記載されているとは限らないといった短所もあります。
そこで、書面審理主義の原則を修正し、口頭審理主義の要素も導入しています。
すなわち、審査請求人または参加人からの申立てがあったときは、審査庁は申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければなりません。
行政不服審査法25条(審理の方式)
審査請求の審理は、書面による。ただし、審査請求人又は参加人の申立てがあつたときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
② 前項ただし書の場合には、審査請求人又は参加人は、審査庁の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
「行政庁が認めた場合」ではなく「審査請求人又は参加人の申立てがあったとき」という理由から「×」でよろしいでしょうか
9
行政不服審査法が明文で要求する審査請求書の記載事項として、適切か否か答えよ。
審査請求人が代理人によって審査請求をする場合の代理人の氏名および住所 2002年度(平成14年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
【審査請求書の記載事項】 行政不服審査法 第15条
第2項
審査請求人が、法人その他の社団もしくは財団であるとき、総代を互選したとき、または代理人によって審査請求するときは、審査請求書には、前項各号に掲げる事項のほか、その代表者もしくは管理人、総代または代理人の氏名および住所を記載しなければならない。
よって○が正解です。
[自説の根拠]行政不服審査法 第15条
10
行政不服審査法の定める教示について、適切か否か答えよ。
地方公共団体その他の公共団体に対する処分で,当該公共団体がその固有の資格において処分の相手方となるものについても,教示の規定が適用される。 2001年度(平成13年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
地方公共団体その他の公共団体のする処分で、当該公共団体がその固有の資格において処分の相手方となるものについては、教示は適用されない
[自説の根拠]—行政不服審査法第57条4項—
地方公共団体に対する処分については、不服申立て制度を知ってて当たり前なので教示の必要はありません。
11
行政不服審査法における手続の終了について、適切か否か答えよ。
不作為に関する異議申立てが適法になされた場合、不作為庁は、一定の期間内に、申請に対する何らかの行為をするかまたは書面で不作為の理由を示さなければならない。 2010年度(平成22年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2011年05月17日)
○
行政不服審査法第50条
1 不作為についての異議申立てが不適法であるときは、不作為庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。
2 前項の場合を除くほか、不作為庁は、不作為についての異議申立てがあった日の翌日から起算して20日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない。
12
行政不服審査法(以下「行審法」という。)と行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の比較に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
行審法は、同法にいう処分には公権力の行使に当たる事実上の行為で継続的性質を有するものが含まれると定めているが、行訴法は、このような行為が処分に当たるとは明示的には定めていない。 2013年度(平成25年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
○
行審法:この法律に言う「処分」には、各本状に特別の定めがある場合を除くほか、公権力の行使にあたる事実上の行為で、人の収用、物の留置その他その内容が継続的性質を有するものが含まれるとする。
行訴法:この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
行審法では継続的性質を有するものが含まれているが、行訴法では含まれていないので、本問は正しい。
[自説の根拠]行審法2条1項&行訴法3条2項
行政不服審査法第2条1項は、「この法律にいう「処分」には、各本条に特別の定めがある場合を除くほか、公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの(事実行為)が含まれるものとする。」として、処分に事実行為が含まれることを明示している。
一方、行政事件訴訟法では、このような事実行為が処分に含まれることは明示していない。
もっとも、解釈としては、行政事件訴訟法の処分にもこのような事実行為も含まれると解されている。
行政事件訴訟法では、【継続的性質を有するものは含まれていません】。また、【事実行為が処分に含まれることは明示していません】。
よって本問は正しい。
13
行政不服審査に関する原則の説明として、適切か否か答えよ。
書面審理主義-不服申立ての審理は、書面によることを原則としていること 2013年度(平成25年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
○
行政不服審査法は、原則として書面審理主義です。
(審理の方式)
第二十五条 審査請求の審理は、書面による。ただし、審査請求人又は参加人の申立てがあつたときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
14
行政不服審査法に関する次の記述について,法令または最高裁判所の判例に照らし,適切か否か答えよ。
行政不服審査制度は「国民の権利利益の救済を図る」ことを目的としているので,同法に基づく不服申立てを行うことができるのは,日本国籍を有する者に限られる。 2011年度(平成23年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
行政不服審査法の適用がある処分であれば外国人もその対象となります。
これは、行政不服審査法の目的は「国民の権利利益の救済を図る」ことの他に、「行政の適正な運営を確保すること」も目的であるため、「国民」という言葉を使ってはいますが、外国人を排除する趣旨ではないと解されています。
ちなみに、行政手続法第1条の「国民の権利利益の保護」も同様に外国人を排除する趣旨ではないと解されています。
15
行政不服審査法に関する次の記述について,法令または最高裁判所の判例に照らし,適切か否か答えよ。
申立人について補佐が必要とされることがあるので,審査庁は,申立人から口頭意見陳述において補佐人を同行したい旨の申し出があった場合には,これを許可することができる。 2011年度(平成23年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
○
【審査請求の審理】
書面によるのが原則で、申立てがあれば、口頭で機会を与えなければならない(行政不服審査法第25条1項)
口頭で行う場合に、審査請求人又は参加人は、審査庁の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる(行政不服審査法第25条2項)。
27点
1
次の文章は,行政不服審査法14条1項の規定する「処分があったことを知った日」の解釈が争点となった事案の最高裁判所判決の一節である。空欄[ア]に入る語句として,適切なものはどれか。
行政不服審査法14条1項本文の規定する「処分があったことを知った日」というのは,処分がその名あて人に個別に通知される場合には,その者が処分のあったことを[ア]のことをいい,[イ]というだけでは足りない…。しかし,都市計画法における都市計画事業の認可のように,処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には,そのような告知方法が採られている趣旨にかんがみて,上記の「処分があったことを知った日」というのは,[ウ]をいうと解するのが相当である…。以上によれば,前記のとおり,本件認可の告示がされたのは平成8年9月13日であり,被上告人がこれに対する審査請求をしたのは同年12月2日であったというのであるから,被上告人が本件認可を[ア]がいつであるかにかかわりなく,同審査請求は行政不服審査法14条1項本文の期間を[エ]にされたものであることが明らかであり,論旨は理由がある。
(最一小判平成14年10月24日民集56巻8号1903頁以下) 2011年度(平成23年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
現実に知った日
(不正解) 知り得た日
ア:現実に知った日
イ:処分があったことを知り得た
ウ:告示があった日
エ:経過した後
裁決取消請求事件
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/309/052309_hanrei.pdf
[自説の根拠]平成12(行ヒ)174 裁決取消請求事件 平成14年10月24日
2
次の説明は、行政不服審査法による審査請求における執行停止に関する記述である。
申請拒否処分に対する審査請求については,平成16年の法改正により,執行停止制度に加えて,「仮の義務付け」と「仮の差止め」の制度が明文化された。 2006年度(平成18年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年04月16日)
×
執行停止の制度については、行政不服審査法(34条)、行政事件訴訟法(25条)ともに規定あり。
いずれも、原則「処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない」。
ただし、執行停止条件には差がある。
◆審査庁は、「必要がある」→「執行停止をすることができる。」
「緊急の必要」→「執行停止をしなければならない。」
◆裁判所は、「緊急の必要」→執行停止「できる」。
平成16年の法改正により「仮の義務付け」と「仮の差止め」が制度化されたのは行政不服審査法ではなく、行政事件訴訟法である。
[自説の根拠]行政事件訴訟法37条の5
行政事件訴訟法では仮の義務付け、仮の差止めの規定が明文化されたが(行政事件訴訟法第37条の5)、行政不服審査法には当該制度はない。
3
次の事例について、法令の規定及び最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
Aは行政庁Bに対し,情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)に基づいて行政文書の情報公開請求を行った。BがAの請求に対し一部不開示決定を行ったので,Aは異議申立てまたは情報公開訴訟を提起しようと考えている。
行政文書等の開示請求権はAの一身に専属する権利とはいえないから,Aの死亡後も,当該行政文書の非公開決定の取消を求める訴えの利益は消滅しない。 2006年度(平成18年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年04月16日)
×
georgeさん
根拠条文がありますよ。
【民法896条】(相続の一般的効力)
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない。
あと、この設問肢の間違いは
「開示請求権はAの一身に専属する権利とは
いえないから~」の部分で
「開示請求権は一身に専属する権利」であると
する判例があります。
「よって相続の対象とはならず訴えの利益は失われる」
ので正解は「X」です。
[自説の根拠]【896条】、(最判平16・2・24)
まとめますと、
民法896条により
「相続人は、相続の開始から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を継承する。ただし、被相続人の一身に専属したものはこの限りではない」
とあるのですが
「開示請求権は一身に専属する権利」であるがために「相続の対象とはならず、訴えの利益は消滅する」となります。
よって、正解は×となります。
審査請求人が死亡した場合には、相続人その他の承継人は審査請求人の地位を承継する(行審37条1項)が、本肢の「行政文書等の開示請求権」は一身専属的なものであり、原告の死亡によって訴訟は当然に終了する(最判平16.2.24)。
4
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
不服申立てがなされた場合は,行政庁の処分の効力,処分の執行又は手続続行は停止される。 1993年度(平成5年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。 (行政不服審査法 34条)
審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
[自説の根拠]行政不服審査法 第34条 第1項
執行不停止の原則
今回の問題に直接の関係はありませんが、補足です。
執行不停止の例外
処分庁の上級行政庁である審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をすることができる。
処分庁の上級行政庁以外の審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取したうえ、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をすることはできない。
前二項の規定による審査請求人の申立てがあつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、処分の執行若しくは手続の続行ができなくなるおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
[自説の根拠]行政不服審査法 第34条 第2項、第3項、第4項
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求がなされた場合であっても,処分庁は原則として処分を執行し,又は手続を続行することができる。
5
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
処分についての審査請求が理由があり,かつ,審査庁が処分庁の上級行政庁である場合であっても,当該審査庁は,裁決で当該処分を変更することはできない。 1995年度(平成7年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
行政庁の処分についての審査請求は、次の場合にすることができる。 (行政不服審査法 5条)
行政不服審査法の目的は、公権力の行使に対し、不服申し立ての道を開き、簡易迅速な手続による権利利益救済、行政の適正な運営の確保です。
国民の思いに対して、再検討等を行うためです。
その結果として取消しや変更等となる可能性がある、というだけです。
しかし、取消しと違い、変更は新たな行政行為を行うこととなります。
上級行政庁以外が審査庁の場合にも変更を行えると、所掌事務以外の行政行為を行うこととなり、根拠法令等に適した行政行為が行えない恐れがありますので、変更を認めるのは適切ではありません。
(行政不服審査法第40条5項)
審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更し、又は処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実行為を変更すべきことを命ずることはできない。
[自説の根拠]自説の根拠は、条文です。
【誤り箇所】
当該処分を変更することはできない。
【行審法第40条5項】※「」は重要箇所
前2項の場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、「審査庁は、裁決で当該処分を変更し」、又は処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。ただし、・・・(以下省略)
【正解】
変更することはできる。
[自説の根拠]行政書士受験六法
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
処分についての審査請求は原則として処分をした行政庁に上級行政庁があるときに,異議申立ては原則として上級行政庁がないときにすることができる。
6
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求が法定の期間経過後にされたものであるときは,審査庁は,裁決を行う必要がない。 1999年度(平成11年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。 (行政不服審査法 40条)
行政不服審査法第40条1項
審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき,その他不適法であるときは,審査庁は,裁決で,当該審査請求を却下する.
行政不服審査法第19条
処分庁が誤って法定の期間よりも長い期間を審査請求期間として教示した場合において,その教示された期間内に審査請求がされたときは,当該審査請求は,法定の審査請求期間内にされたものとみなす.
よって,処分庁が誤った教示を行った場合には,法定の期間経過後であっても,法定期間内にされたものとみなされる場合がある.
[自説の根拠]行政不服審査法第40条1項,行政不服審査法第19条
「裁決」で却下
裁決には「却下」「棄却」「認容」「事情裁決」があり、審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は裁決で当該審査請求を却下するのであり、【裁決は行われます】。
[自説の根拠]行政不服審査法第40条1項。
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき,その他不適法であるときは,審査庁は,裁決で,当該審査請求を却下する。
7
次の手続が、私人間紛争の裁定的性格を有する行政審判に該当するものか否か答えよ。
※【問題訂正】問題を修正させて頂きました(2010/08/03)。
海技士等に対する懲戒処分を行うための海難審判所における審判・裁決の手続 2009年度(平成21年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年08月03日)
×
海難審判 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E9%9B%A3%E5%AF%A9%E5%88%A4
より抜粋。
「海難審判は刑事裁判ではなく行政機関が行う行政審判である。海難が海技士・小型船舶操縦士・水先人の職務上の故意または過失によって発生したか否かを明らかにし、これらの者の故意または過失によって海難が発生したと認められるときには裁決によって受審人に懲戒(海難審判においては免許の取消し、業務の停止、戒告の三種)の行政処分を行なうことを目的としている(海難審判法第3条・第4条)。海難審判そのものは刑事裁判ではないので刑罰等は科されない、また、民事裁判でもないので裁決によって関係者に損害賠償を求めることもできない。」
【1】当事者間の紛争解決のためのもの(事後救済手続
①私人間の紛争を解決するためになされる行政審判
・不当労働行為の申立てに基づく労働委員会の審問
・公害被害の損害賠償紛争等に対する公害等調整委員会による裁定
②行政処分に対する不服の審査
・鉱業法等による処分に対する公害等調整委員会の行なう不服裁定
・電波法に基づく電波監理審議会への異議申立
【2】行政機関の決定前にされるもの(事前手続
・公正取引委員会の課徴金、排除措置命令の手続
・公安審査委員会の破壊的団体規制処分手続
[自説の根拠]行政書士試験!合格道場より(一部改変) http://gyoseisyoshi-shiken.rdy.jp/
上記、皆さんの解説をまとめさせていただくと、
本問の審判、裁決は、行政処分たる懲戒処分を行うためのものであり、事前手続としての行政審判であって、
当事者間の紛争解決のための、事後救済手続としての行政審判ではない。
問題文に、事後手続きの行政審判とは書いてないのに、なぜ×なのか解りません。
8
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
弁明書の提出にあたり,正副2通を提出しなければならないが,電子情報処理組織を使用して弁明がなされた場合には,弁明書の正副2通が提出されたものとみなされる。 2004年度(平成16年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
【弁明書の提出】 行政不服審査法 第22条
第2項
弁明書は、制服2通を提出しなければならない。
第3項
前項の規定にかかわらず、情報通信技術利用法第3条第1項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を利用して弁明がされた場合には、弁明書の正副2通が提出されたものとみなす。
よって○が正解です。
[自説の根拠]行政不服審査法 第22条
制服→正副
弁明書の提出にあたり、正副2通を提出しなければならないが、電子情報処理組織を使用して弁明がなされた場合には、弁明書の正副2通が提出されたものとみなされる。
[自説の根拠]行政不服審査法22条(2項・3項)
訂正
「最上級行政庁」ではなく「審理員」でした。
紛らわしくてすいませんでした。
9
行政不服審査法の不服申立ての対象とならないものとして、適切か否か答えよ。
国税犯則事件に関する法令に基づき,国税庁長官が行う処分 2005年度(平成17年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
第4条(処分についての不服申立てに関する一般概括主義)
次の各号に掲げる処分、この法律に基づく処分及び他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については、この限りでない。
1.国会の両院若しくは一院又は議会の議決によつて行われる処分
2.裁判所若しくは裁判官の裁判により又は裁判の執行として行われる処分
3.国会の両院若しくは一院若しくは議会の議決を経て、又はこれらの同意若しくは承認を得たうえで行われるべきものとされている処分
4.検査官会議で決すべきものとされている処分
5.当事者間の法律関係を確認し、又は形成する処分で、法令の規定により当該処分に関する訴えにおいてその法律関係の当事者の一方を被告とすべきものと定められているもの
6.刑事事件に関する法令に基づき、検察官、検察事務官又は司法警察職員が行う処分
7.国税又は地方税の犯則事件に関する法令に基づき、国税庁長官、国税局長、税務署長、収税官吏、税関長、税関職員又は徴税吏員が行う処分
8.学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対して行われる処分
9.刑務所、少年刑務所、拘置所、少年院、少年鑑別所又は婦人補導院において、収容の目的を達成するために、被収容者に対して行われる処分
10.外国人の出入国又は帰化に関する処分
11.専ら人の学識技能に関する試験又は検定の結果についての処分
[自説の根拠]行政不服審査法4条
国税犯則事件に関する法令に基づき、国税庁長官が行う処分は、【適用除外に該当】するため、行政不服審査法の不服申立ての対象とならない。
[自説の根拠]行政不服審査法4条1項7号
10
行政不服審査法による不服申立てについて、適切か否か答えよ。
審査請求は,「処分庁に上級行政庁がないとき」にすることができる。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
行政庁の処分についての審査請求は、次の場合にすることができる。
(1)処分庁に上級行政庁があるとき。
[自説の根拠]—行政不服審査法第5条—
「処分庁に上級行政庁がないとき」には、原則として
異議申立てをすることができます。
[自説の根拠]行政不服審査法6条
処分についての不服申立について、審査請求は、原則として処分庁に上級行政庁があるときに上級行政庁に対してするものです。(行政不服審査法第5条第1項第1号)。
異議申立は、原則として上級行政庁がないときに処分行政庁に対してするものです。(行政不服審査法第6条第1号)
11
次の記述について、行政不服審査法に照らして適切か否か答えよ。
不服申立人は,不服申立てを審査する行政庁に,処分の理由となった事実を証する書類等の閲覧を正当な事由があれば求めることができる。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
正当な事由が無くとも閲覧を求めることができる。
「処分の理由となった事実を証する書類等の閲覧を、正当な事由があれば求めることができる]ではなく、
「審査庁は正当な事由がない限り閲覧を拒めない」のです。よって×です。
[自説の根拠]自説の根拠は、行政不服審査法33条
閲覧が出来ない方が例外的となる
行政不服審査法の条文を挙げておきます。
(処分庁からの物件の提出及び閲覧)
第33条1項 処分庁は、当該処分の理由となつた事実を証する書類その他の物件を審査庁に提出することができる。
2項 審査請求人又は参加人は、審査庁に対し、処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる。この場合において、審査庁は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
第3項(略)
[自説の根拠]上記条文
12
行政不服審査法に基づく不服申立てについて、適切か否か答えよ。
代理人は、不服申立人のために、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができるが、不服申立ての取下げについては特別の委任を要する。 2010年度(平成22年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2011年05月17日)
○
行政不服審査法第12条2
代理人は、各自、不服申立人のために、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。ただし、不服申立ての取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。
ちなみに「総代」は、各自が他の共同不服申立人のため
に、当該不服申立てに関する一切の行為をすることが
できます。
ただし不服申立ての取下げは特別の委任を受けても
できません。
取下げについては、代理人と総代と権限の違いを混同
しないように注意が必要ですね。
[自説の根拠]自説の根拠は、行政書士合格道場!
13
行政不服審査に関する原則の説明として、適切か否か答えよ。
自由選択主義-不作為について、異議申立てと直近上級行政庁に対する審査請求のいずれをするかは、原則として、当事者の自由な選択に委ねられていること 2013年度(平成25年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
○
■処分の不服申立 ⇒ 審査請求中心主義
不作為の不服申立 ⇒ 自由選択主義
第七条 行政庁の不作為については、当該不作為に係る処分その他の行為を申請した者は、異議申立て又は当該不作為庁の直近上級行政庁に対する審査請求のいずれかをすることができる。ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるときは、異議申立てのみをすることができる。
[自説の根拠]行政不服審査法第七条
改訂により
不作為の不服申立
第三条 法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。
[自説の根拠]行政不服審査法
14
行政不服審査法に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
不作為について異議申立てがなされた場合、不作為庁は、当該異議申立てが不適法でない限り、不作為の違法を確認する決定を行うか、異議申立てを棄却する決定を行う。 2012年度(平成24年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
異議申立てが不適法でない場合、不作為庁は、不作為についての異議申立てがあった日の翌日から起算して20日以内に、申請に対する何らかの行為をするか、または書面で不作為の理由を示さなければならない。
15
次に示す条文(行政不服審査法第1条第1項)中の[A](漢字4字)に該当する正しい語を記入しなさい。
「この法律は,行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に閲し,国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって,簡易迅速な手続による国民の[A]の救済を図るとともに,行政の[B]な運営を確保することを目的とする。」 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
権利利益
(不正解) (無回答)
ちなみに,
B は 適正 です。
「この法律は,行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に閲し」
誤字です。「関し」
[自説の根拠]行審法1条
いまさらですが
行政不服審査法
第1条
この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
[自説の根拠]行政不服審査法第1条
40点
1
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
不服申立ての対象である行政庁の処分には,行政不服審査法に基づく処分は,含まれない。 1992年度(平成4年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
次の場合には、処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
1号 法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。 (行政不服審査法 8条1項1号)
この法律に基づく処分は除かれる。なぜなら、不服申し立ての手続において行われる処分については、既に審査庁の判断が示されているので、これを再び争わせる必要性に乏しいからである。
かっこ書きを問題にしている問題です。初心者は間違いやすいので、かっこ書きだけ別に覚えるとよいと思います。
[自説の根拠]自説の根拠は、行政不服審査法4条1項かっこ書き
行服法8条、53条に「再審査請求」の規定があるし、行政事件訴訟法の「裁決の取消しの訴え」なども頭に浮かぶので、ついつい「×」にしてしまう。
valleyさんという方はあちこちにコメント残してますが、良コメントはほとんどないですね。
よく考えてからコメントしてください。
まず、審査請求をした人が、再審査請求までして救済されようとしている処分とはなんですか??「原処分」ですよね??
次に「裁決の取消の訴え」は行政不服審査法ではありません。不服申し立てに対する裁決・決定に対して、また不服申し立てできるとしたら永遠に終わらないでしょう。その点を踏まえれば悩む必要もないとても簡単な問題です。
憲法に「行政機関は終審として裁判を行うことができない」とあるように、不服申し立ての裁決・決定に対し裁判所へ提起することは妨げられない。最終的には裁判所への提訴が認められているので、不服申し立ての処分に対しては、不服申し立てできないのは何も問題ありません。
[自説の根拠]完全に自信あります。
上記の方。
そうですか?
私は、良コメントが多いと思ってましたが?
少なくとも、情報提供や悩みどろこを指摘されてますので、他の方も勉強になると思いますけどね。
私個人としては、何百人と”優秀”な方が、このサイトを黙々と利用されてるより、valleyさんの書き込みの方が、はるかに貴重な存在です。
「良コメントはほとんどないですね。」とは手厳しいです。
(本問題のような客観的な難問[…ユーザー正解率]を、「とても簡単」と主観的におっしゃるのですから!)
ちなみに、行政不服審査法8条は、こうです(第3項はとくに難しい!):
「次の場合には、処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
一 法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
二 審査請求をすることができる処分につき、その処分をする権限を有する行政庁(以下「原権限庁」という。)がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る審査請求につき、原権限庁が審査庁として裁決をしたとき。
2 再審査請求は、前項第一号の場合にあつては、当該法律又は条例に定める行政庁に、同項第二号の場合にあつては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁に対してするものとする。
3 再審査請求をすることができる処分につき、その原権限庁がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る再審査請求につき、原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁が再審査庁としてした裁決に不服がある者は、さらに再審査請求をすることができる。この場合においては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る再審査請求についての再審査庁に対して、その請求をするものとする。」
valleyさん、いつも的確かつ判り易いコメントをありがとうございます。いつも勉強の参考にさせていただいております。
この設問についてのvalleyさんのコメントは、私にとっては「そういう所で悩む人もいるんだな」という印象を受けましたので、同じ悩みを持っている多くの利用者(ユーザー正答率から推測)の助けになるかと思います。
私としては、この設問は条文を丸暗記していれば解けるので、主観的にはそんなに難しいとは感じないのですが…。
関連条文を引用しておきます。
行政不服審査法第四条第一項本文
「行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第六条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。」
先のfairlyhideさんの指摘にあったとおり、上記条文のカッコ書きが頭に入っていれば、すぐに○と書ける設問枝ですね。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
本問は状況を整理すると条文知識がなくても解ける問題かと思います。
「行政不服審査法に基づく処分」を不服申立ての対象とした場合、裁決に基づく処分について新たな不服申立てができ、同様な審査、裁決、処分、不服申立てが繰り返される可能性があります。
よって含まれないのでは、と推測することが可能です。
もちろん、条文(行政不服審査法第4条第1項)を理解していれば一番ですが、わからないときは状況整理が重要です。
皆さんの意見はそれぞれの考え方、悩みで、どれも正しく、どれも勉強になります。
処分に不服があり不服申立てを認めてしまうともう一度不服申し立て そして又その処分に対して不服申立てとなりエンドレスになってしまうよ
行政不服審査法の条文を挙げておきます。
(処分についての不服申立てに関する一般概括主義)
第四条 行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第六条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。[以下略]
[自説の根拠]上記条文
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求とは,行政庁の処分又は不作為について,処分をした行政庁又は不作為に係る行政庁に対してする不服申立てをいう。
2
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは,審査庁は,審査請求に係る処分の変更を裁決で命ずることができるが,審査請求人の不利益に当該処分を変更することを命ずることはできない。 1992年度(平成4年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
前二項の場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更し、又は処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実行為を変更すべきことを命ずることはできない。 (行政不服審査法 40条5項)
行政不服審査法40条5項
審査請求人の不利益に当該処分を変更することを命ずることはできない(行政不服審査法40条5項)。
不服のある者が不利益に変更されることをおそれて審査請求をためらうことのないようにするため
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
処分についての審査請求が理由があり,かつ,審査庁が処分庁の上級行政庁である場合であっても,当該審査庁は,裁決で当該処分を変更することはできない。
3
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
異議申立ては,処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内にしなければならない。 1999年度(平成11年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
異議申立ては、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。 (行政不服審査法 45条)
上で、marukichiさんの書いている「ちなみに審査請求、再審査請求は~」というのは、おかしいです。
「ちなみに、再審査請求は~」でしょう。審査請求のほうは、さんざん繰り返しコメントされたとおり「60日」ですから。
また、「ちなみに」と言うからには、条文の番号もちゃんと書いてほしいところです。行政不服審査法53条、行政事件訴訟法14条ですね。
キーワードとして
「処分」があったことを知った日の翌日から起算して六十日以内
「裁決」または「決定」があったことを知った日の翌日から起算して三十日以内
というのが分かり易いのでは?
[自説の根拠]行政不服審査法十四条,四十五条,五十三条
【審査請求】
1 処分を知った日の翌日から起算し60日以内
2 天災等やむを得ない理由があるときは、やんだ日の翌日から起算して1週間以内
3 処分を知らない場合、処分があった日の翌日から起算して1年以内
4 先に異議申立てをしている場合は30日以内
(行政不服審査法第14条)
【異議申立て】
審査請求の1番、2番、3番と同じ
(第45条、第48条)
【再審査請求】
・処分を知った日の翌日から起算して30日以内(第53条)
・審査請求の2番、3番(第56条)
[自説の根拠]上記条文
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
異議申立ては,原則として,処分があったことを知った日の翌日から起算して30日以内にしなければならない。
4
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
行政不服審査法の目的は,簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図ることではなく,行政の適正な運営を確保することである。 1999年度(平成11年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2007年11月08日)
×
行政不服審査法第一条
この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、
「簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、」
行政の適正な運営を確保することを目的とする。
「図ることではなく」ではなく、
「図るとともに」です。
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
この法律の目的は,行政の適正な運営を確保することではなく,簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図ることである。
5
次の手続が、私人間紛争の裁定的性格を有する行政審判に該当するものか否か答えよ。
特許無効審判が請求された場合に行われる特許庁における審判・審決の手続 2009年度(平成21年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月14日)
○
特許無効審判は、特許を受けた者に対し、その無効を主張する私人が提起する。つまり、この審判は私人間で特許に関する紛争が生じている場合になされるものであり、「私人間紛争の裁定的性格」を有する。
なので、〇です。
この審判・審決の手続は行政審判に当たります。
問題は私人間紛争の裁定的性格を聞いてます。
特許無効審判が請求された場合ですので特許を受けたものとこれを無効とする者の私人間紛争の裁定に当たることは察しがつきます。
ゆえに答えは○です。
特許無効審判は、相手の特許を消滅させる目的で請求者と権利者との間で争われるものであることから、私人間紛争の裁定的性格を有する行政審判に該当する。
6
処分についての審査請求に対する裁決について、適切か否か答えよ。
裁決に対して不服がある場合でも、これに対して行政事件訴訟法による取消訴訟を提起することはできない。 2009年度(平成21年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月14日)
×
関連条文を挙げておきます。
行政事件訴訟法第3条第3項
「この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求、異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。」
同法第9条第1項
「処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者…に限り、提起することができる。」
上記条文から、取消訴訟には裁決の取り消しを求める訴訟が含まれることが判ります。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
取消訴訟とは、【処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴えのこと】であり、裁決に対して不服がある場合は裁決の取消しの訴えをすることができます。
関連問題
次の説明は、取消訴訟に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
取消訴訟を提起できるのは,その対象となっている処分又は裁決に違法がある場合に限る。
7
行政上の不服申立てについて、適切か否か答えよ。
憲法は、行政機関が裁判を行うことを禁止しているから、裁判手続に類似した行政上の不服申立てを整備することによって地方裁判所における審級を省略することは許されない。 2008年度(平成20年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月20日)
×
関連条文を挙げておきます。
日本国憲法第七十六条第二項
「特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。」
上記条文を反対解釈すると、行政機関が下級審として裁判を行うことは許されていることになります。
例えば、行政審判においては、当該審判に対する司法審査の第一審を東京高裁から始める規定が置いてある場合があります(独占禁止法85条1項など)。
[自説の根拠]参考:行政審判 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%8C%E6%94%BF%E5%AF%A9%E5%88%A4
行政機関が前審として裁判を行なうことは認められる(76条2項反対解釈)
ex)行政不服審査法に基づく行政機関の裁決制度
独占禁止法に基づく公正取引委員会の審決
国家公務員法に基づく人事院の裁定
憲法は、行政機関が“終審として”裁判を行うことを禁止しているに過ぎない。そのため、裁判手続きに類似した行政上の不服申し立てを整備することによって地方裁判所における審級を省略することも許される。
8
行政不服審査法における審査請求と異議申立てについて、適切か否か答えよ。
申請に対する不作為については、審査請求のみが認められ、異議申立てはできないのが原則である。 2007年度(平成19年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月20日)
×
不作為についての不服申立ては、異議申立て又は審査請求のいずれかをすることができます。ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長である場合、異議申立てのみとなります。
[自説の根拠]行政不服審査法 第七条
申請に対する不作為の不服申立てについては、自由選択主義を採っており、原則として異議申立て又は審査請求のいずれかを選択することができる(行政不服審査法第7条)。
したがって、「審査請求のみが認められ、異議申立てはできないのが原則」としている点が誤りである。
行政不服審査法 第三条
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。
平成28年4月1日より、行政不服審査法が改正され、不作為の基本的な不服申し立ては審査請求に一元化されました。旧法の異議申立てはなくなりました。
[自説の根拠]改正行政不服審査法
9
行政不服審査法による不服申立てについて、適切か否か答えよ。
不服申立ては,行政庁の「処分」に対しては認められているが,行政庁の「不作為」に対しては認められていない。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
行政庁の「不作為」も行政不服申立ての対象となります。
[自説の根拠]【行政不服審査法2条2項】
ちなみに、行政不服審査法における不作為とは、一般的な行政の不作為(為すべき何らかの行為を為さない事)全般ではなく、『法令に基づく申請』に対しての不作為の事を言うそうです。
第二条 第2項 この法律において「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、これをしないことをいう。
10
次の記述について、行政不服審査法に照らして適切か否か答えよ。
不服申立てを審査する行政庁は,審査の必要に応じて,書類その他の物件の所持人にそれらの提出を命ずることができる。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
審査庁は、審査請求人等の申立てによりまたは職権で、書類その他の物件の所持人に対し、その物件の提出を求めることができる。
「命ずることができるわけではない。」
[自説の根拠]28条
審査庁は、職権で参考人の陳述及び鑑定を要求し(27条),関係物件の提出を求め(28条),検証を行い,さらに審査請求人又は参加人を審尋することができる。(30条)
平成26年改正
行政不服審査法
(物件の提出要求)
第三十三条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件の提出を求めることができる。この場合において、審理員は、その提出された物件を留め置くことができる。
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
11
行政不服審査法の定める教示について、適切か否か答えよ。
利害関係人から行政庁に対し,当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか教示を求められても,行政庁は必ずしも当該事項を教示しなくてもよい。 2001年度(平成13年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
利害関係人から教示の請求を求められた場合、行政庁は教示しなければならない。(57条2項)
〔補足〕 利害関係人からの教示の請求で、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、教示は書面でしなければならない。(57条3項)
ちなみに行政事件訴訟法の取り消し訴訟に関する教示の場合、教示義務は相手方だけであり、利害関係人に教示を求められても、教示をなすべき義務はありません。
[自説の根拠]行政事件訴訟法46条1項
行政庁は、利害関係人から、当該処分における不服申立てが可能か等、不服申立てに関して教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない(行政不服審査法第57条2項)。
12
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものは,その名で不服申立てをすることができる。 2000年度(平成12年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
「その名」の指すものは「社団又は財団」の名称でしょうか、それとも「代表者又は管理者」の氏名でしょうか。どなたか教えて下さい。
これは「社団又は財団」の名称ですね。。
つまり社団や財団としての実態はあるが、法人格がない場合、代表者や管理人の定めがあるものは、社団や財団名で、不服申立をすることができるという趣旨ですね
例えば、町会、商店街、クラブ等。
[自説の根拠]行政不服審査法 第10条
法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものは,「法人でない社団または財団」の名で不服申立てをすることができる。
[自説の根拠]10条
13
行政不服審査法(以下「行審法」という。)と行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の比較に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
行訴法は、訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加に関する規定を置いているが、行審法は、利害関係人の不服申立てへの参加について明示的には定めていない。 2013年度(平成25年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
行審法 第24条に明示されています。審査庁の許可が必要です。また審査庁が必要があると認めるときは、利害関係人に対し参加人として当該審査請求に参加することを求めることができます。(行審法と行訴法の比較は狙われやすいので要注意)
平成26年に改正された行政不服審査法では、第13条に、「利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。」2項で、「審理員は、必要があると認める場合には、利害関係人に対し、当該審査請求に参加することを求めることができる。」とあります。許可を出すのが審査庁から審査員に変わったことも合わせて覚えたいですね。
14
行政不服審査に関する原則の説明として、適切か否か答えよ。
一般概括主義-適用除外規定に該当する処分を除き、原則として全ての処分について異議申立て又は審査請求が可能なこと 2013年度(平成25年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
○
行政不服審査法4条 (処分についての不服申立てに関する一般概括主義)
行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第六条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。
あらゆる行政処分に対して不服申立てを認めるもので国民の広い権利利益の救済がこの法律の目的になっている。(行政不服審査法1条)
15
行政不服審査法に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
処分についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該処分の取消しのみならず、処分庁に代わって一定の処分を行うことができる。 2012年度(平成24年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
「処分庁の上級行政庁」=どちらもできる。
「それ以外の審査庁」=処分を取り消すことができるのみで処分庁に代わって処分(変更)をすることはできない!
処分についての審査請求に理由がある場合の裁決には、取消しの裁決と(行政不服審査法第40条3項)、変更の裁決がある(行政不服審査法第40条5項)。「変更の裁決」は、「処分庁に代わって一定の処分を行」っていることになるが、これは、指揮監督権が有ることを考慮して特に上級行政庁にのみ認められているものであって、審査庁一般に認められているわけではない。
H28.4改正 行政不服審査法
処分庁の上級行政庁または処分庁 = 取り消し、一定の処分ともに可
それ以外の審査庁 = 取り消しのみ可
改正後は「異議申し立て」がなくなり、上級行政庁がない場合は処分庁への「審査請求」ができます。
40点
1
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
不服申立ての対象である行政庁の処分には,行政不服審査法に基づく処分は,含まれない。 1992年度(平成4年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
次の場合には、処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
1号 法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。 (行政不服審査法 8条1項1号)
この法律に基づく処分は除かれる。なぜなら、不服申し立ての手続において行われる処分については、既に審査庁の判断が示されているので、これを再び争わせる必要性に乏しいからである。
かっこ書きを問題にしている問題です。初心者は間違いやすいので、かっこ書きだけ別に覚えるとよいと思います。
[自説の根拠]自説の根拠は、行政不服審査法4条1項かっこ書き
行服法8条、53条に「再審査請求」の規定があるし、行政事件訴訟法の「裁決の取消しの訴え」なども頭に浮かぶので、ついつい「×」にしてしまう。
valleyさんという方はあちこちにコメント残してますが、良コメントはほとんどないですね。
よく考えてからコメントしてください。
まず、審査請求をした人が、再審査請求までして救済されようとしている処分とはなんですか??「原処分」ですよね??
次に「裁決の取消の訴え」は行政不服審査法ではありません。不服申し立てに対する裁決・決定に対して、また不服申し立てできるとしたら永遠に終わらないでしょう。その点を踏まえれば悩む必要もないとても簡単な問題です。
憲法に「行政機関は終審として裁判を行うことができない」とあるように、不服申し立ての裁決・決定に対し裁判所へ提起することは妨げられない。最終的には裁判所への提訴が認められているので、不服申し立ての処分に対しては、不服申し立てできないのは何も問題ありません。
[自説の根拠]完全に自信あります。
上記の方。
そうですか?
私は、良コメントが多いと思ってましたが?
少なくとも、情報提供や悩みどろこを指摘されてますので、他の方も勉強になると思いますけどね。
私個人としては、何百人と”優秀”な方が、このサイトを黙々と利用されてるより、valleyさんの書き込みの方が、はるかに貴重な存在です。
「良コメントはほとんどないですね。」とは手厳しいです。
(本問題のような客観的な難問[…ユーザー正解率]を、「とても簡単」と主観的におっしゃるのですから!)
ちなみに、行政不服審査法8条は、こうです(第3項はとくに難しい!):
「次の場合には、処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
一 法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
二 審査請求をすることができる処分につき、その処分をする権限を有する行政庁(以下「原権限庁」という。)がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る審査請求につき、原権限庁が審査庁として裁決をしたとき。
2 再審査請求は、前項第一号の場合にあつては、当該法律又は条例に定める行政庁に、同項第二号の場合にあつては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁に対してするものとする。
3 再審査請求をすることができる処分につき、その原権限庁がその権限を他に委任した場合において、委任を受けた行政庁がその委任に基づいてした処分に係る再審査請求につき、原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る審査請求についての審査庁が再審査庁としてした裁決に不服がある者は、さらに再審査請求をすることができる。この場合においては、当該原権限庁が自ら当該処分をしたものとした場合におけるその処分に係る再審査請求についての再審査庁に対して、その請求をするものとする。」
valleyさん、いつも的確かつ判り易いコメントをありがとうございます。いつも勉強の参考にさせていただいております。
この設問についてのvalleyさんのコメントは、私にとっては「そういう所で悩む人もいるんだな」という印象を受けましたので、同じ悩みを持っている多くの利用者(ユーザー正答率から推測)の助けになるかと思います。
私としては、この設問は条文を丸暗記していれば解けるので、主観的にはそんなに難しいとは感じないのですが…。
関連条文を引用しておきます。
行政不服審査法第四条第一項本文
「行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第六条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。」
先のfairlyhideさんの指摘にあったとおり、上記条文のカッコ書きが頭に入っていれば、すぐに○と書ける設問枝ですね。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
本問は状況を整理すると条文知識がなくても解ける問題かと思います。
「行政不服審査法に基づく処分」を不服申立ての対象とした場合、裁決に基づく処分について新たな不服申立てができ、同様な審査、裁決、処分、不服申立てが繰り返される可能性があります。
よって含まれないのでは、と推測することが可能です。
もちろん、条文(行政不服審査法第4条第1項)を理解していれば一番ですが、わからないときは状況整理が重要です。
皆さんの意見はそれぞれの考え方、悩みで、どれも正しく、どれも勉強になります。
処分に不服があり不服申立てを認めてしまうともう一度不服申し立て そして又その処分に対して不服申立てとなりエンドレスになってしまうよ
行政不服審査法の条文を挙げておきます。
(処分についての不服申立てに関する一般概括主義)
第四条 行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第六条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。[以下略]
[自説の根拠]上記条文
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求とは,行政庁の処分又は不作為について,処分をした行政庁又は不作為に係る行政庁に対してする不服申立てをいう。
2
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは,審査庁は,審査請求に係る処分の変更を裁決で命ずることができるが,審査請求人の不利益に当該処分を変更することを命ずることはできない。 1992年度(平成4年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
前二項の場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更し、又は処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実行為を変更すべきことを命ずることはできない。 (行政不服審査法 40条5項)
行政不服審査法40条5項
審査請求人の不利益に当該処分を変更することを命ずることはできない(行政不服審査法40条5項)。
不服のある者が不利益に変更されることをおそれて審査請求をためらうことのないようにするため
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
処分についての審査請求が理由があり,かつ,審査庁が処分庁の上級行政庁である場合であっても,当該審査庁は,裁決で当該処分を変更することはできない。
3
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
異議申立ては,処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内にしなければならない。 1999年度(平成11年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
異議申立ては、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。 (行政不服審査法 45条)
上で、marukichiさんの書いている「ちなみに審査請求、再審査請求は~」というのは、おかしいです。
「ちなみに、再審査請求は~」でしょう。審査請求のほうは、さんざん繰り返しコメントされたとおり「60日」ですから。
また、「ちなみに」と言うからには、条文の番号もちゃんと書いてほしいところです。行政不服審査法53条、行政事件訴訟法14条ですね。
キーワードとして
「処分」があったことを知った日の翌日から起算して六十日以内
「裁決」または「決定」があったことを知った日の翌日から起算して三十日以内
というのが分かり易いのでは?
[自説の根拠]行政不服審査法十四条,四十五条,五十三条
【審査請求】
1 処分を知った日の翌日から起算し60日以内
2 天災等やむを得ない理由があるときは、やんだ日の翌日から起算して1週間以内
3 処分を知らない場合、処分があった日の翌日から起算して1年以内
4 先に異議申立てをしている場合は30日以内
(行政不服審査法第14条)
【異議申立て】
審査請求の1番、2番、3番と同じ
(第45条、第48条)
【再審査請求】
・処分を知った日の翌日から起算して30日以内(第53条)
・審査請求の2番、3番(第56条)
[自説の根拠]上記条文
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
異議申立ては,原則として,処分があったことを知った日の翌日から起算して30日以内にしなければならない。
4
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
行政不服審査法の目的は,簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図ることではなく,行政の適正な運営を確保することである。 1999年度(平成11年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2007年11月08日)
×
行政不服審査法第一条
この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、
「簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、」
行政の適正な運営を確保することを目的とする。
「図ることではなく」ではなく、
「図るとともに」です。
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
この法律の目的は,行政の適正な運営を確保することではなく,簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図ることである。
5
次の手続が、私人間紛争の裁定的性格を有する行政審判に該当するものか否か答えよ。
特許無効審判が請求された場合に行われる特許庁における審判・審決の手続 2009年度(平成21年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月14日)
○
特許無効審判は、特許を受けた者に対し、その無効を主張する私人が提起する。つまり、この審判は私人間で特許に関する紛争が生じている場合になされるものであり、「私人間紛争の裁定的性格」を有する。
なので、〇です。
この審判・審決の手続は行政審判に当たります。
問題は私人間紛争の裁定的性格を聞いてます。
特許無効審判が請求された場合ですので特許を受けたものとこれを無効とする者の私人間紛争の裁定に当たることは察しがつきます。
ゆえに答えは○です。
特許無効審判は、相手の特許を消滅させる目的で請求者と権利者との間で争われるものであることから、私人間紛争の裁定的性格を有する行政審判に該当する。
6
処分についての審査請求に対する裁決について、適切か否か答えよ。
裁決に対して不服がある場合でも、これに対して行政事件訴訟法による取消訴訟を提起することはできない。 2009年度(平成21年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月14日)
×
関連条文を挙げておきます。
行政事件訴訟法第3条第3項
「この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求、異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。」
同法第9条第1項
「処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者…に限り、提起することができる。」
上記条文から、取消訴訟には裁決の取り消しを求める訴訟が含まれることが判ります。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
取消訴訟とは、【処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴えのこと】であり、裁決に対して不服がある場合は裁決の取消しの訴えをすることができます。
関連問題
次の説明は、取消訴訟に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
取消訴訟を提起できるのは,その対象となっている処分又は裁決に違法がある場合に限る。
7
行政上の不服申立てについて、適切か否か答えよ。
憲法は、行政機関が裁判を行うことを禁止しているから、裁判手続に類似した行政上の不服申立てを整備することによって地方裁判所における審級を省略することは許されない。 2008年度(平成20年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月20日)
×
関連条文を挙げておきます。
日本国憲法第七十六条第二項
「特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。」
上記条文を反対解釈すると、行政機関が下級審として裁判を行うことは許されていることになります。
例えば、行政審判においては、当該審判に対する司法審査の第一審を東京高裁から始める規定が置いてある場合があります(独占禁止法85条1項など)。
[自説の根拠]参考:行政審判 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%8C%E6%94%BF%E5%AF%A9%E5%88%A4
行政機関が前審として裁判を行なうことは認められる(76条2項反対解釈)
ex)行政不服審査法に基づく行政機関の裁決制度
独占禁止法に基づく公正取引委員会の審決
国家公務員法に基づく人事院の裁定
憲法は、行政機関が“終審として”裁判を行うことを禁止しているに過ぎない。そのため、裁判手続きに類似した行政上の不服申し立てを整備することによって地方裁判所における審級を省略することも許される。
8
行政不服審査法における審査請求と異議申立てについて、適切か否か答えよ。
申請に対する不作為については、審査請求のみが認められ、異議申立てはできないのが原則である。 2007年度(平成19年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月20日)
×
不作為についての不服申立ては、異議申立て又は審査請求のいずれかをすることができます。ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長である場合、異議申立てのみとなります。
[自説の根拠]行政不服審査法 第七条
申請に対する不作為の不服申立てについては、自由選択主義を採っており、原則として異議申立て又は審査請求のいずれかを選択することができる(行政不服審査法第7条)。
したがって、「審査請求のみが認められ、異議申立てはできないのが原則」としている点が誤りである。
行政不服審査法 第三条
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう。以下同じ。)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる。
平成28年4月1日より、行政不服審査法が改正され、不作為の基本的な不服申し立ては審査請求に一元化されました。旧法の異議申立てはなくなりました。
[自説の根拠]改正行政不服審査法
9
行政不服審査法による不服申立てについて、適切か否か答えよ。
不服申立ては,行政庁の「処分」に対しては認められているが,行政庁の「不作為」に対しては認められていない。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
行政庁の「不作為」も行政不服申立ての対象となります。
[自説の根拠]【行政不服審査法2条2項】
ちなみに、行政不服審査法における不作為とは、一般的な行政の不作為(為すべき何らかの行為を為さない事)全般ではなく、『法令に基づく申請』に対しての不作為の事を言うそうです。
第二条 第2項 この法律において「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、これをしないことをいう。
10
次の記述について、行政不服審査法に照らして適切か否か答えよ。
不服申立てを審査する行政庁は,審査の必要に応じて,書類その他の物件の所持人にそれらの提出を命ずることができる。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
審査庁は、審査請求人等の申立てによりまたは職権で、書類その他の物件の所持人に対し、その物件の提出を求めることができる。
「命ずることができるわけではない。」
[自説の根拠]28条
審査庁は、職権で参考人の陳述及び鑑定を要求し(27条),関係物件の提出を求め(28条),検証を行い,さらに審査請求人又は参加人を審尋することができる。(30条)
平成26年改正
行政不服審査法
(物件の提出要求)
第三十三条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件の提出を求めることができる。この場合において、審理員は、その提出された物件を留め置くことができる。
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
11
行政不服審査法の定める教示について、適切か否か答えよ。
利害関係人から行政庁に対し,当該処分が不服申立てをすることができる処分であるかどうか教示を求められても,行政庁は必ずしも当該事項を教示しなくてもよい。 2001年度(平成13年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
利害関係人から教示の請求を求められた場合、行政庁は教示しなければならない。(57条2項)
〔補足〕 利害関係人からの教示の請求で、教示を求めた者が書面による教示を求めたときは、教示は書面でしなければならない。(57条3項)
ちなみに行政事件訴訟法の取り消し訴訟に関する教示の場合、教示義務は相手方だけであり、利害関係人に教示を求められても、教示をなすべき義務はありません。
[自説の根拠]行政事件訴訟法46条1項
行政庁は、利害関係人から、当該処分における不服申立てが可能か等、不服申立てに関して教示を求められたときは、当該事項を教示しなければならない(行政不服審査法第57条2項)。
12
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものは,その名で不服申立てをすることができる。 2000年度(平成12年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
「その名」の指すものは「社団又は財団」の名称でしょうか、それとも「代表者又は管理者」の氏名でしょうか。どなたか教えて下さい。
これは「社団又は財団」の名称ですね。。
つまり社団や財団としての実態はあるが、法人格がない場合、代表者や管理人の定めがあるものは、社団や財団名で、不服申立をすることができるという趣旨ですね
例えば、町会、商店街、クラブ等。
[自説の根拠]行政不服審査法 第10条
法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものは,「法人でない社団または財団」の名で不服申立てをすることができる。
[自説の根拠]10条
13
行政不服審査法(以下「行審法」という。)と行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の比較に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
行訴法は、訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加に関する規定を置いているが、行審法は、利害関係人の不服申立てへの参加について明示的には定めていない。 2013年度(平成25年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
行審法 第24条に明示されています。審査庁の許可が必要です。また審査庁が必要があると認めるときは、利害関係人に対し参加人として当該審査請求に参加することを求めることができます。(行審法と行訴法の比較は狙われやすいので要注意)
平成26年に改正された行政不服審査法では、第13条に、「利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。」2項で、「審理員は、必要があると認める場合には、利害関係人に対し、当該審査請求に参加することを求めることができる。」とあります。許可を出すのが審査庁から審査員に変わったことも合わせて覚えたいですね。
14
行政不服審査に関する原則の説明として、適切か否か答えよ。
一般概括主義-適用除外規定に該当する処分を除き、原則として全ての処分について異議申立て又は審査請求が可能なこと 2013年度(平成25年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
○
行政不服審査法4条 (処分についての不服申立てに関する一般概括主義)
行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第六条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。
あらゆる行政処分に対して不服申立てを認めるもので国民の広い権利利益の救済がこの法律の目的になっている。(行政不服審査法1条)
15
行政不服審査法に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
処分についての審査請求に理由があるときは、審査庁は、当該処分の取消しのみならず、処分庁に代わって一定の処分を行うことができる。 2012年度(平成24年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
「処分庁の上級行政庁」=どちらもできる。
「それ以外の審査庁」=処分を取り消すことができるのみで処分庁に代わって処分(変更)をすることはできない!
処分についての審査請求に理由がある場合の裁決には、取消しの裁決と(行政不服審査法第40条3項)、変更の裁決がある(行政不服審査法第40条5項)。「変更の裁決」は、「処分庁に代わって一定の処分を行」っていることになるが、これは、指揮監督権が有ることを考慮して特に上級行政庁にのみ認められているものであって、審査庁一般に認められているわけではない。
H28.4改正 行政不服審査法
処分庁の上級行政庁または処分庁 = 取り消し、一定の処分ともに可
それ以外の審査庁 = 取り消しのみ可
改正後は「異議申し立て」がなくなり、上級行政庁がない場合は処分庁への「審査請求」ができます。
33点
1
次の文章の空欄[C]に入る適切な文言の組合せとして,妥当なものはどれか。
「不作為に対する不服申立ては,行政庁が法令に基づく申請に対し,相当の期間内に何らの判断も示さない場合に行政庁がすみやかに判断を下すよう督促し,事務処理の促進を求めるものであるから,[A]のほうが[B]より実効性がないということは,必ずしもいえない。むしろ不作為の不服申立ては,[C]自体に直接行ったほうが,迅速,適切な措置を期待できる場合もあるので,本法は,不作為に対する不服申立てに関しては[D]をとった。」
(出典 田中館照橘ほか「判例コンメンタール行政不服審査法」より) 2005年度(平成17年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
処分庁
(正解) 処分庁
(A)異議申立て
(B)審査請求
(C)処分庁
(D)自由選択主義
2
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査庁は,審査請求に理由があるときは,裁決で当該処分の全部を取り消さなければならず,当該処分の一部のみを取り消すことはできない。 1994年度(平成6年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
処分(事実行為を除く。)についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、裁決で、当該処分の全部又は一部を取り消す。 (行政不服審査法 40条3項)
行政不服審査法第40条によると、
第3項:処分(事実行為を除く。)についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、裁決で、当該処分の全部又は一部を取り消す。
第4項:事実行為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、処分庁に対し当該事実行為の全部又は一部を撤廃すべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。
となっています。
[自説の根拠]行政不服審査法 第40条
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査庁は,執行停止をした後においては,本案の裁決による場合を除くほか,これを取り消すことができない。
3
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
異議申立ては,処分があったことを知った日の翌日から起算して30日以内にしなければならない。 1996年度(平成8年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
異議申立ては、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して六十日以内にしなければならない。 (行政不服審査法 45条)
平成28年の改正により、「処分があったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内にしなければならない」となりました。
[自説の根拠]行政不服審査法第18条第1項
(審査請求期間)
行政不服審査法 第十八条
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない
平成26年改正
行政不服審査法
(審査請求期間)
第18条
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
異議申立ては,原則として,処分があったことを知った日の翌日から起算して30日以内にしなければならない。
4
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
法人でない社団又は財団は,不服申立てをすることができない。 1996年度(平成8年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で不服申立てをすることができる。 (行政不服審査法 10条)
法人でない社団または財団で代表者または管理人の定めがあるものは、その名で不服申立てをすることができる。
[自説の根拠]行政不服審査法10条
上記の第10条について、私は法人でない社団は『代表者または管理人の名で不服申立てできる』と解釈していたのですが、これは間違いで、『法人格のない団体もその団体名で不服申立てできる』という意味だそうです。
法人でない社団、財団で代表者或いは管理人の定めが内場合も不服申し立てが出来るのでしょうか?
問題文は、代表者或いは管理人の定めがあるのか不明です。
本問は、「法人でない社団又は財団は、不服申立てをすることができない」と言い切っておりますが、代表者または管理者の定めがある場合は不服申立てができる(行政不服審査法第10条)ので、回答としては×となります。
また第10条の読み方としては、「法人でない社団または財団(で代表者または管理人の定めがあるもの)は、その名で不服申立てをすることができる。」という感じで、”その名で”は”法人でない社団または財団”にかかっております。
[自説の根拠]行政不服審査法第10条
平成26年改正
行政不服審査法
(法人でない社団又は財団の審査請求)
第十条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる。
条文の変更部分
不服申し立て⇒審査請求
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
5
行政不服審査法(以下、「法」という。)に規定する不服申立ての対象について、適切か否か答えよ。
法における「不作為」には、申請が法令に定められた形式上の要件に適合しないとの理由で、実質的審査を経ずに拒否処分がなされた場合も含まれる。 2008年度(平成20年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月20日)
×
関連する条文を挙げておきます。
—
行政不服審査法第二条第二項
この法律において「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分その他公権力の行使に当たる行為をすべきにかかわらず、これをしないことをいう。
—
設問肢では、少なくとも行政庁は拒否「処分」を行っているので、少なくとも上記の不作為の定義には当てはまらないことになります。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
6
行政不服審査法(以下、「法」という。)に規定する不服申立ての対象について、適切か否か答えよ。
不服申立てをすることができない処分については、法が列挙しているほか、他の法律において特定の処分につき不服申立てをすることができない旨を規定することができる。 2008年度(平成20年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
行政庁が前条の規定による教示をしなかつたときは、当該処分について不服がある者は、当該処分庁に不服申立書を提出することができる。 (行政不服審査法 58条)
行政不服審査法により不服申立てすることができないとされている処分(4条1項ただし書)および他の法律に審査請求または異議申立てをすることができないとされる処分については不服申立ての対象とならないが、原則としてすべての処分・不作為に対する不服申立ては認められる(概括主義)。
[自説の根拠]自説の根拠は、行政不服審査法
(処分についての不服申立てに関する一般概括主義)
第四条 行政庁の処分(この法律に基づく処分を除く。)に不服がある者は、次条及び第六条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。ただし、次の各号に掲げる処分及び他の法律に審査請求又は異議申立てをすることができない旨の定めがある処分については、この限りでない。
行政不服審査法では
異議申立て:概括主義(対象となる処分が多いので非合理的)
審査請求 :概括主義(対象となる処分が多いので非合理的)
再審査請求:列記主義(対象となる処分が限られているので合理的)
※概括主義とは、法律に例外の定めがある場合を除き、原則としてすべての事項を対象とする考え方。
※列記主義とは、法律に特に列記した事項のみを対象とする考え方。
[自説の根拠]うかる!行政書士総合テキスト
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
不服申立てがなされた場合は,行政庁の処分の効力,処分の執行又は手続続行は停止される。
7
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
審査庁は,申立てまたは職権に基づいて,必要な場所につき,検証をすることができる。 2004年度(平成16年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
行政不服審査法第29条1項
審査庁は、審査請求人もしくは、参加人の申し立てにより、または職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。
検証とは、審査庁が直接自己の五感作用によって事物の性状、現象を検査し、その結果を証拠資料とするもの。
[自説の根拠]自説の根拠 行政不服審査法29条1項
平成26年改正
行政不服審査法
(検証)
第三十五条 審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
8
行政不服審査法における不作為についての不服申立てについて、適切か否か答えよ。
不作為に対する異議申立てについて,不作為庁は,異議申立てが不適法である場合を除き,異議申立ての日の翌日から起算して20日以内に,申請に対する何らかの行為をするか,または書面で不作為の理由を示さなければならない。 2004年度(平成16年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
異議申立ての場合は、申請受理庁本人なので、上記のとおりの対応。
審査請求の場合。
(審査庁の裁決)
第五十一条 不作為についての審査請求が不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
2 不作為についての審査請求が理由がないときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する。
3 不作為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、当該不作為庁に対しすみやかに申請に対するなんらかの行為をすべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。
本問は行政不服審査法第50条第1項と第2項をそのまま合体させた(第2項の「前項の場合を除くほか」の部分に第1項をはめ込めば)本問の文章になります。
ちなみに、第1項の場合とは、請求そのものが不適法(請求可能な期間を過ぎているなど)で、審査以前の問題で請求を拒否(却下)するということになります。
よって20日以内に何らかの行為を行う等の必要も生じません。
行政不服審査法 第50条1項 不作為についての異議申立てが不適法であるときは、不作為庁は、決定で、当該異議申立てを却下する。
2項 前項の場合を除くほか、不作為庁は、不作為についての異議申立てがあつた日の翌日から起算して二十日以内に、申請に対するなんらかの行為をするか、又は書面で不作為の理由を示さなければならない。
[自説の根拠]行政不服審査法 第50条1項、2項
9
行政不服審査法の不服申立ての対象とならないものとして、適切か否か答えよ。
外国人の出入国に関する処分 2005年度(平成17年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
参考:
外国人の出入国に関する処分は「出入国管理及び難民認定法」に基づいて行われます。
行政不服審査法は、原則として、
不服申立ての対象となる処分や不作為を限定しない「一般概括主義」をとっています。
しかし、
例外として、第1号から第11号まで審査請求または異議申し立てができない旨の処分があります。
(行政不服審査法第4条第1号~11号)
平成26年改正
行政不服審査法
(適用除外)
第7条 10号 外国人の出入国又は帰化に関する処分
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
10
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
行政不服審査法は,「行政庁の違法な処分その他公権力の行使に当たる行為」に限り不服申立てのみちを開いている。 2002年度(平成14年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
第一条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
不当な処分が抜けてます。
設問は行政事件訴訟法のことを述べていますよね。
行政不服審査法では、「違法又は不当」に、
行政事件訴訟法では「違法」な処分に対応します。
11
行政不服審査法における手続の終了について、適切か否か答えよ。
事実行為に関する審査請求を認容する場合、審査庁は違法又は不当な当該事実行為を自ら撤廃することができる。 2010年度(平成22年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2011年05月17日)
×
第四十条
4 事実行為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、『処分庁に対し当該事実行為の全部又は一部を撤廃すべきことを命ずる』とともに、裁決で、その旨を宣言する。
ですから、審査庁は違法又は不当な当該事実行為を『自ら』撤廃することができる訳ではありません。
審査庁自身が事実行為を撤廃することはできない。処分庁に対して事実行為の撤廃を命ずる。
[自説の根拠]行審法40条4項
行審法第40条
4 事実行為についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、処分庁に対し当該事実行為の全部又は一部を撤廃すべきことを命ずるとともに、裁決で、その旨を宣言する。
5 前二項の場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更し、又は処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実行為を変更すべきことを命ずることはできない。
上記の条文の通り、事実行為の撤廃権は、処分庁自身にしかありません。
ただし、審査庁には、撤廃命令権があり、さらに、上級庁の審査庁には、変更命令権があります。
事実行為の定義について
行政機関の活動であって法律上の効果を有しないものを事実行為という。行政不服審査法上の用語としては、公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置そのほかの内容が継続的性質を有するものを事実行為というとしている(行審法2①)
[自説の根拠]条文、法律用語辞典(有斐閣)を参照しました
審査庁が処分庁の上級行政庁の場合、事実行為の変更命令権をすることもできる。
しかし、審査請求人に不利益に変更することはできない。(40条5項但し書き)
ちなみに、事実行為で無ければ審査庁は取り消すことができます。
行政不服審査法
第40条第3項 処分(事実行為を除く。)についての審査請求が理由があるときは、審査庁は、裁決で、当該処分の全部又は一部を取り消す。
[自説の根拠]上記条文
平成26年改正
行政不服審査法 第47条より
事実上の行為についての審査請求が理由がある場合(事情裁決以外)
処分庁が審査庁の場合
⇒違法又は不当の宣言、事実上の行為の全部若しくは一部の撤廃・変更
上級行政庁が審査庁の場合
⇒違法又は不当の宣言、全部(一部)の撤廃・変更をすべき旨を命ずる
処分庁・上級行政庁以外の行政庁が審査庁の場合
⇒違法又は不当の宣言
補足
46条処分についての審査請求に理由がある場合と47条事実上の行為についての審査請求に理由がある場合の違いに注意
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
12
行政不服審査法に基づく不服申立てに関する次の記述について、法令または判例に照らし、適切か否か答えよ。
憲法による適正手続の保障の趣旨は、不服申立ての審理手続にも及ぶので、その手続においても、口頭弁論主義が原則とされている。 2012年度(平成24年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
×口頭弁論主義が原則とされている
○書面審理主義が原則とされている
口頭審理主義は申立てがあった時にとられる例外です。
書面審理は不服申立て、口頭審理は行政訴訟と覚えましょう。
行政不服申立ては、書面審理主義が原則。 口頭弁論主義は、審査請求人又は参加人の申立てがあつたときに補足的に用いられているに過ぎない。
13
行政不服審査法に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
事情裁決は、行政事件訴訟法の定める事情判決と同様、処分が違法であるときに一定の要件の下で行われるものであって、処分が違法ではなく、不当であるにとどまる場合において行われることはない。 2012年度(平成24年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
処分が違法または不当であるが、これを取り消し又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分を取り消し又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決で、当該処分が違法または不当であることを宣言しなければならない。
[自説の根拠]行政不服審査法 40条Ⅵ
事情採決は、処分が不当であるにとどまる場合においても行われます。
平成26年改正
行政不服審査法
第45条3項 査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない。
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
14
行政不服審査法に関する次の記述について,法令または最高裁判所の判例に照らし,適切か否か答えよ。
行政不服審査制度は「行政の適正な運営を確保する」ことを目的としているので,不服申立ての結果によって行政運営上の影響を受ける可能性のある関係行政機関には,当該手続への参加を申し立てることが認められている。 2011年度(平成23年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
行政不服審査法では、利害関係がある者については、参加人として審査請求に参加することを認めているが、関係行政機関の参加は認めていない。
15
次の文章は,行政不服審査法第46条の要約である。[A](漢字4字)に当てはまる適切な語を記入しなさい。
異議申立てをすることができる処分につき,処分庁が誤って[A]をすることができる旨を[B]した場合において,その[B]された行政庁に書面で[A]がなされたときは,はじめから処分庁に異議申立てがされたものとみなす。 2004年度(平成16年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
審査請求
(不正解) (無回答)
A 審査請求
B 教示
[自説の根拠]行政不服審査法 第46条
平成26年改正
行政不服審査法
(誤った教示をした場合の救済)
第22条1項 審査請求をすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすべき行政庁でない行政庁を審査請求をすべき行政庁として教示した場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がされたときは、当該行政庁は、速やかに、審査請求書を処分庁又は審査庁となるべき行政庁に送付し、かつ、その旨を審査請求人に通知しなければならない。
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
47点
1
次の説明は、行政不服審査法による審査請求の審査手続に関する記述である。
審査請求の審理は,書面によってなされるが,とくに審査庁が必要と認めた場合に限り,審査請求人は,口頭で意見を述べることができる。 2006年度(平成18年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
審査請求の審理は、書面による。ただし、審査請求人又は参加人の申立てがあつたときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。 (行政不服審査法 25条)
審査請求の審理は、当事者の意見陳述や証拠調べ等は、原則として書面で行われます(書面審理主義)。
書面審理主義によって、簡易・迅速な審理が可能となりますが、印象が間接的であり、真実が正確に書面に記載されているとは限らないといった短所もあります。
そこで、書面審理主義の原則を修正し、口頭審理主義の要素も導入しています。
すなわち、審査請求人または参加人からの申立てがあったときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければなりません。
[自説の根拠](行政不服審査法25条1項・48条・52条2項・56条)
『出る順 行政書士合格基本書』より抜粋。
職権 もしくは 申し立て で
ということでしょうか?
改正行政不服審査法では、下記の通り「口頭意見陳述」の条項が設けられています(2項~5項もあります。要チェック)。
(口頭意見陳述)
第三十一条 審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
[自説の根拠]行政不服審査法31条
関連問題
次の説明は、行政不服審査法における審査請求に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求の審理は,書面による。ただし,審査庁は,必要があると認めるときは,審査請求人又は参加人の申立てにより,申立人に口頭で意見を述べる機会を与えることができる。
2
次の説明は、行政不服審査法による審査請求の審査手続に関する記述である。
審査請求が不適法であっても,これを補正できるときは,審査庁は,直ちにこれを却下することはできず,相当の期間を定めて,その補正を命じなければならない。 2006年度(平成18年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
審査請求が不適法であつて補正することができるものであるときは、審査庁は、相当の期間を定めて、その補正を命じなければならない。 (行政不服審査法 21条)
行政不服審査法21条
審査請求が不適法であつて補正することが出来るものであるときは、審査庁は、相当の期間を定めて、その補正を命じなければならない。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
申請と勘違いして間違えました。
不適法な審査請求について、審査庁に補正を求める義務が課せられているのは申請等とは違い審査請求には期限が定められているため、と教わりました。
行政不服審査法21条
要件を欠く不服申立てに対しては、相当の期間を定めて補正が命じなければならない。
行政手続法7条
申請が形式上の要件を欠いている場合、行政庁には補正を求めるか、申請が不適法として拒否処分をするかの選択が認められている。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
行政手続法 義務ではない
行政不服審査法 義務である
行政事件訴訟法 義務である
平成26年改正
行政不服審査法
(審査請求書の補正)
第二十三条 審査請求書が第十九条(審査請求書の記載事項)の規定に違反する場合には、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない。
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求が不適法であって補正することができるものであるときは,審査庁は,相当の期間を定めて,その補正を命じなければならない。
3
次の説明は、行政不服審査法による審査請求における執行停止に関する記述である。
従来,執行停止の要件としては,「重大な損害」が必要とされていたが,平成16年の法改正により,「回復困難な損害」で足りることとされた。 2006年度(平成18年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年04月16日)
×
従来の執行停止の要件が「回復困難な損害」で、法改正により「重大な損害」に変更されました。
(執行停止)
三十四条
4.前二項の規定による審査請求人の申立てがあつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、処分の執行若しくは手続の続行ができなくなるおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
2004年(平成16年)に、行政事件訴訟法上の執行停止の要件が従来の「回復の困難な損害」から「重大な損害」に変更された(行政事件訴訟法第25条2項)ことに伴い、行政不服審査法も同様に改製された。
損害要件の大きさは、
「重大な損害」<「回復困難な損害」<「償うことのできない損害」
です。
[自説の根拠]伊藤塾のサイト
http://blogs.itojuku.com/gyoseishoshi_studyfolder/cat8202656/
参考までに、行政事件訴訟における「執行停止」
第25条
2.処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によって目的を達することができる場合には、することができない。
[自説の根拠]行政事件訴訟法
4
次の説明は、行政不服審査手続と取消訴訟手続の対比に関する記述である。
取消訴訟においては行政処分のみを争うことができるが,行政不服申立てにおいては,行政指導や事実行為も争うことができる。 2006年度(平成18年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年04月16日)
×
誤り① 取消訴訟の対象とする「行政庁の処分その他公権力的行為」には、講学上の行政処分の他、公権力による「事実行為」も含まれる。
誤り② 「行政指導」は法的拘束力のない非権力的事実行為で、「指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しない(行手法2条6号)」ので、不服申立ての対象である「処分その他公権力的行為と不作為」に該当しない。
関係条文を挙げておきます。
行政手続法 第2条6号[行政指導]
行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。
行政不服審査法第二条[定義]
1.この法律にいう「処分」には、各本条に特別の定めがある場合を除くほか、公権力の行使に当たる事実上の行為で、人の収容、物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの(以下事実行為という。)が含まれるものとする。
[自説の根拠]行政手続法、行政不服審査法
処分の取消訴訟における「処分」には、行政庁の処分の他に「その他公権力の行使に当たる行為」が含まれる。
また、行政指導はあくまでも任意の協力によってなされるもので、法的拘束力はないことから法律上認められる処分に該当せず、原則として行政不服審査法における不服申立ての対象にならない。
[自説の根拠]行政書士合格道場
関連問題
次の説明は、取消訴訟に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
取消訴訟の対象となる行政庁の処分には,公権力の行使に当たる事実行為も含まれる。
5
次の事例について、法令の規定及び最高裁判所の判例に照らして適切か否か答えよ。
Aは行政庁Bに対し,情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)に基づいて行政文書の情報公開請求を行った。BがAの請求に対し一部不開示決定を行ったので,Aは異議申立てまたは情報公開訴訟を提起しようと考えている。
Bは,非公開決定理由書において付記された理由以外の理由を,取消訴訟段階で主張することも認められる。 2006年度(平成18年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年04月16日)
○
判例をよく読んでみましたが、これは司法裁量の問題なのですね。
まず、原審(地方栽)では行政庁の「~理由以外の理由の主張」を<失当>だと判断しており、最高裁の判断(妥当である)と異なっています。(失当ということは、違法ではないとも読み取れます。)
次に、最高裁の判断理由として、その情報公開条例が 「非公開とすることができる情報は必要最小限にとどめられること、市民にとって分かりやすく利用しやすい情報公開制度となるよう努めること、情報の公開が拒否されたときは公正かつ迅速な救済が保障されること…」を基本原則にしていることから、この趣旨を超えていない措置は認められるとしています。
つまり、行政庁は情報を隠ぺいしようとする意志もなく、市民に分かりやすい非公開理由を付記したまでであって、訴訟の時に、更に詳しい別の理由を主張するのは当然だと最高裁は判断した。(非公開の理由は複数あって、その中で最もわかりやすい理由を初めに提示していたと考えられる)
このように、法律に明記されていない運用方法の妥当性を判断するのは、いわば最高裁の裁量であり、法律の解釈を超えるものです。なぜ主張できるのかと問われれば、説明は難しいと言わざるを得ません。
理由の追加・差換えの可否については争いがあるが、判例はこれを肯定している。「情報公開条例において、非公開決定の通知に併せてその理由を通知すべきものとしている目的は、非公開の理由を具体的に記載して通知させることをもって実現されるので、一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を取消訴訟において主張することを許さないとする趣旨を含むものではない。」
[自説の根拠]自説の根拠は 最判平11.11.19
「一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。」(最判平成11年11月19日)。逆接が多く分かりづらい言い回しだが、取消訴訟で非公開決定の付記理由以外を主張することができるということである。
[自説の根拠]http://gyoseisyoshi-shiken.rdy.jp/modules/practice/index.php?content_id=930 行政書士試験!合格道場
6
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査庁は,職権で,書類その他の物件の所持人に対し,その物件の提出を求めることができる。 1991年度(平成3年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
処分庁は、当該処分の理由となつた事実を証する書類その他の物件を審査庁に提出することができる。 (行政不服審査法 33条)
「職権(審理)主義」のことですね。
行政不服申立ては、行政の自己統制の一環であり、司法審査に比べ手続きの簡易迅速性が強く要求されるので、不服申立ての審理では、職権主義が採用されています。
①適当と認める者に、参考人として知っている事実を陳述させ、または鑑定を求めることができます。
②書類その他の物件の所持人に対し、提出を求め、それを留め置くこともできます。
③必要な場所につき検証をすることができます。
④不服申立人または参加人を審尋することができます。
[自説の根拠]『出る順 行政書士 合格基本書』より抜粋。
因みに、根拠条文は以下の通りです。
①=27条・48条・52条2項・56条
②=28条・48条・52条2項・56条
③=29条1項・48条・52条2項・56条
④=30条・48条・52条2項・56条
審査庁は職権で「求めることがでる」が、命ずることまではできません。
7
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
行政庁の処分のうち,研修所において研修の目的を達成するために,研修生に対して行われる処分については,原則として.審査請求又は異議申立てをすることはできない。 1993年度(平成5年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
行政庁の処分についての異議申立ては、次の場合にすることができる。ただし、第一号又は第二号の場合において、当該処分について審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない。 (行政不服審査法 6条)
【条文】学校、講習所、訓練所又は研修所において、教育、講習、訓練又は研修の目的を達成するために、学生、生徒、児童若しくは幼児若しくはこれらの保護者、講習生、訓練生又は研修生に対して行われる処分
[自説の根拠]行政不服審査法4条1項8
問題文にある異議申し立ては法改正によりなくなり審査請求へ1統一されました。現行の法律ではこの問題は誤りになりますので異議申し立ての部分は削除して問題文を読むべきです。
問題文にある異議申し立ては法改正により審査請求へ統一されました。異議申し立て制度は廃止になったので問題文の異議申し立ては削除して読まないとこの問題は誤りになります。
8
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
共同不服申立人のうち2人以上の総代が選任されている場合は,行政庁の通知その他の行為は,選任された総代全員に対してしなければならない。 1993年度(平成5年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
共同不服申立人に対する行政庁の通知その他の行為は、二人以上の総代が選任されている場合においても、一人の総代に対してすれば足りる。 (行政不服審査法 11条5項)
総代が選任されている場合は、行政庁は一人の総代に対して、通知その他の行為をすれば足りる。
行政不服審査法第11条第5項
(総代)
第11条 多数人が共同して不服申立てをしようとするときは、3人をこえない総代を互選することができる。
2 共同不服申立人が総代を互選しない場合において、必要があると認めるときは、審査庁(異議申立てにあつては処分庁又は不作為庁、再審査請求にあつては再審査庁)は、総代の互選を命ずることができる。
3 総代は、各自、他の共同不服申立人のために、不服申立ての取下げを除き、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができる。
4 総代が選任されたときは、共同不服申立人は、総代を通じてのみ、前項の行為をすることができる。
5 共同不服申立人に対する行政庁の通知その他の行為は、2人以上の総代が選任されている場合においても、1人の総代に対してすれば足りる。
6 共同不服申立人は、必要があると認めるときは、総代を解任することができる。
[自説の根拠]行政不服審査法第11条
9
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
処分についての審査請求は原則として処分をした行政庁に上級行政庁があるときに,異議申立ては原則として上級行政庁がないときにすることができる。 1997年度(平成9年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
行政庁の処分についての異議申立ては、次の場合にすることができる。ただし、第一号又は第二号の場合において、当該処分について審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない。 (行政不服審査法 6条)
【審査請求】
処分庁又は不作為庁以外の行政庁に対する不服申立で、異議に対する不服申立であっても、原処分に対する不服申立として扱い、審査庁の判断を「裁決」と言います。
処分庁に上級行政庁がある場合は、原則として直近の上級庁に対して審査請求を行うこととなっており、これを審査請求中心主義と言います。これは、上級庁の審査の方が公正な審査が期待できるからです。
【異議申立】
行政行為(処分)をした行政庁(処分庁)又は不作為に係る行政庁(不作為庁)に対する不服申立で、これに対する行政庁の判断を「決定」と言います。この申立ができるのは、a.処分庁に上級行政庁がないとき、b.処分庁が主任の大臣、宮内庁長官、外局の長、外局に置かれる庁の長であるとき、c.法律により異議申立することができる旨定められているときです。ただし、a、bの場合であっても、法律・条例により第三者的な行政機関への審査請求が認められる場合には、原則として異議申立はできません。
(注)不作為に対する不服申立
この場合は、異議申立と審査請求のいずれかを自由に選択することができます(自由選択主義)。もっとも上級行政庁がない場合には、異議申立しかできません。
不服申立期間
1. 処分に対する異議申立・審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内にしなければなりません。
2. 異議申立後の審査請求・審査請求後の再審査請求は、決定・裁決があったことを知った日の翌日から起算して30日以内にしなければなりません。
3. 処分(異議申立に対する決定があった場合は決定、審査請求に対する裁決があった場合は裁決)があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、不服申立ができなくなります。
異議申立制度がなくなり
新たに「再調査」の制度が出来ました。
行政不服審査法の改正により、異議申立ては廃止になり審査請求へ1本かされました。 法律に定めがある場合等に再調査の請求が新たに追加されました。
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
処分についての審査請求が理由があり,かつ,審査庁が処分庁の上級行政庁である場合であっても,当該審査庁は,裁決で当該処分を変更することはできない。
10
行政不服審査法(以下、「法」という。)に規定する不服申立ての対象について、適切か否か答えよ。
法は、地方公共団体の機関が条例に基づいてする処分を適用除外としているため、そのような処分については別途条例で不服申立制度を設けなければならない。 2008年度(平成20年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月20日)
×
行政不服審査法は、地方公共団体の機関が条例に基づいてする処分を適用除外としていない。
例えば、神戸市の情報公開条例のように、明確に「行政不服審査法による不服申立てがあったときは…」と、条例で行政不服審査法を用いているものもあります。
神戸市情報公開条例第19条第1項
公開決定等について行政不服審査法による不服申立てがあったときは、市長等は、当該不服申立てが明らかに不適法であるとき又は当該不服申立てに係る請求を認容するときを除き、遅滞なく第22条第1項に規定する神戸市情報公開審査会に諮問し、その答申を尊重して当該不服申立てに対する裁決又は決定をしなければならない。
条例に基づいて行う処分には条例の根拠が必要なのではないのでしょうか?この問題は、地方公共団体が条例で行政手続きを定めることができる(非義務的)ということとは関係がないような気がするのですが。
11
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
行政不服審査法は、行政の適正な運営の確保も目的としているので、裁決で処分を変更する場合、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更することを命じることもできる。 2007年度(平成19年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月20日)
×
【裁決】行政不服審査法 第40条
5項
前2項の場合において、審査庁が処分庁の上級行政庁であるときは、審査庁は、裁決で当該処分を変更し、または処分庁に対し当該事実行為を変更すべきことを命ずるとともに裁決でその旨を宣言することもできる。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、または当該事実行為を変更すべきことを命ずることはできない。
よって×が正解です
[自説の根拠]行政不服審査法 第40条
上級庁である審査庁の場合、
処分は、変更できる。
事実行為は、変更命令できる。
上記追加です。
ただし、不利益に、処分を変更し、または、事実行為を変更命令することはできない。
12
行政不服審査法による不服申立てについて、適切か否か答えよ。
処分につき不服申立てをすることができる場合においても,処分の取消しの訴えを直ちに提起してかまわない。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
第八条
1.処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。
∴〇
↑行政事件訴訟法第8条です。
この類の問題では、法定要件をどこまで正誤判断したらいいのか迷います。本問だと「法律に、審査請求の裁決後でなければ取消訴訟を提起できない旨の定めがある場合を除いて」の要件が抜けていることを是とすべきか否か・・・単に端折ってるだけか、欠格事由を問うているのか、同条項内だけに難しい。
hachikunさんの意見に同意です。見事にはまりました…。
しかし、どちらか迷うって事は、欠格事由の存在が頭にある証拠でもあるので、間違えてもポジティブに受け取れますね。
脳内で不服申立てすることにします。
行政事件訴訟法第8条ただし書を問うていると考えたのですが、少し疑問となったので確認のためコメントします。
>処分の取消しの訴えを直ちに提起してかまわない。
問題文から「提起してかまわない」か「提起できる」の違いとして、素直に判断しても良いのでしょうか。
判断条文は以下のもの。「処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。」とあり、本文前半部分のみで判断すれば「○」であり、後半も踏まえて判断するならば「☓」となる。この場合は、5枝択一であるから他の出題文の正否を勘案して消去法でこの出題が「○」となったものと思われます。
[自説の根拠]行政事件訴訟法題8条1項
13
行政不服審査法が明文で要求する審査請求書の記載事項として、適切か否か答えよ。
審査請求に係る処分 2002年度(平成14年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
審査請求書の記載事項
①審査請求人の氏名及び年齢又は名称並びに住所
②審査請求に係る処分
③審査請求に係る処分があったことを知った年月日
④審査請求の趣旨及び理由
⑤処分庁の教示の有無及びその内容
⑥審査請求の年月日
[自説の根拠]行審法15条
昨年改正されて現在では審査請求書の提出が第19条になっています。
14
行政不服審査法に基づく不服申立てについて、適切か否か答えよ。
不服申立ては、他の法律や条例において書面でしなければならない旨の定めがある場合を除き、口頭ですることができる。 2010年度(平成22年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2011年05月17日)
×
(不服申立ての方式)
第九条 この法律に基づく不服申立ては、他の法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出してしなければならない。
[自説の根拠]行政不服審査法第9条
utiyama7さんの完璧な解説の後にコメントするのもなんですが・・・
問題では原則(書面)と例外(口頭)が逆になっています。
このパターン、実際の試験では一般教養の部類でよく出ます。
お互い、気を付けましょう。
15
行政不服審査法に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、棄却裁決を行う。 2012年度(平成24年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
<行政不服審査法第40条>
審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
期間経過後にされたものを補正することは出来ないので、本案審理に入らず却下するということです。
棄却ではなく、却下です。
なお、この「却下」は、「裁決」としてなされることにも注意してください。
47点
1
次の説明は、行政不服審査法による審査請求における執行停止に関する記述である。
審査庁は,「本案について理由がないとみえるとき」には,執行停止をしないことができる。 2006年度(平成18年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年04月16日)
○
審査請求があっても、行政行為の公定力から執行不停止が原則なのですが(行政不服審査法34条1項)、「審査請求人の申立てがあつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。」(同条4項本文)。
この設問枝は、例外的に執行停止をしなければならない場合の更に例外を訊いているものなので、しっかり条文理解をしないと、正解に辿り着けないですね。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
執行停止をするための要件
1)取消訴訟が係属していること
2)停止することによって現実に権利保全が図られること
3)重大な損害を避けるために緊急の必要があること
4)公共の福祉に重大な影響を及ぼす恐れがないこと
5)「本案について理由が無い」のが明らかでないこと
審査請求人の「執行停止」の申立てに対する「審査庁」の対応
1.「執行停止」しなければならない。
①処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認めるとき
2.「執行停止」しないことができる。
②公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
③処分の執行若しくは手続の続行ができなくなるおそれがあるとき
④本案について理由がないとみえるとき
2
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
不服申立ては,代理人によってすることができるが,代理人の資格は,必ずしも書面で証明する必要はない。 1992年度(平成4年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
不服申立ては、代理人によつてすることができる。 (行政不服審査法 12条)
行政不服審査法第13条第1項
代表者若しくは管理人、総代又は代理人の資格は、書面で証明しなければならない。前条第2項ただし書に規定する特別の委任についても、同様とする。
[自説の根拠]行政不服審査法第13条第1項
また取り下げる場合も、当該代理人を選任した当事者は、その旨を書面で行政庁へ届けなければならない。
3
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求人が死亡したときは,相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は,審査庁の許可を得て,審査請求人の地位を承継することができる。 1996年度(平成8年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。 (行政不服審査法 37条)
処分に係る権利を承継した者には、「審査庁の許可」は不要。
審査庁の許可が必要とされるのは、処分に係る権利を「譲渡」された者。
[自説の根拠]行政不服審査法 第37条 、同6項
37条
審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求の目的である処分に係る権利を承継した者は、審査請求人の地位を承継する。
2 (…)
3 前2項の場合には、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者又は法人その他の社団若しくは財団は、書面でその旨を審査庁に届け出なければならない。この場合には、届出書には、死亡若しくは分割による権利の承継又は合併の事実を証する書面を添付しなければならない。
4 (…)
5 第一項の場合において、審査請求人の地位を承継した相続人その他の者が2人以上あるときは、その1人に対する通知その他の行為は、全員に対してされたものとみなす。
6 審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は、審査庁の許可を得て、審査請求人の地位を承継することができる。
審査請求人の地位は相続するが
行政文書等の開示請求権は一身に専属する権利とはいえないから相続しない
gooooseさんコメはおそらく記入ミスかと思われます。
食糧費情報公開請求事件 【最判平成16/2/24】
中略) 開示請求権は,請求権者の一身に専属する権利であって相続の対象となるものではないから,本件訴訟のうち同被上告人に関する部分は,その死亡により当然に終了しており,
審査庁の許可不要
[自説の根拠]37条1項
権利を譲り受けた者は、審査庁等の許可を得た場合に限り、その地位を承継する。【不作為の異議申し立てにも準用する】
中途半端な知識を持っている人は間違えやすい問題。
法令により権利を継承した者は審査庁の許可無く、審査請求人の地位を継承できる。
特定継承の場合に審査庁の許可が必要なのは、承継関係に争いが生じる可能性があるので、許可を通じて明確にするためです。
これに対し、包括継承の場合、原則として、審査請求人の権利義務も承継するので、特定継承の場合と異なり、審査庁の許可は不要です。
4
次の説明は、行政不服審査法における審査請求に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求の審理は,書面による。ただし,審査庁は,必要があると認めるときは,審査請求人又は参加人の申立てにより,申立人に口頭で意見を述べる機会を与えることができる。 1998年度(平成10年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
審査請求の審理は、書面による。ただし、審査請求人又は参加人の申立てがあつたときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。 (行政不服審査法 25条)
審査請求人又は参加人の申立てがあったときは、「必要があると認める」かどうかに関わらず、審査庁は申立人に口頭で意見を述べる機会を「与えなければならない」。
行政不服審査法25条1項但書
(審理の方式)
第25条 審査請求の審理は、書面による。ただし、審査請求人又は参加人の申立てがあつたときは、審査庁は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
「与えることができる」の本当の意味
与えなくてもいい、何か不都合があれば、仕方ないから与えてあげる…でも面倒臭いよね。
[自説の根拠]役人の気持ち、かな?
心理に際して、書面では書けないことや申請者の思いなどを陳述する機会が与えられるということで、「国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保する」ということではないでしょうか。
申し訳ありません。「心理」は「審理」の間違いです。
「書面審理主義」 不服申立ての審理(当事者の意見陳述、証拠調べ等)は書面による。書面審理は、明瞭かつ確実、簡易・迅速な審理が可能となる。
「書面審理主義の例外」 審査請求人または参加人の申立てがあったときは、審査庁は申立人に「口頭」で意見を述べる機会を与えなければならない。
結局、行審法は、書面審理主義だが、申立てによってすぐに、聴聞形式化する。市民の権利保護。
上記、訂正します。
行審法は、原則、書面審理主義であり、
申し立てをすれば、口頭で意見を述べる機会が与えられる。
ただし、それは、口頭による審査請求ができるということではない。
例外としての、口頭による審査請求は、他の法律、条例に、定めがある場合に限り、することができる。
[自説の根拠]9条1項
審査請求の口頭による不服申立ての申請方式(9条)と
審査請求の口頭による審理の方式(25条)と、
混同してはならない。
本問は審理方式についての問いなので、行政不服審査法25条の問題です。
参考までに、hokutonohitoさんが挙げられた不服申立の条文9条1項を掲げておきます。
(不服申立ての方式)
第9条1項 この法律に基づく不服申立ては、他の法律(条例に基づく処分については、条例を含む。)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、書面を提出してしなければならない。
[自説の根拠]上記条文
関連問題
次の説明は、行政不服審査法による審査請求の審査手続に関する記述である。
審査請求の審理は,書面によってなされるが,とくに審査庁が必要と認めた場合に限り,審査請求人は,口頭で意見を述べることができる。
5
次の説明は、行政不服審査法における審査請求に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
公示の方法による送達の場合を除き,処分の相手方が審査請求人である場合の裁決は,審査請求人に送達することによって,その効力を生じ,裁決の送達は,送達を受けるべき者に裁決書の謄本を送付することによって行う。 1998年度(平成10年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
裁決は、審査請求人(当該審査請求が処分の相手方以外の者のしたものである場合における第四十条第三項から第五項までの規定による裁決にあつては、審査請求人及び処分の相手方)に送達することによつて、その効力を生ずる。 (行政不服審査法 42条)
裁決の効力は、審査請求人および処分の相手方に裁決の謄本を送達することによって及ぶ。
承諾の場合と同じように、発信主義なんですね。
平成28年改正 根拠 第51条
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
行政庁の処分の相手方以外の者が審査請求をした場合において,審査庁が当該処分の全部を取り消す裁決をしたときは,当該裁決は,審査請求人及び処分の相手方の両者に送達することにより,その効力を生じる。
6
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求は,処分庁を経由してすることもできる。 1999年度(平成11年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
審査請求書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
2号 審査請求に係る処分 (行政不服審査法 15条1項2号)
行政不服審査法17条
(処分庁経由による審査請求)
第17条 審査請求は、処分庁を経由してすることもできる。この場合には、処分庁に審査請求書を提出し、又は処分庁に対し第15条第1項から第3項までに規定する事項を陳述するものとする。
2 前項の場合には、処分庁は、直ちに、審査請求書の正本又は審査請求録取書(前条後段の規定により陳述の内容を録取した書面をいう。以下同じ。)を審査庁に送付しなければならない。
3 第1項の場合における審査請求期間の計算については、処分庁に審査請求書を提出し、又は処分庁に対し当該事項を陳述した時に、審査請求があつたものとみなす。
[自説の根拠]行政不服審査法17条
例えば税金関係で処分庁が沖縄、審査庁が東京とした場合遠くて大変というケースもあるので処分庁を経由して審査請求することもできるとしていますね。
関連問題
次の説明は、行政不服審査法に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
審査請求は,処分庁を経由してすることはできない。
7
次の手続が、私人間紛争の裁定的性格を有する行政審判に該当するものか否か答えよ。
暴力主義的破壊活動を行う団体に対する規制処分のための公安審査委員会における審査手続 2009年度(平成21年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2009年11月14日)
×
残念ながら、容易にわかりません
そもそも「私人間紛争の裁定」とは何ですか?
暴力団だって私人のような気がしますが
暴力主義的破壊活動を行う団体に対する規制処分は、公安審査委員会と当該団体を当事者として行われるものであり、私人間紛争を裁定するという性格のものではない。
よって、×です。
「私人対私人」の紛争に行政が介入するものが、私人間紛争の裁定といえます。
例えば「不当労働行為の申立てに基づく審判・命令の手続」。
これは雇用者と被用者の紛争なので、「私人対私人」になります。
設問の例は、「私人対行政」になるので×になります。
8
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
処分の全部または一部の取消しの申立てのほか,処分の不存在確認の申立て,不作為についての申立てを行うことができる。 2004年度(平成16年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
上記に補足します。
行訴法には、不存在確認の申立てが含まれる、無効等確認訴訟があります。
上記訂正します。
行政不服審査法は、行政庁の処分に不服がある場合に申し立てることができるのであり、一般概括主義ですから、いろいろな形式が有り得ます。行訴法の取消訴訟と同じような形式ばかりとは限りません。したがって、不存在確認の申し立てというものも、できないわけではないと思いますが、明文で決まっているわけではありません。
行政不服審査法では、処分の不存在確認の申立てについては規定されておらず、申立てる事は出来ない(行政不服審査法3条等)。なお、行政事件訴訟法では、抗告訴訟のうち無効等確認の訴えが、処分の不存在確認に対応している。
[自説の根拠]自説の根拠は、合格道場
9
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
法人でない社団または財団も,代表者または管理人の定めがある場合,その名で不服申立てをすることができる。 2004年度(平成16年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
法人でない社団又は財団の不服申立て:
「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で不服申立てをすることができる。」
[自説の根拠]行政不服審査法第10条
10
行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
行政不服審査法にいう「処分」には,「公権力の行使に当たる事実上の行為で,人の収容,物の留置その他その内容が継続的性質を有するもの」が含まれる。 2002年度(平成14年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
○
行政不服審査法第2条①:この法律にいう「処分」には、各本条に特別の定めがある場合を除くほか、公権力の行使に当たる事実上の行為で,人の収容,物の留置その他その内容が継続的性質を有するものが含まれる。
とありますので○です。
[自説の根拠]自説の根拠は、行政不服審査法第2条①
処分の定義
【行政不服審査法】
2条 この法律にいう『処分』には各本条に特別の定めがる場合を除くほかその他の内容が継続的性質を有するもの(以下「事実行為」という。)が含まれるものとする。
【行政手続法】
2条2 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為を言う。
[自説の根拠]行政不服審査法2条 行政手続法2条2
(旧)行政不服審査法 第2条(定義)の条文は平成26年改正の(新)行政不服審査法では削除されました
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
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行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
行政不服審査法は,列記主義を採用している。 2002年度(平成14年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
行政不服審査法は,一般概括主義を採用しています。
—–
ちなみに
一般概括主義 → 申立ての対象となる処分や不作為を原則として限定していません。
列記主義 → 申立てのできる処分等を条文で列記したものに限定。
訴願法(行政不服審査法の制定前の法律)は列記主義を採用していました。
行政不服審査法の中でも、再審査請求に関しては「列記主義」になってます。
行政不服審査法第8条
次の場合には、処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる。
1.法律に再審査請求をすることができる旨の定めがあるとき。
[自説の根拠]行政不服審査法第8条1項
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行政不服審査法が明文で要求する審査請求書の記載事項として、適切か否か答えよ。
審査請求の趣旨および理由 2002年度(平成14年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月05日)
○
【審査請求書の記載事項】 行政不服審査法 第15条
第1項
審査請求書には、次の各号に掲げる事項を記載しなければならない。
1 審査請求人の氏名および年齢または名称ならびに住所
2 審査請求に係る処分
3 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
【4】審査請求の趣旨および理由
5 処分庁の教示の有無およびその内容
6 審査請求の年月日
15条1項の4号により記載事項とされている
審査請求の趣旨および理由・・
『 趣旨とは 』 審査請求人が審査庁にどのような裁決を求めるかを
簡潔に表示した部分のことであり
『 理由とは 』 それを裏付ける根拠のことである
行政不服審査法15条(審査請求書の記載事項)1項の4号
平成26年改正
行政不服審査法
(審査請求書の提出)
第19条 審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない。
2項 処分についての記載事項
一 審査請求人の氏名又は名称及び住所又は居所
二 処分の内容
三 審査請求(再調査の請求)に係る処分があったことを知った年月日
四 審査請求の趣旨及び理由
五 処分庁の教示の有無及びその内容
六 審査請求の年月日
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
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行政不服審査法について、適切か否か答えよ。
多数人が共同して不服申立てをしようとするときは,二人をこえない総代を互選することができる。 2000年度(平成12年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月26日)
×
【行政不服審査法11条】
1 多人数が共同して不服申し立てをしようとするときは、3人を超えない総代を互選することができる。
1 多人数が共同して不服申し立てをしようとするときは、3人を超えない総代を互選することができる。
2人ではなく3人です
[自説の根拠]行政不服審査法第11条
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行政不服審査法に基づく不服申立てに関する次の記述について、法令または判例に照らし、適切か否か答えよ。
行政不服申立てにおいては、行政処分の取消しを求めることだけではなく、公法上の法律関係の確認を求めることも許される。 2012年度(平成24年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
×
公法上の法律関係の確認ができるのは「行政事件訴訟」です。
非申請型義務付け請求や差止め請求なども、行政不服審査法にはありません。
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行政不服審査法に基づく不服申立てに関する次の記述について、法令または判例に照らし、適切か否か答えよ。
審査請求の裁決は、書面でしなければならず、緊急を要する場合であっても、口頭ですることは認められていない。 2012年度(平成24年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2014年09月01日)
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裁決は、『書面』で行ない、かつ、理由を附し、審査庁がこれに記名押印をしなければならない(行政不服審査法第41条)。
これは、裁判の判決で「書面」及び「理由提示」が要求されるのと同様に(民事訴訟法第253条、刑事訴訟法第44条)、裁決の慎重さを確保し公正を保障するために、書面による理由付記を『例外なく』要求したものです。
平成26年改正
行政不服審査法
(裁決の方式)
第50条 裁決は、次に掲げる事項を記載し、審査庁が記名押印した裁決書によりしなければならない。
一 主文
二 事案の概要
三 審理関係人の主張の要旨
四 理由(第一号の主文が審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書と異なる内容である場合には、異なることとなった理由を含む。)
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
2項 第四十三条第一項の規定による行政不服審査会等への諮問を要しない場合には、前項の裁決書には、審理員意見書を添付しなければならない。
3項 審査庁は、再審査請求をすることができる裁決をする場合には、裁決書に再審査請求をすることができる旨並びに再審査請求をすべき行政庁及び再審査請求期間(第六十二条に規定する期間をいう。)を記載して、これらを教示しなければならない。
[自説の根拠]自説の根拠は、条文
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